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「凄く嬉しいですし、自信になった」札幌が財前新監督に初陣勝利をプレゼント

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[3.3 J2第1節 千葉0-1札幌 フクアリ]

「キャンプからもそうなんですけど、選手たちが積極的にやってくれて、きょうも本当に全員が集中して勝ち取ってくれた勝ち点3。凄く嬉しいですし、自信になったと思います」。今季から現役時代に所属したコンサドーレ札幌の指揮を執る財前恵一監督(前・福岡U-18監督)は、後半アディショナルタイムの決勝ゴールで勝ち取った初陣勝利を静かに喜んだ。

 北海道出身の指揮官は、初めて指揮を執るトップチーム公式戦の先発に左SB松本怜大(前・東洋大)とMF神田夢実(前・札幌U-18)の2人のルーキーを先発起用。「千葉の方が力があるということで押し込まれる時間帯が長いことは予想していた」という予想どおりに前半から千葉にボールを支配される時間帯が続いた。特に立ち上がりは10代~20代前半の選手で構成されたディフェンスラインや、新人コンビの左サイドなどやや硬さも見られたが、それでもチームは球際の非常に激しいプレーで千葉に決定的な場面をつくらせない。そして時間が経つにつれて好守と速攻からチャンスを増やしていった。計3枚の警告を受けた試合ではあったが、キャプテンのMF河合竜二も「イエローが多かったのは気持ちの表れ。いい戦いができた」と振り返る会心の内容で相手に得点を与えなかった。

 そして交代策も当たった。後半41分に投入した35歳MF砂川誠がピンポイントの右クロスでFW内村圭宏の決勝ゴールをアシスト。「(終盤は)チャンスがあったので攻守両方含めて砂川選手を起用しました。素晴らしいラストパスを出してくれたと思います」と評した砂川起用が千金弾につながり、アウェーで強豪撃破を果たした。

 MF古田寛幸は「財さん(財前監督)になってからチームガラッと変わった。財前監督初戦ということでボク自身も初勝利をプレゼントしたかったですし、チームとしてここまでたくさんの方が来てくれたので一体感を持って戦うことができたと思います。札幌の強みはそこだと思う。そこを全面に出せたから勝てたと思う」と勝因を口にする。新指揮官に勝利をプレゼントしようというチーム全体の一体感。そして昨年の悔しさが、チームの力になっている。

 昨シーズン、勝ち点14、28敗、総失点数88、得失点差マイナス63はいずれも1シーズン制になってからのJ1ワースト記録だった。それだけにJ1で得た経験を活かし、あの舞台に戻ることはチーム全体の“ノルマ”だ。古田は「去年J1で戦って、誰もが悔しい思いをしたと思いますし、J1での厳しさを実感したと思う。その思いがしっかり焼き付いているので、改めてJ2に戻ってきてJ1で戦った経験を活かさなければならないと思います。チームもガラッと変わって選手だけじゃなくて、スタッフ、サポーターのみんなが同じ方向を向いて戦えたことが千葉に勝てた要因だと思います」。最高の形で船出した「財前・札幌」。J1復帰だけを見据えて一体となったチームが、今後も快進撃を続ける。

(取材・文 吉田太郎)

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