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決勝点の長崎MF古部「『J初』より『逆転』が嬉しい」

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[4.17 J2第9節 横浜FC1-2長崎 ニッパ球]

 高木琢也監督も、満足そうに振り返った。0-1で迎えた後半9分、MF古部健太をピッチに送り出した理由を問われると「負けていたので、真ん中のところを少し活性したいというのがありました。ゴールも決めましたが、振り抜く力も持っている。そういうところに期待しました」と説明した。その古部がJ初ゴールを含む1得点1アシストの活躍を見せ、逆転での4連勝を呼び込んだ。

 2008年に横浜F・マリノスに入団した古部だが、試合出場を果たせないままツエーゲン金沢に移籍し、2012シーズンからV・ファーレン長崎に加入していた。この日、Jリーガーとして三ツ沢のピッチに初めて立った古部は試合前に『前もここに来たことがあったな』と、感傷的になったと明かすが、「負けているから、どんどん走ってくれ」と高木監督に送り出されたときは「場所は気にせずに、集中していました」と、振り返る。

 その言葉通り、古部は後半20分には中盤でルーズボールを拾って、MF金久保彩にパスを出す。金久保は中に切り込み、DFの股間を抜くシュートをニアサイドに決めたが、古部は足を止めることなく、最終ラインの裏へ走っていた。

 試合を振り出しに戻した長崎は、アウェーでも勝ち点3を取りに行った。「同点に追いついて、流れもこっちにあったと思うので。守りの指示も受けませんでしたし、自分の特長を出しきろうと思いました」。そう古部が振り返るのが後半38分の決勝点の場面だ。GK金山隼樹がロングボールを蹴った瞬間、古部は前線へ走っていた。FW水永翔馬がヘッドで落としたボールをFW松橋章太が受けた瞬間、外側から追い越す。松橋からのパスを受けた古部は、縦に仕掛けて左足を振り抜いた。これがポストを叩き、GK柴崎貴広の背中に当たって、ゴールへと吸い込まれていった。

「ラッキーでした」と、古部は明かす。「本当は、もうちょっとファー気味に蹴って、中に誰かが合わせても良いし、GKが弾いたところを詰めてくれもいい。そういうイメージだったのですが、腰が回り切らなかったです(笑)。それでも、積極的な姿勢を出せたことで、点になったと思います」

 思い出の地である三ツ沢で、嬉しいJ初ゴールだった。だが、個人記録よりも、長崎の一員として、このゴールが嬉しかったと言う。「逆転ゴールだったのでね。J初ゴールということよりも、逆転ゴールを取れたことが嬉しかったです」。

 これでリーグ戦4連勝、6試合負けなしで、順位は昨季J1だったヴィッセル神戸、ガンバ大阪に次ぐ3位だ。自信もついてきたのでは? という問いに古部は「自信というよりも、雰囲気は良いです」と口にした。チームとしても、個人としても、まだまだ満足感はないようだ。「スタメンで出たときに、仕事ができていないので。そっちでも頑張りたいです」。前節のアシストに続き、1得点1アシストという結果を残しながらも、この日のヒーローは、更なる活躍を誓った。

(取材・文 河合拓)

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