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柿谷がヒールパスで先制点を演出!自らも2得点!

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[5.3 J1第9節 湘南0-3C大阪 BMWス]

 53日ぶりとなる歓喜の“起点”はFW柿谷曜一朗のおしゃれな右足ヒールパスだった。セレッソ大阪が3-0で湘南ベルマーレを下し、3月16日のF東京戦以来、6試合ぶりの白星を飾った。

 中央を固めて守る湘南相手に、前半はチャンスを量産しながらもゴールをこじ開けることができず、じれったいまま時間が過ぎた。0-0で折り返したハーフタイム、クルピ監督は「リスクを承知の上で圧力をかけろ」と強気の指示。すると後半2分、意地を見せた柿谷がこの日最初のゴールショーを生み出す。

 中央でボールを持って前を向くと、湘南DFはバランスを崩して転倒。ここでタメを作った柿谷は、後方から上がってきたFW杉本健勇に、右のかかとで技ありのパスを出す。杉本が逆サイドへ駆け上がってきたMF山口蛍にパスを出すと、湘南DF陣はもうついていけない。C大阪は相手を完全に崩してのゴールで、先制に成功した。「僕のゴールじゃなくチームで決めたゴール。セレッソらしい崩しだった」。山口が胸を張る。

 前がかりになった湘南に対し、C大阪の攻撃がさらに威力を増したのは後半34分だ。杉本、楠神、扇原を経て最後に決めたのは柿谷。後半43分にはペナルティーリア内で山口とワンツーを成功させ、とどめの3点目を決めた。いずれも高い技術を見せつけながらの得点。勝利から見放された4月のうっ憤を晴らすかのようなプレーの連続だった。

「僕の得点は、先制されて相手が前がかりになったあとのゴール。それより今日は3ゴールとも(杉本)健勇がからんでいますからね」。柿谷はまず若いチームメイトを称え、「セレッソらしい、真ん中を崩した形だったから、ああいうごっつぁんゴールも決まる。チームが一生懸命やっての得点です」とエース背番号8をつける選手らしい風格を漂わせた。

 この日の2ゴールで今季通算6得点。得点王争いにも顔を出す勢いだが、「僕は豊田さん(鳥栖)や森島さん(大分)のような、ホンマにFWという選手ではない。食らいついて行きたいけど難しい。ただ、アシストでも勝利に貢献したい」と謙虚だ。

 そんなエースにクルピ監督は「今日は2点取ったけど、ハットトリックしなければいけない試合だった」と厳しい言葉。それを聞いた柿谷は「勝っても監督は怖いでしょ。12点くらい取らないと褒めてくれないんですよ」と苦笑いした。

 確かに、3得点はしたがシュートは21本。決定機で冷静さを欠いた場面もあり、上位をキープするにはチャンスでの決定力が課題になる。チームの全10得点中、柿谷と山口で9得点とバリエーションが少ないことも気になる要素ではある。

 次節は浦和との戦い。「強いのは分かっているが、ホームで待ち構えるのではなく、ぶつかっていく」と柿谷。成長のステップを勢いよく駆け上がっているエースは勝利を誓っていた。

(取材・文 矢内由美子)

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