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日本vsベネズエラ 試合後のザッケローニ監督会見要旨

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[8.15 キリンチャレンジ杯 日本1-1ベネズエラ 札幌ド]

 日本代表は15日、札幌ドームでベネズエラ代表と対戦し、1-1で引き分けた。前半15分、MF遠藤保仁の約2年2か月ぶりとなるゴールで先制したが、後半17分に追いつかれ、そのまま勝ち越しゴールを奪うことはできなかった。日本は今後、9月6日のキリンチャレンジ杯(東北電ス)でUAEと対戦し、9月11日のW杯アジア最終予選・イラク戦(埼玉)に臨む。

以下、試合後のザッケローニ監督会見要旨

アルベルト・ザッケローニ監督
「親善試合とはいえ、勝てないのはあまり好きではないなというのが率直な感想。選手たちにもよく話をするが、私にとって親善試合はテストマッチ。それ相応のリアクションは欲しいと思っていたが、個人的には想定以上のものが返ってきた。伊野波はコンディションが100%ではない中でもチャレンジしてほしいと話していたし、後半の水本にとってもいいテストになったと思う。駒野についても、彼は常にこのチームでプレーしているわけではないということでテストしたかった。今野のいないDFラインに入って、どの程度できるかを見たかったが、ポジティブな反応が返ってきた。DFラインは及第点以上の出来だったと思う。

 中盤もその輝きが保たれていた間、つまり前半プラス何分かはかなりいい出来だったと思う。途中で中盤のペースが落ちてしまったとは思うが、長谷部はまだドイツのリーグ戦で1試合も出てないし、本田も昨日帰国したばかりなので、そのあたりが理由だと思う。前線に関しても活発な動きで、動きを出していた。良かったと思うが、その動きの割にシュートの数が少なかった。うちがアタッキングサードのところでボールを失って、そこを起点にしたカウンターを食らった。ウズベキスタン戦を思い起こさせる失点だった。そういう意味では修正しないといけない課題になったと思う。

 ここ最近のゲームでは90分間高いリズムを継続して、いいコンビネーションを出していたが、今日の試合は先ほど挙げたいくつかの要素が絡み、90分間出し切れなかった。狭いスペースでスピードのないプレーを繰り返すと、南米のチーム、あるいは我々よりフィジカルのあるチームに対しては、フィジカルのところで押し込まれる。最近の試合と比較すると、攻撃のところでのシュート数も少なかったし、裏のスペースを使う意識、裏のスペースに抜ける動きも足りなかったと思う。前線の選手もプレーに絡んでくれたが、ゴール前のスペースに飛び出す動きは足りなかった。やはり我々は足元足元で受けるのではなく、スペースにスピードを持って運べるときにいいチャンスをつくれると思う。

 話を総括すると、今日のゲームに関して、チームの持っているアイデアやコンセプトを出そうとするのが見えたが、それを90分間継続してできなかったのは課題として残る。大切なことは、1-0と先制したあともリスクマネジメントしながら2点目を取りに行った姿勢が見られたのはよかった」

―本田を1トップで起用したが、最終予選に向けて切り札になるなのか?
「最初はシンプルにトップ下のポジションで本田と中村を交代しようと思った。というのも本田は昨日、日本に到着したばかりで、疲れていた印象を受けていた。本田のポジションについては、基本的にはトップ下で使う認識ではある。しかし、今日のゲームの流れ、ゲームの状況を考え、チームがかなり疲労してきたところでもあったので、前線でボールをキープできる選手が必要だと思って起用した」

―90分間リズムが続かなかったのは予想していたか、それとも不満だったか?
「ある程度、想定内の事実だと思っている。日本代表には海外組が増えてきているし、シーズンが始まっていない選手もいる。そういう意味では想定内だったと思う」

―駒野に代えて酒井高徳ではなく、これまでも起用しある程度把握している槙野を投入した理由は?
「槙野も酒井も同じように彼らについて知っているつもりでいる。違うところは、槙野の方がこのチームのやり方を知っている。酒井はアジア杯で呼んでいたが、ケガもあって早めに日本に帰ってしまっていた」

―本田が1トップに入ってからのコンビネーションについては?
「本田が過去にセンターフォワードであったり、右サイドであったり、左サイドでプレーしていたのは知っているし、CSKAモスクワではボランチのポジションに入ったりもしている。私が思うには、本田の特徴が最大限に生きるポジション、彼の適正はトップ下ではないかと思う。中盤のところでクオリティーとフィジカルという2つの特性を持っている。そういったクオリティーとフィジカルの両方を兼ね備えた選手を見つけるのは難しいと思う」

―欧州から呼んだ選手を使わなかったことで今後所属クラブが招集に応じなくなるリスクもあるのでは?
「海外から来てプレーしないというのは常に付きまとうことだし、珍しいことではないと思う。海外組が多い中で、ピッチに出せるの11人だけだし、プレーできない選手は今後も出てくる。それはアルゼンチン、ブラジル、ベネズエラなど、世界で起きている現象だと思う。30年間監督をやっていて、そのうち20年ほど代表選手を抱えるクラブチームの監督をやってきたが、代表選手がクラブからいなくなることも多々あったが、私としては仕方のないことだと思っているし、代表チームはリスペクトするべきで、そのことで文句を言ったことはない。当然、欧州のクラブの首脳陣の方々の思いを理解することはできるが、我々にも(9月11日のイラク戦で)守備陣が3人出場停止になるという状況もあった。3人の出場停止のほかにも、酒井宏樹が足首の状態がすぐれず、今回招集することができなかった」

―伊野波を前半で代えたのは? 伊野波と水本の評価は?
「交代は予定どおり。最初から考えていた交代だった。両選手とも、与えられたタスクをしっかりとこなしてくれたと思っている。伊野波はコンディションが100%でない中でよくやってくれたし、水本も今日がこのチームで初めての試合という中で非常によくやってくれた」

(取材・文 西山紘平)

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