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日本vsブラジル 試合後のザッケローニ監督会見要旨

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[10.16 国際親善試合 日本0-4ブラジル ブロツワフ]

 欧州遠征中の日本代表は16日、ポーランド・ブロツワフでブラジル代表と対戦し、0-4で敗れた。前半12分に先制点を許すと、同26分にもFWネイマールにPKを決められ、前半を0-2で折り返す。後半3分にネイマールに2点目を決められると、同31分にはMFカカがダメ押しの4点目。ザッケローニ監督就任後最多失点となる0-4の完敗を喫し、フランス、ブラジルと続いた欧州遠征を1勝1敗で終えた。

以下、試合後のザッケローニ監督会見要旨

アルベルト・ザッケローニ監督
―本田を前線で起用した理由は?
「前線で相手に的を絞らせないような入り方をして、サイドの選手がエリアへ進入することを狙っていた。しかし、狙いどおりにはいかなかった。バイタルエリアに入っていくことが目的で、そこからサイドの選手がダイアゴナルに入ってボールを配給するアイデアを持っていたが、バイタルには入っても、裏のチョイスを出せなかった。横パスが多くなったのは、前半で相手の最初のミドルシュートが決まってしまったことや、2点目をPKであっさり奪われ、冷静さを失ってしまったことが挙げられる。すぐに2点リードされる展開になったが、そういった戦いもいい経験だと思う。今日は対戦相手がブラジルだったので、こういう展開になったが、違ったチームとの試合でもあるかもしれない。そこで冷静さを失わず、チームとして戦い方を変えずに立て直せるかというところも、今後につながっていく。選手も負けたくないという気持ちが非常に強いので、それで冷静さを失って本能的なプレーが出てしまったのではないかと思う。このチームはあきらめない気持ちが強いと思った」

―2年後の到達点に変更はないか?
「到達点を変更するつもりはないし、そこに到達できるという大きな自信も持っている。4失点したが、ゲームの流れ次第では1-4にも2-4にもなったかもしれないし、0-8になった可能性もある。それよりも見なければならないのは、チームがこの試合で何をしたかということ。我々はブラジルと簡単に対戦できるチームではないし、4失点についてもそこに至る流れがあった。PKの判定がどうだったかは話したくないが、0-2となった時点でブラジルはポゼッションサッカーのお手本のやり方をしてきた。その中でチームが冷静さを失ってしまい、すぐに追いつきたいという気持ちが空回りして、自分たちの狙いから外れていってしまった。ブラジルと対戦することは重要だったが、ブラジルを基準にするわけにはいかない。サッカーの歴史も経験も違う。この試合で見たかったのは、どういうところで苦労させられ、うまく機能しないのか。90分間の内容を真摯に受け止めないといけないが、0-1の状態を続けることでどういうリアクションが出るのかをもう少し見てみたかった気持ちもある。試合の入り方は悪くなかったので残念だったが、悪いアプローチではなかった。いろんな意味で、いい経験になった」

―日本は世界のどの位置にいるか?
「この試合が始まるまでは、自分の描いていたイメージよりも、もう少し上だと思っていた。さらにどこまで伸びていけるか。このチームには大きな伸びしろがある。2年後のW杯優勝を大々的に宣言できるかと言えば、そうではないし、2年後にトップレベルに食い込んでいるかと聞かれても、そう言い切れないところはある。ただ、私の考えているとおりに事が進み、W杯にいい状態で臨むことができれば、ブラジルやスペインといった強豪とも対等に渡り合えることができると思う。そのギャップを縮めるために、今後もこうした強豪との試合をどんどん組んでいきたい」

―組織と個人のバランスで日本は組織に特化している?
「ブラジルはクオリティー以外に経験でも上だと思った。現時点では別次元のチームだ。当然、成長したいという立場としては現実主義者でないといけないと思うので、冷静に分析すれば、我々はまだブラジルのレベルにない。ただ、ブラジルの最近の試合はすべて先制しているので、彼らがリードされたときにどうバランスが崩れるかは見てみたかった」

―強豪と対戦すること以外に必要なものは?
「国際レベルの戦いをすることは大事だし、今日の試合でも、もっと違ったボールの持ち方やプレーの展開の仕方もあった。そういうところの分析、修正はしていくべきだと思う。このチームには伸びしろがある。経験やチーム力を上げること。オンとオフ、いかなるときも対応できる部分を伸ばしていかないといけない。今日の試合を通じて良かったのは、90分間を通してあきらめずに戦う姿勢を見せたこと。流れによってはもっと失点していたかもしれない中で、勇気を持って前に仕掛けていったことについては評価していいと思う。負けたくないという気持ちが空回りしたが、そこは冷静に、チームとしてやるべきことを徹底するという姿勢を出していかなければならない」

―ハーフタイムに中村を下げて香川を中央に置いたのは最初から考えていたことか?
「試合前にチョイスとしてあったし、タイミングも頭の中にあった。よりチームに深みを出そうと思った。中盤のボールポゼッションではなく、より裏への狙いを強調しようとした。チョイスは頭にあったが、前半の流れを見ながら、その交代への思いが強くなった。サイドからもっと崩すべきだったが、真ん中へ仕掛けてしまった」

(取材・文 西山紘平)

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