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大分が"天敵"千葉を下し7ヵ月ぶり最下位脱出

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[11.29 J1第33節 千葉0-2大分 フクアリ]

 J1第33節は29日、残り2試合を行い、フクダ電子アリーナではともに降格の決まっている17位ジェフユナイテッド千葉と18位大分トリニータが対戦。来季、J2でJ1昇格をかけて争うライバル同士の一戦は、前半16分にMF清武弘嗣のゴールで大分が先制すると、後半20分にもFWフェルナンジーニョが追加点を決め、2-0で勝った。この結果、大分が千葉をかわして17位に浮上。第6節終了時点以来、約7ヵ月ぶりに最下位から脱出した。

 千葉はMF中後雅喜が出場停止で、FW巻誠一郎も負傷欠場。システムは4-4-2で、GK岡本昌弘、4バックは右から坂本將貴、福元洋平、斎藤大輔、アレックスと並んだ。中盤は下村東美と工藤浩平のダブルボランチ、右に米倉恒貴、左に谷澤達也。2トップは新居辰基とネット・バイアーノだった。
 大分も4-4-2で、GK西川周作、4バックは右から坪内秀介、菊地直哉、藤田義明、上本大海。中盤はエジミウソンと家長昭博のダブルボランチで、右に清武弘嗣、左に高橋大輔が入り、前線は金崎夢生とフェルナンジーニョが2トップを組んだ。

 立ち上がりはホームの千葉が優勢に試合を運んだ。ひとりひとりの出足が早く、運動量も豊富で、厚みのある攻撃で大分を押し込んだ。前半7分には谷澤が左サイドからドリブルで切れ込み、中央にパスを流すと、米倉が右足でシュート。威力のあるシュートだったが、GK西川がかろうじて抑えた。

 千葉は前半8分にもGKからのロングボール1本にネット・バイアーノが抜け出したが、必死に戻った菊地がスライディングタックルでタッチラインに逃げる。千葉の早い攻撃にDFラインが落ち着かなかった大分だが、立ち上がりのピンチをしのいだことで、徐々に盛り返した。

 主導権を握っていた千葉は、一瞬の隙を突かれた。前半16分、大分がセンターライン付近でファウルを受けたが、ボールがエジミウソンにつながったため、扇谷健司はアドバンテージを適用。エジミウソンは左サイドに大きく展開し、ボールを受けた金崎のクロスに清武が飛び込む。ヘディングシュートはGK岡本に止められたが、こぼれ球をもう一度清武が押し込み、劣勢の大分が先制に成功した。

 千葉は新居が鋭い動き出しでDFラインの背後を突き、縦パス1本でチャンスをつくる。前半28分にも新居が抜け出し、横パスを受けたネット・バイアーノがシュートを放つが、至近距離でGK西川がセーブ。同34分には米倉の右クロスを大分のDF2人がクリアミスし、ゴール前のネット・バイアーノまでボールが流れてきたが、シュートはまたも西川が鋭い反応でかき出した。

 千葉は前半38分にも新居がPAすぐ外側から強烈な右足ボレーを放ったが、西川がスーパーセーブ。千葉には何度も同点に追い付くチャンスがあったが、西川が好守を連発し、前半は1-0と大分リードで折り返した。

 千葉は後半立ち上がりの1分にも高い位置でボールを奪い、新居がシュートまで持ち込んだが、GK西川に阻まれる。大分は最終ラインに安定感を欠いていたが、ボランチの家長のところでボールが落ち着くようになり、前線の金崎も両サイドに開いてパスを引き出すなど攻撃面は前半から改善された。

 前半からハイペースで飛ばしていた千葉は徐々に切り替えが遅くなり、ミスも増え始めた。後半20分、谷澤からアレックスへのパスが弱くなり、大分にカットされると、一発のカウンターでフェルナンジーニョが右サイドを抜け出す。福元を1対1でかわすと、そのままPA内に進入。角度のない位置からGKの股間を抜く技ありシュートで、2-0と突き放した。

 千葉は後半23分、ネット・バイアーノに代えてFW深井正樹、同25分、下村に代えてMF和田拓三を投入。4バックの右に和田、左に坂本が回ると、中盤はダイヤモンド気味になり、工藤の1ボランチ、右サイドに深井、左サイドにアレックス、トップ下に米倉が入り、谷澤がFWにポジションを上げた。

 スクランブル的に布陣を変えてゴールを目指したが、なかなか攻撃がかみ合わない。さらに後半33分には新居を下げてFW金沢亮を投入。同39分には金沢が右足で強烈なミドルシュートを打ったが、GK西川がまたも好セーブを見せ、ゴールを死守した。

 試合はそのまま大分が2-0で逃げ切り、9試合負けなし(5勝4分)とするとともに、過去リーグ戦で2分11敗だった天敵から初勝利を飾った。一方の千葉はついに最下位に転落した。

(取材・文 西山紘平)

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