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PKを止めた徳島GKオ・スンフン「イメージトレーニングのとおり」

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[5.27 J2第16節 湘南0-0徳島 BMWス]

 前半23分、徳島ヴォルティスはピンチを迎えた。PA内に侵入した湘南ベルマーレのFW菊池大介をDF那須川将大が倒してしまい、PKを与えてしまったのだ。この場面で湘南のキッカーを務めたのはDF遠藤航だった。ゴールを守る徳島のGKオ・スンフンは、まるでどちらにボールが来るか分かっていたかのように、シュートを弾き出した。

 なぜ、オ・スンフンはコースを読み、PKを止めることができたのだろうか。

「僕は試合の前日、寝る前にいつもイメージトレーニングをしているんです。昨日は『明日はPKの場面があったら、右に飛ぼう』とイメージしていました。だから、止めることができましたね。右に飛ぼうっていうフィーリングがあったのは、たまたまですね」と笑顔を見せる。止めた瞬間を「うれしかった」と振り返るが、すぐに「試合は終わっていなかったので、これで集中を切らさずにやろう」と、気を引き締め直した。

 今シーズン、無得点の試合がなかった湘南の攻撃陣に対し、オ・スンフンはどのような対応を考えていたのか。「湘南のトップはすごくスピードのある選手が多いので、特に(DFの)間を抜かれたときは一番怖い。そこにボールが出たときは自分が積極的に前に出てプレーしようと思いましたし、間が空きすぎていると感じたときには、指示を出して埋めるように声を掛けるようにしていました」と明かす。

 昨シーズン、J1昇格にあと一歩のところまで迫った徳島だが、今季は第15節で16位と苦しんでいる。「チームには悪い時もあれば、良い時もある。あまり良くないときは、いろろなことを学べますし、いろいろな経験を積めます。確かに、今は苦しい状況ですが、ここでの経験を生かして、もう一歩前進したいと思います」と、苦境は成長するチャンスと、前向きに語った。

 その成長の一つが、守備面だろう。前節の鳥取戦(3-0)に引き続き、2試合連続、無失点で終えた守備については、オ・スンフンも手応えを口にした。「これまでは負けが続いて自信を失ってしまったこと、新加入の選手が何人かいたこともあって、最終ラインとの息が合わずに失点してしまうことがありました。でも、最近は意思の疎通もできるようになったと感じているので、これからも続けていきたいと思います」。

 収穫を語った一方で、課題も挙げた。「PKを止めることができたのは良かったのですが、一番大事なのはチームの勝利です。だから、相手が退場して数的優位を得たのに勝てなかったことは残念です。でも、アウェーで勝ち点1を取って徳島に帰ることができるのは、悪い結果ではないかなと思っています」。今シーズン、6試合目の出場で3度目の完封試合を達成した192㎝の守護神は、次節、ホームで迎える町田戦での勝ち点3獲得に気持ちを切り替えた。

(取材・文 河合拓)

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