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チームとともに復活を期す徳島・津田「自分自身の成長が楽しみ」

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[5.27 J2第16節 湘南0-0徳島 BMWス]

 スコアレスドローに終わった試合を振り返り、徳島ヴォルティスのFW津田知宏は、「取りこぼした感は大きい。後ろはゼロで抑えてくれたので、1点で良かったと思うんですが、取り切れないのが今の自分たちの実力」と悔しがった。前半を0-0で凌ぎ、後半に入ると湘南ベルマーレに退場者が出たこともあり、数的優位の状況で戦ったが、最後まで湘南のゴールをこじ開けることはできなかった。

 相手に主導権を握られた、前半の戦い方を津田は反省した。「前半からもっとスペースに流れてボールを引き出すことができていれば、後半は相手がもっと疲れていて、最後に1点が取れていたと思う」と津田は振り返る。実際にハーフタイム、小林伸二監督に「もっとスペースに流れてボールを受けるように」と指示を受けた徳島の2トップは、後半に入ってから湘南の3バックのサイドに生じるスペースで基点となった。後半2分に左サイドでボールを受けた津田が縦に仕掛け、中央にクロスを入れた場面を皮切りに、多くのチャンスをつくる。同14分に湘南のDF大野和成を退場に追い込んだプレーも、FWドウグラスが良い位置でボール受け、速攻に移ろうとした場面がきっかけだ。

 数的優位を得てからは、津田とドウグラスは良い連係を見せて、湘南ゴールに迫った。後半31分にはゴール前にドウグラスしかいない状況で、津田がピンポイントのクロスを合わせ、フィニッシュに持ち込んだ。ドウグラスのシュートは枠を捉えることはできなかったが、2人のコンビネーションについては、津田も自信を深めている。

「前節の鳥取戦(3-0)から今日までの練習の間で、めちゃくちゃ2人でコミュニケーションをとっていました。ドウグラスは中央に1枚でいても、ヘディングで勝てるし、前に出る力はあるので、僕が中にいるより彼が中にいた方が間違いない。あとはもう一つ(選手が絡んで)、中央でコンビネーションができたりすれば、相手のDFも守りにくいと思う。2人の関係は悪くないので、早い時間で点が取れれば2人とも乗ってもっとできると思うので、それまでのところをもう少し、元気よく、のびのびとやりたいなという感じです」

 この試合は無得点に終わったが、津田自身はピッチで躍動していた。一昨年、エースとして活躍し31試合で16得点を挙げたが、昨季は一気にマークがきつくなったこともあり、前年と同じ試合数に出場しながら、得点数は半分以下の7に終わった。あと一歩というところでチームが昇格を逃した悔しさと責任を、誰よりも感じている。だからこそ、今季にかける思いは強い。

「昨年はやれなかった。(相手の)マークもバチバチと来ていたので。今年はそういう感じもしないので、ちょっと見てろよという感じですね」

 今季から徳島の指揮を執る小林監督の下で、成長できている実感も、ある。ゴール前で強さを発揮するストライカーは、より多くの役割を指揮官に求められているという。

「ポストプレーやキープという動きを、これまで以上に求められていますね。それができるようになれば、自分のプレーの幅が広がりますし、そういう動きをすることによって、持ち味の裏へ出て行く動きもより効果的になる、利いてくると言われています。実際、ピッチ内で『そうだな』と感じることも多いので、手応えはありますね」

 小林監督は「5月は1敗だったので、6月は無敗でいきたい」と語った。津田も6月に向けて意気込みを口にする。

「『6月は見ていろよ』と言いたいところですが、『もう少し練習させてください』っていう感じですかね(笑)」と少し謙虚に語り、こう続けた。「(監督から)アドバイスをたくさんもらってプレーの幅は広がっていますし、僕も自分自身の成長が楽しみな部分があります。あとは試合で結果がついてくれば、もっとやれると思う」。第3節から11節まで、2分け7敗で9試合未勝利という苦しみを味わったチーム、そしてエースの本領発揮も、これからだ。

(取材・文 河合拓)

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