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日本vsアイスランド 試合後のザッケローニ監督会見要旨

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[2.24 キリンチャレンジ杯 日本3-1アイスランド 長居]

 日本代表は24日、キリンチャレンジ杯でアイスランド代表と対戦し、3-1で快勝した。日本は前半2分、FW前田遼一(磐田)の国際Aマッチ2試合ぶり7得点目で先制すると、後半8分にFW藤本淳吾(名古屋)、同34分にDF槙野智章(浦和)がともに国際Aマッチ初ゴールとなる追加点。後半ロスタイムにPKで1点を返されたが、国内組で臨んだ2012年初陣を勝利で飾った。

以下、試合後の監督会見要旨

アルベルト・ザッケローニ監督
「選手には2012年を勝ってスタートしようと話したが、要求どおり勝利で終えられた。出た選手も出てない選手も、勝たないといけない大切な試合として臨んでくれた。すべての代表の試合が大切であり、そこで成長しないといけない。課題を見つけないといけないし、結果も追求しないといけないと話した。今日の試合でできていないと思ったすべての原因はフィジカルコンディションに起因するものだった。当然、今はオフシーズンなので想定内ではあった。問題点を挙げるとすれば、先制したにもかかわらず、相手が戦い方を変えずに引いていたため、裏のスペースやバイタルのスペースを見つけづらかった。相手がフィジカルを前面に出し、空中戦での難しさもあった。
 DFラインは後ろで回し過ぎた。サイドチェンジや、もう少し前への意識があっても良かったと思う。それでも、しっかり守ることができたし、特にサイドでのコンビネーションが良かった。中央でもいくつか良いコンビネーションがあったが、1点目のコンビネーションは良かった。相手が引いてコンパクトに守ってきたので、ほとんど相手陣内で攻め続けられたし、特にサイドでは駒野と槙野のところで攻撃の形ができていた。フィジカルコンディションが原因だろうが、唯一の問題は、自陣で不用意なパスが多かったことだと思う」

―デビュー戦でフル出場した増田、代表初ゴールを挙げた藤本と槙野の評価は?
「3人ともチームのためによく力を出してくれた。槙野はすぐに試合に入れていたし、90分それが持続していた。自分で得点も決めたし、及第点以上の出来だったと思う。藤本は私が要求したことをすべてやってくれた。時には裏に抜けたり、バイタルに顔を出したり、いくつかリクエストがあったが、動きを非常によく理解してくれた。ボールが入ったときにもいいプレーをしてくれた。増田は、心拍数を図ることができず正確なデータはないが、非常によく走ってくれた。クオリティーもあり、ピッチ全体をカバーできるタイプの選手。時にチームメイトへの献身が強過ぎて、前線のスペースを少し消してしまうこともあったが、遠藤とともにいいバランスを取ってくれたし、今日の試合では力になってくれた。特に守備面でフィジカルかつ献身的に動いていたし、遠藤とのパス交換もよかった。今回呼んだメンバーで、ピッチに立った中盤の選手では最もフィジカルがある選手だと思った」

―前半に比べて後半が良くなったが?
「特に後半の30分ぐらいまでは良かった。2-0、3-0になってから中盤で相手に主導権を握られた」

―両SBが上がったときに増田が下がって3バックになっていたのは指示か?
「増田にはいくつか指示を出した。遠藤との距離を離さず、ボールの受け方もゴールを背負うようには受けるなということが一つ。そして増田が下がって、右サイドの駒野が縦に抜けるプレーをしていたので、増田のところで相手の左MFを引き出し、相手のSBのところで藤本と駒野で数的優位をつくろうとした。前半はそれがうまくはまったが、相手の監督も修正してきた。最後のところで3対2をつくっていた」

―後半から入った中村と田中への指示は?
「田中は代表にそれほど多く来ていないが、あのポジションの要求を早く飲み込んで、自分が果たすべきタスクを理解してくれていた。どのように、どこで、いつ、なぜそういう動きをしないといけないのか、求められる役割を分かってくれた。特徴的にはアジリティーのあるFWタイプの選手だと思っているので、ゴールの近くになればなるほど力を発揮してくれる。中村については、前半にプレーしていた柏木も良かったと思っている。ボールホルダーに選択肢を与えていた。中村はバイタルで前を向いたときに最大の力を発揮してくれた。それぞれ与えたタスクは違うが、すべての選手が応えてくれたと思う」

―「個人の能力を見たい」と話していたが、コンディションが良くない中でどう評価するのか?
「学校で例えると、私が与えた宿題を選手がどうやってきたのか、どう理解しているのか、そういったところを見ている。フィジカルコンディションがトップでないことは分かっていたし、彼らはプレシーズンの状況で、12月までプレーするために力を蓄えている状況だ。その中で私が与えた宿題をどうやってきたのか、本当に理解しているのかというところは現時点でも計り知ることができる」

―6月の最終予選に向けて、今野がいない場合の守備が心配されるが?
「私が就任して1年半が経つが、その間にいろんな選手を試してきた。選手層は厚くなってきているし、すべてのポジションに選択肢はある。代表チームにかなりの数の選手を招集したが、彼らは私がやろうとしていることをやってくれたと思っている。今野は現在の代表候補の中で違った特徴を持っている。彼が出られないときは、代わりに入った選手が違うクオリティーをもたらしてくれる。常に主導権を握るためにDFラインを高く設定しようとしているが、今野がいなくなったときに少しラインが下がってしまう懸念はある。ただ、今野が欠けて他の選手が入ってもまったく心配はしていないし、夜もぐっすり眠れると思う」

(取材・文 西山紘平)

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