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後半10人になったF東京が、川崎Fに競り勝ち2年ぶりクラシコを制す

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[4.8J1第5節 川崎F0-1F東京 等々力]

 8日、J1は等々力陸上競技場で川崎フロンターレFC東京の一戦を行った。2年ぶりに実現した多摩川クラシコは、後半早々にF東京・MF長谷川アーリアジャスールが退場となり、数的優位を得た川崎Fが押し込む。しかし、決定機を生かせず。逆に後半41分、F東京はCKからDF森重真人がヘディングシュートを決めて先制する。虎の子の1点を守り切ったF東京が、数的不利の劣勢を跳ね返し、勝ち点3をつかんだ。

 川崎Fは前節の浦和戦(1-1)からスタメンを5人入れ替えた。GK西部洋平がケガから復帰、MF小林悠が左SHで今季初先発、FW矢島卓郎も今季初スタメンに抜擢されている。対するF東京も前節の広島戦(0-1)で出場停止だった長谷川がスタメンに戻る。また、ACLの北京国安戦(2-2)で負傷したDF加賀健一に代わり、U-23韓国代表のDFチャン・ヒョンスを起用した。

 川崎Fの布陣は4-4-2。最終ラインは右から實藤友紀、ジェシ、森下俊、小宮山尊信。中盤はダブルボランチに柴崎晃誠と中村憲剛、中盤の右に田坂祐介、左に小林悠、2トップにレナトと矢島卓郎が入っている。対するF東京は4-2-3-1。4バックは右から徳永悠平、チャン・ヒョンス、森重真人、太田宏介。中盤の底に高橋秀人と長谷川アーリアジャスール、2列目は右から石川直宏、羽生直剛、谷澤達也。1トップにルーカスが入っている。

 立ち上がりから細かいパスを回すF東京が川崎F陣内で試合を進める。2列目から最前線に飛び出すMF石川直宏が縦パスを受けて、攻撃のリズムをつくる。9分には中盤でFWルーカスにボールを預けた石川が前線に飛び出す。ルーカスが左のMF高橋秀人にパスを出すと、高橋がダイレクトで石川にパス。最終ラインの裏をとった石川が、GK西部洋平と1対1の局面を迎えたが、ここは鋭い飛び出しを見せた西部が抑えた。

 ここからは一進一退の攻防が続く。相手のコンパクトな布陣に、なかなか攻め手のなかった川崎Fも、前半16分にMF田坂祐介のミドルシュートが枠を捉える。しかし、これはGK権田修一がパンチングで防いだ。対するF東京も同20分、ルーカスのパスから最終ラインの裏へ抜け出したMF羽生直剛が、ゴール前にクロスを入れる。これにMF谷澤達也が飛び込むが、DFがブロックして難を逃れた。さらに、川崎Fも同22分にMF中村憲剛のスルーパスをレナトが前線で受け、CKを獲得する。そのCKをDFジェシが合わせたが、ボールは左に外れた。同26分にはルーカスがスルーパスを狙うが、前線でボールを受けようとした石川がオフサイドとなる。同28分にもF東京はCKのこぼれ球を谷澤が狙うが、シュートはわずかに右に外れた。

 同30分には、DFチャン・ヒョンス、羽生と縦につながったボールが、またも石川へ。石川は素早くシュートを放ったが、GK西部がセーブする。直後に川崎Fも田坂からのロングボールを最終ライン裏で受けた小林悠がGKと1対1になるが、シュートは権田に防がれた。同38分にも中村の縦パスから、小林、矢島とつながり、矢島が落としたボールを最後は中村がシュートしたが、ゴール上に外れた。互いにチャンスをつくりながら、得点は挙げられず0-0で前半を折り返す。

 後半3分、F東京にアクシデントが起こる。長谷川が2枚目の警告で退場処分を受けて退場に。同6分にF東京は羽生を下げて、MF米本拓司をピッチに送り出した。

 数的優位を得た川崎Fが、試合を攻勢に進める。同8分には中村のスルーパスをオフサイドポジションにいた矢島がスルー。後方から飛び出したレナトがGK権田と1対1のチャンスを得たが、権田にブロックされてチャンスを生かせない。同12分に川崎Fは左SB小宮山尊信のクロスに右SB實藤友紀が飛び込むなど、人数をかけてF東京ゴールに迫った。

 反撃の糸口を探すF東京は同15分、石川が相手のパスをカット。縦に抜けて、ゴール前のルーカスにパスを出したが、シュートは枠の上を越えていく。後半23分、川崎Fは中村のパスをPA内で田坂が折り返す。ゴール正面でフリーになっていた小林がシュートを放つが、ここでも権田が立ちふさがった。

 同30分、両ベンチが同時に動く。F東京は谷澤を下げてMF田邉草民を投入、川崎Fは田坂に代えてMF稲本潤一を入れ、中村をトップ下に上げた。34分にも川崎Fはレナトを下げて、長身FW小松塁を矢島と並べる。同36分には小松のポストプレーからMF柴崎晃誠がつなぎ、矢島がゴールを狙ったが、シュートはGKが防いだ。同39分にも中村から左サイドのスペースに展開。しかし、小宮山の折り返しをGKがキャッチする。

 一人少ないながら、川崎Fの攻撃を凌いだF東京が好機をつかむ。同41分には高橋がミドルシュートを放ったが、シュートをGK西部がパンチングで防ぐ。その直後のCK、石川のCKを森重が合わせて先制点を決めた。

 後半44分に川崎Fは柴崎を下げて、MF山瀬功治をピッチに送り出す。F東京も太田が負傷し、DF椋原健太を左SBに配置した。ジェシを前線に上げて攻める川崎Fも、48分に左サイドを山瀬が突破。中央で小松が合わせたが、シュートは左に外れた。ロスタイム6分、川崎FはFKを獲得するが生かせず。数的不利の中、唯一のチャンスを生かしたF東京が1-0で勝利。森重は「一人少ない状況をみんなでカバーしてチームでつかんだ勝利だと思う」と会心の笑顔を見せた。

(取材・文 河合 拓)

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