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Jデビューのチャン・ヒョンス「すんなりと試合に入れた」

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[4.8J1第5節 川崎F0-1F東京 等々力]

 開幕前にFC東京を語る上で、必ず聞かれた言葉がある。「今野泰幸(現G大阪)の穴をどうするか」。ここまで、そのポジションに入っていたのは、磐田から加入したDF加賀健一だった。開幕からリーグ戦5試合で4勝1敗。チームが3位と好調ということもあり、今野不在を嘆く声はほとんど聞かれなくなった。

 だが、4日に行われたACLの北京国安戦(1-1)では、その加賀が左ハムストリング筋挫傷のケガを負った。この窮地に、スタメンに抜擢されたのがDFチャン・ヒョンスだった。11年にコロンビアで行われたU-20W杯に韓国代表の主将として出場したCBは、「北京国安戦でも出場していましたし、昨日からホテルでゲームに入るときのイメージをしていたので、すんなりと試合に入れました」と振り返る。そして、Jデビュー戦でも動じることなく、高いパフォーマンスを見せた。

 タイプの異なる川崎Fのレナト矢島卓郎という2トップを相手に、1対1の局面で渡り合う。前半43分、DFジェシが最終ラインの裏に放り込む。そのボールに反応した矢島に体を寄せて、ボールを渡さない。後半に入って退場者を出してからも「絶対に無失点に抑えようと思った」と堅い守りを見せた。

 さらに、チームが標榜する攻撃的なパスサッカーを実現する上で不可欠な、後方でのビルドアップや縦パスでも存在感を示す。後半26分、MF高橋秀人からバックパスを受けると、すぐにフリーのMF谷澤達也に正確なパスを入れた。

 チーム関係者が「もっとも今野に近いタイプかもしれない」と語っていたが、Jデビュー戦で攻守に良いプレーを見せた。川崎Fを無失点に抑えた試合後、本人は「まだまだ展開力や集中力を高めたい。今日も森重選手にカバーをしてもらう場面がありました。カバーがなくても自分で守れるようにしたいし、逆に森重選手の対応できないときにカバーできるようになりたい」と、ピッチに立ったことで新たな課題を見出していた。

「Jリーグという、自分にとって夢の舞台でのデビュー戦に勝利できました。10人での戦いは苦しかった分、喜びも大きい」と喜んだ。コンビを組んだ森重も「お互いに話し合って良い守備ができたと思う。ヒョンスは能力も高いし、楽しくプレーできた」と手応えを口にする。

「まだホームでプレーできていないので、味の素スタジアムの雰囲気を味わって、ゲームに集中したい」。最高の第1歩を刻んた韓国人ルーキーは、新たな夢と目標に向かって、次の一歩を踏み出す。

(取材・文 河合 拓)

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