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浦和と相まみえた香港・理文DF立花稜也、高校選手権で躍進後に単身モンテネグロへ…27歳で立ったACLの舞台

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理文(香港)のDF立花稜也

[8.22 ACLプレーオフ 浦和3-0理文 埼玉]

 高校卒業後、モンテネグロ、香港を経て、AFCアジアチャンピオンズリーグ(ACL)の舞台に立った。理文(香港)のDF立花稜也はフル出場で浦和レッズと対戦。0-3で敗れはしたが「埼玉スタジアムで浦和レッズと試合できる機会は、僕のサッカー人生でもあるかどうかわからない。楽しめました」と満面の笑顔で語った。

 岐阜工高の3年生時には第93回全国高校サッカー選手権にも出場した。初の埼玉スタジアムでの決勝戦にはMF小泉佳穂が前橋育英高で準優勝を経験する中、立花は1回戦で香川西高に勝利も、2回戦で山梨学院高にPK戦で敗戦。高校卒業後、Jリーグからのオファーもなかった立花は大学進学も考えていたが「お父さんの海外でも行ってみたらという些細な一言がきっかけ」で海外挑戦を決意した。

 英語も「How old are you?がわからないレベル」だった。しかし父と模索した結果、向かった先はモンテネグロ。「そこで結果を出したらチャンピオンズリーグとかそういう予選にも出れるかもしれないぞと」。セルビア語を学びながら、2部スタートから1部にステップアップも給料はほぼ出ず。オフシーズンには帰国して工場でのバイトでお金を作り、再びモンテネグロでサッカーをする日々だったという。

 昨シーズンから香港に渡り、理文ではバイト生活から抜け出した。「プロサッカー選手だということを、職業として言えるようになったかなと思います」。2年目の今シーズン、アジアの舞台に上がり、埼玉スタジアムで浦和と対戦した。

 もともとサイドバックが本職ではなかった立花にとって、酒井宏樹はお手本。試合後には握手も交わしたが「参考にしてましたとかも伝えたかったんですけど、言えなかった」。試合では目の前でアシストを決められた。「ボールを持ったら身構えてしまう。こちら側が委縮してしまって、立て続けに失点してしまった。そういうところをちゃんと仕留めてくるところはやっぱりすごい」。アジア王者の強さを肌で体感した。

 理文に加入した理由は、できるだけ長くサッカーがしたいから。「30代後半までプロとして選手をしている外国人が多い。帰化して国籍を取る人もいるくらい。自分は帰化は難しいが、できるだけ長くやって、親とか家族とか友だちに見せられれば」。27歳でACLの舞台に上がり、新たな目標ができた。「浦和の選手に追いつけるように、これからも練習を取り組み直して頑張っていきたい」と浦和との再戦を誓った。

(取材・文 石川祐介)
●ACL2023-24特設ページ
石川祐介
Text by 石川祐介

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