beacon

J1昇格逃した甲府、失意を経てのアジア舞台…ACL初出場の正GK渋谷飛翔「締めるところを締めるべきだった」

このエントリーをはてなブックマークに追加

[11.29 ACLグループH第5節 甲府 3-3 メルボルン・C]

 J1昇格プレーオフ出場権を逃した失意のJ2最終節から17日後、ヴァンフォーレ甲府はAFCチャンピオンズリーグの再開戦に挑み、終了間際の劇的な同点ゴールで勝ち点1を掴み取った。この日がACL初出場のGK渋谷飛翔は「初めてACLのピッチに立ったので嬉しい反面、勝てなかったことがすごく悔しいゲームだった」と唇をかんだ。

 甲府は今月12日、敵地でのJ2最終節・山形戦に1-2で敗れ、シーズンを8位でフィニッシュ。土壇場でJ1昇格プレーオフ出場権を逃した。一方、残る2試合のACLではこれまで続いていたJ2リーグとの連戦が解消されており、コンディションに配慮されターンオーバー起用が続けられていた渋谷らJ2リーグ戦の主力選手がピッチに立つことが可能となった。

 メルボルン・シティをホームに迎えたこの日は渋谷、MF長谷川元希、FW三平和司がACL初先発。そのうち渋谷は初出場で、J2リーグ戦で最後まで昇格を争い続けた選手たちで戦うことができた。それでもJ1昇格の可能性が潰えたショックは大きかったか、この日の甲府は前半5分に失点。苦しい立ち上がりを強いられていた。

 失点シーンではスローインのセルフジャッジをきっかけに、守備陣がボールウォッチャーのまま左サイドを崩し切られた。渋谷は「完全にみんな足が止まってしまっていた。久しぶりのゲームだったのもあるかもしれない。集中して入ろうとは言っていたけど、止まってしまったのでもったいなかった」と振り返るしかなかった。

 その後は甲府が攻勢に転じ、前半のうちに逆転に成功したが、後半も序盤は再び相手ペース。短時間で2ゴールを献上した。最後はFW宮崎純真のゴールで追いついたが、全体としては悔いの残る試合運び。渋谷は「相手に決めるところで決められたので、うちも決めるところで決めていたら違う展開になったと思う」と悔やんだ。

 またJ2最終節からの取り組みについても「リーグも終わってしまってプレーオフもなくなってしまって、自分でも気持ちを作る、切り替えるのが難しい部分はあったけど、ゲームが近づけば集中力は戻ってきた。ただやれている選手、やれていない選手がいたと思う。ベテランの歳になってきたので締めるところを締めるべきだったなと思う」と悔いを残したようだ。

 それでも試合後、遅れてキックオフしたブリーラム・ユナイテッド対浙江FC戦で浙江が勝利。甲府のグループ首位の座は守られ、最終節でブリーラム・Uに勝利すれば決勝トーナメント進出に大きな可能性が残るという前向きな状況となった。

 試合後の取材時点では結果待ちの段階だったが、渋谷は「このグループは均衡していて、最後の最後でドラマが起きると思う。自分たちがやってきたことをもう1回見直したい。得失点差でわからないかもしれないけど、勝たなきゃいけないので、トーナメントに進む意気込みでやっていきたい」と力強い言葉で意気込み。敵地ブリーラムでのACL最終節は12月12日と再び試合間隔があるが、今度はチーム全体のメンタル面にも気を配りつつ挑んでいく構えだ。

(取材・文 竹内達也)
竹内達也
Text by 竹内達也

TOP