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[MOM4353]清水ユースDF岩本昇悟(3年)_マスチェラーノに憧れる172cmのCBが大仕事!! 追撃弾&劇的弾で大逆転勝利に導く

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2得点を奪った清水エスパルスユースDF岩本昇悟

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[7.23 クラブユース選手権(U-18)GL第1節 札幌U-18 2-3 清水ユース 群馬自動車大学校G]

 2点ビハインドと追い込まれ、試合終盤を迎えた。時計の針は進み、残り時間はアディショナルタイムを含めて10分強しか残されていない。そんな敗戦濃厚の状況下から清水エスパルスユースを救ったのは、172cmのCB岩本昇悟(3年=清水エスパルスジュニアユース)だった。

 0-2で迎えた後半28分(35分ハーフ)。右CKを得ると、左SB有村柊人(3年)が蹴ったボールに合わせた。相手より先に動いてフリーな状況を作り、172cmの身体を目一杯使って宙を舞う。完璧なタイミングでボールを捉え、豪快なヘッドで反撃の狼煙を上げる一撃を叩き込んだ。

 岩本の一撃で息を吹き返したチームは、後半35+1分にMF岡田珠羽(2年)のゴールで同点に。敗戦が目前に迫っていたものの、土壇場でスコアをタイとし、さらに勢い付く。

 0-2からの大逆転劇が現実味を帯びる中、残された時間はわずか。後半35+4分にはラストプレーとなる左CKのチャンスをつかんだ。

 そこで再び魅せたのが岩本だ。有村がゴール前にボールを蹴り込むと、一度はクリアをされてしまう。しかし、そこからMF西原源樹(2年)が懸命に頭で繋ぐと、ゴール前に背番号3が飛び込んだ。体勢を崩されながらも競り勝ち、頭で押し込んで決勝弾を決めた。ボールがゴールに吸い込まれると、岩本は仲間たちの下へ。喜びを分かち合い、雄叫びを上げながら感情を爆発させた。

「ラストワンプレーで決めないといけない状況。みんなの気持ちが全面に出て、いいところにボールが来たので決めるだけでした」

 興奮した自身の気持ちを落ち着かせるように逆転弾を振り返った岩本。「無失点で抑えないといけなかったし、35分ハーフの短い時間で2失点は試合を難しくする」と唇を噛んだように、本職の守備では悔しさが残る出来だった。

 実際に守備面では球際で強くいけず、相手にターンを許す場面が散見。すでにルヴァンカップでトップチームデビューを飾っている札幌U-18の1トップ・FW出間思努(3年)に対しても、ボールを収められ、競り負ける場面が目立った。

 守備で不甲斐ない出来に終わったからこそ、チームのためにゴールを決めたいという想いは人一倍強かったのだろう。試合後は安堵の表情を浮かべ、初戦を勝ち切ったことにホッと胸を撫で下ろした。

 チームに勝利をもたらしたが、満足感は無い。守備面で活躍してこそ、胸を張れるからだ。憧れはバルセロナなどで活躍したハビエル・マスチェラーノ。「身長も同じぐらいでビルドアップもうまくて、球際も激しい。全ての面で尊敬している」という元アルゼンチン代表の名手のように、次戦は守備面でチームの勝利に貢献できるか。

 清水エスパルスU-12三島時代にFWからCBにコンバートされて以降はSBやボランチなどでもプレーしつつ、主にCBでプレーして守備のスキルを高めてきた。清水の育成組織で育ってきた“エスパルスのマスチェラーノ”は、24日の浦和レッズユース戦では本来の仕事でチームの勝利に貢献するために戦い続ける。

(取材・文 松尾祐希)

●【特設】第47回日本クラブユースサッカー選手権(U-18)大会

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