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[MOM4355]鳥栖U-18MF堺屋佳介(3年)_福井太智から10番を受け継いだ男が復活!! もがき苦しんだ前半戦を乗り越えて値千金の決勝弾

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サガン鳥栖U-18の10番を背負うMF堺屋佳介(3年)

[7.24 クラブユース選手権(U-18)GL第2節 鳥栖U-18 2-1 新潟U-18 中央ビジネス石関公園サッカー場]

 福井太智(現バイエルンⅡ)から10番を受け継いで半年。チームを引っ張るエースとしては不甲斐ない成績だった。U-18高円宮杯プレミアリーグWESTでは10試合で3ゴール。下位に低迷するチームを救えず、幾度となく悔しい思いを味わってきた。だからこそ、サガン鳥栖U-18MF堺屋佳介(3年)は夏の群馬で自らの価値を示したいという気持ちがあった。

 2トップの一角でプレーした堺屋の見せ場は1-0とリードして迎えた後半15分。ボールを奪うと素早く攻守を切り替え、MF山崎遥稀(2年)が前方にスルーパスを送る。ここに走り込んだのが堺屋だった。

「遥稀が持った瞬間にフリーになれると思ったので、相手の両CBの間に顔を出した」

 狡猾な動きで抜け出すと、脇目を振らずにゴールへ向かった。背後から新潟U-18のCB山倉渉(3年)が迫ってきたが、一瞬のスピードで相手を引き離す。最後はGK内山翔太(2年)との1対1を制し、チームに貴重な追加点をもたらした。

 得点が決まると、喜びを爆発させた堺屋はゴールの裏を通って仲間の下へ。無我夢中で走っていたため、地面とネットを結んでいる紐に勢い余って突っ込んでしまったのはご愛嬌だが、それほどまでに嬉しいゴールだった。

 動き出しの良さが武器のアタッカーである堺屋は、新たなチームの顔として今季から福井が背負っていた10番を継承。春先は「本当に重たいと感じていた」というが、「(プレースタイルやポジションは違うけど)福井太智を目指すのではなく、超える選手になっていく。そうしないと上に行けない」という想いで奮戦を続けてきた。

 しかし、肝心の結果がついて来ない。大事な場面でゴールが奪えず、チームも5月上旬以降から公式戦未勝利が続いた。

 そうした苦しみを間近で見てきた田中智宗監督はこう話す。

「あいつがやらないとダメ。でもグズグズしていて。足の怪我の影響もあったんですけど」

 一方で堺屋はそうした素振りは見せず、チームのために強い意志を持って戦ってきた。何故ならば、シーズン前に福井からこんな言葉をかけられていたからだ。

「10番である佳介が崩れたらチームも崩れてしまう。崩れずに佳介がチームを勝たせろよ」

 先輩からの檄を受け、堺屋は結果が残せなくとも、ひたむきにプレーを続けてきた。

「自分が死ぬ気で走って、ピッチ上で誰よりも戦って、違いを見せないと勝つことはできない」と自分に言い聞かせ、迎えた今大会。自身の気持ちとは裏腹に23日に行われた栃木との初戦は0-1で敗れ、自身はシュートを1本も打てなかった。前日の悔しさを晴らすために必要なのは、自身の結果とチームの勝利。この新潟戦は何がなんでもゴールが欲しかった。

 チームを勝利に導く活躍に堺屋は安堵の表情を浮かべたが、現状に満足はしていない。現時点では進路が決まっておらず、トップチーム昇格のためにはさらなるアピールが必要だからだ。堺屋は言う。

「今の力でJ1、ルヴァンカップ、天皇杯に出たとしても通用しない。U-18世代で違いを見せないと、トップチームの試合には出られないと思う。結果を出さないと上には上がれないので、次の試合も結果を残したい」

 26日に行われる大宮アルディージャU18とのグループリーグ最終節は、決勝トーナメント進出を懸けた大一番。最も結果が求められる場面で自身の価値を証明できれば、トップチーム昇格にも近付くはずだ。チームを勝利に導くべく、鳥栖の”10番”は貪欲にゴールを目指す。

(取材・文 松尾祐希)

●【特設】第47回日本クラブユースサッカー選手権(U-18)大会

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