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[MOM4383]G大阪ユースFW安藤陸登(2年)_大黒コーチの助言で奮闘、交代寸前で値千金の決勝点!!

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チームを決勝へと導くゴールを奪ったガンバ大阪ユースFW安藤陸登(2年)

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[7.31 クラブユース選手権(U-18)大会準決勝 岡山U-18 0-1 G大阪ユース 西が丘]

 31日に味の素フィールド西が丘で行われた、日本クラブユースサッカー選手権U-18)の準決勝第2試合。両チーム無得点の後半25分過ぎ、ガンバ大阪ユースのゴールキックの場面で、メインスタンドのタッチライン際に2人の選手の姿が見えた。町中大輔監督は、攻撃のテコ入れを図る交代選手を送り出そうとしていた。その目の前、右サイドのタッチライン際でセカンドボールを制し、右MF森田将光(2年)が相手の背後へスルーパス。後半に入ってから鋭い抜け出しを見せるようになっていたFW安藤陸登(2年)がボールを追うと、先に追いついたように見えた相手の足先からボールがゴール方向へ抜けた。

「前半から、ピッチコンディションがスリッピーだった。ロングボールが来たときなどに、相手がかぶるんじゃないかと思っていた。スルーパスが少し長かったので、相手がかぶるかなと予測して後ろに回っていたら、良い感じでこぼれてきた」(安藤)

 したたかに狙っていたワンチャンス。完全に相手と入れ替わってボールを支配した安藤は、左足でグラウンダーのシュートをゴールへ流し込んだ。公式記録に刻まれた得点時間は、後半27分。安藤の交代時間は、31分になった。安藤は「交代の選手が出てきていたので、多分、僕だなと感じていた。ラスト、頑張ろうと思ってやったのが、生きた」と笑った。

 準々決勝までに3得点を挙げている安藤だが、この日は調子が良くないと感じていたという。それは、ベンチから見守る町中監督も気になっていた。

「安藤は、ボールを持った時の推進力、ドリブル、スピードに魅力がある。それを生かすためにオフ(・ザ・ボール)の所を……と言っていたが、今日はなかなか……。点を決められたからよしとしようかと思うけど、あれを前半からできていれば。いつ代えようかなと思っていたけど、代えようと思ったときに、プレーが切れずに決めた。それも運」

 指揮官は、苦笑いを浮かべていた。前半の試合内容を振り返る際も、前線の動き出しが少ないことで攻撃が停滞していたと話したほどで、安藤の出来には満足していなかった。

 身体が重く、調子が上がらない。その中で、安藤が意識していたのは、青黒のユニフォームでゴールを量産した名ストライカーの助言だった。04年にJ1で20得点を挙げ、翌05年にG大阪のJリーグ初優勝に貢献した元日本代表FW大黒将志氏が、現在はG大阪アカデミー(育成組織)のストライカーコーチを務めている。安藤は「大会中、試合を重ねて疲労が溜まり、調子が悪くなっている。でも、大黒さんに『調子が悪くても、1点決めたらプラスになるから』とずっと言われている。それをずっと考えながらやっています」とG大阪ユースの大先輩でもある大黒コーチの言葉を支えにしていたことを明かした。

 憧れの選手は、ブラジル代表FWガブリエル・ジェズス(アーセナル)。彼のようにドリブル、パス、チャンスメーク、得点と幅広く活躍できる選手を目指しているという。もちろん、憧れには、チームを勝たせる存在という点も含まれる。中1日で迎える8月2日の決勝戦では、大会初日のグループリーグで1-1と引き分けたFC東京U-18と再戦する。この試合で試合終了間際に同点弾を決めている安藤は「相手には、ハードワークがある。僕たちの技術やパスで相手を圧倒したい。前回は、めっちゃ暑い群馬で朝の試合。ピッチコンディションもここ(西が丘)ほど良くなかった」と、東京開催でのナイトゲームをプラス材料に捉えていた。

 決勝戦は、相手のホームでもある東京での戦いで簡単なゲームになる可能性は考えられない。それでも、苦しいときにすべてを覆す1点を、青黒の若きストライカーは狙い続ける。

(取材・文 平野貴也)

●【特設】第47回日本クラブユースサッカー選手権(U-18)大会

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