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4年後への宿題を与えられたFW岩渕「練習がしたいです」

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 五輪で日本サッカー史上初となる銀メダルを獲得した。だが、なでしこジャパン最年少のFW岩渕真奈にとっては、『宿題』を与えられた大会にもなった。決勝では1-2で迎えた後半31分から出場し、その7分後には相手の最終ラインからボールを奪い、決定機をつかんだ。しかし、シュートはアメリカの守護神ホープ・ソロに防がれ、そのままタイムアップを迎えている。

「勝ちたかった。自分のところで決めていればまた違っていたと思う。決めたかったし、角度的にはあそこしかなくて、コースが甘かった」と決勝直後には涙とともに振り返っていたが、帰国した11日、岩渕は新たな決意を口にした。

 多くの選手たちが「ゆっくりしたい」と話す中で、何をしたいかと聞かれた岩渕は「練習がしたいです」と即答し、「試合もあまり出ていないですし、疲れも多少はありますが、いろんな人に比べたら全然(疲れは)ないので」と付け加えた。クラブからは1週間のオフを提案されていたが、それも「明日から(練習に)行きます」と断ったという。

「悔しいからというより、オフがあってもやることがないですし。今まで毎日、ずっとサッカーをやってきたので。本当にサッカーしかないのかなと考えたら、やるしかないし、新しい目標もしっかりまたできたので。そこに向かってやりたいと思います」

 大会前、「オリンピックだけではなく、その先を見据えたメンバー選考」と佐々木則夫は語っていた。最年少の岩渕には、将来のなでしこジャパンを背負っていく存在という期待がかけられているはずだ。大会後も指揮官からは「特に何も言われていません」と言う岩渕だが、自身が代表で中心にならなければいけないという自覚は強く芽生えていた。

「次の五輪だけではなく、しっかりベレーザみたいに(代表でも)中心になれるようにしたい。このチームから何人抜けるか分かりませんが、責任感とかは大切にしていきたいです。どの部分を積み上げるかと言われると分かりませんが、いろいろな部分を伸ばしてしっかり頑張りたいなと思います」

 今大会中、現役大学生でもある岩渕は、宿題を持って臨んでいたという。「5本レポートがありましたが、全部やり切りましたよ」と胸を張った。今度はサッカーの神様から与えられた宿題をこなさなければならない。4年後、その宿題をこなし、金メダルを下げて、胸を張るために…。岩渕は休む間もなく、再び走り始める。

(取材・文 河合拓)

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