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横浜FC・FWカズ会見全文「50歳まで現役でいます」

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 フットサル日本代表は20日、24日から始まる愛知合宿に参加する16人の候補選手を発表した。初めてフットサル日本代表に招集された横浜FCのFW三浦知良は、クラブハウスで会見を行い、「A代表と同じ気持ちで取り組んでいきたい」と語っている。

 以下、会見全文

―今日のトレーニング、動きにキレがあったがケガの状態は?
「徐々に良くはなってきています。今日は比較的、体調が良かった。ただ、その日、その日でちょっとバラつきがあって、これで明日いいかというと、そうでもないときがある。明日になってみないとわからない。ただ、今日は非常に気持ち良くできました」

―フットサル代表候補メンバーが発表され、選ばれたが?
「自分はサッカー選手なので。フットサルは専門ではありませんが、フットサルの日本代表ということで、日本代表は日本代表ですから。フットサルもサッカーの中の一部だと思っていますので、今回代表候補に選ばれたことは、本当に光栄に、幸せに思います。気持ちとしては、サッカーの日本代表、A代表と同じ気持ちで、取り組んでいきたいと思います」

―W杯と聞いて何を思う?
「W杯というのは、自分の中の本当にずっと夢なので。今でもそうです。もし、ドーハのときでも、フランス大会のときでも、仮に自分がW杯に行けていたとしても、また行きたいという場所だと思う。実際にW杯に行った選手の誰に聞いてもそうですし、行ったことがあったとしても、今でもW杯に行くという夢は持ち続けてやっていると思います。当然、今でもW杯は夢でもありますし、自分のモチベーションでもあります」

―実際にW杯を戦う候補に選ばれて?
「フットサルとサッカー、競技は違いますが、フットサルをやっている世界中の選手にとっては一番の大きな大会。そういう意味では高いモチベーションでみんながやるものだと思う。それは誇りを持っていきたい。日本代表ですから。国の代表ですから。それは自分もA代表でずっとやってきたことですから。自分のそういう経験、重みというものを抱えながら、責任を持ってやりたいなと思います」

―サッカーのW杯出場は、カズ選手の夢。では、フットサルW杯は?
「もちろんフットサル界では頂点を決める一番大きな大会だと思いますし、フットサル選手が一番目指す大会だと思う。ブラジルもそうですが、世界のトップのチームが来て対戦する非常に大きな大会だと思いますし、日本のサッカー界が、これからもっともっと発展していく中で、フットサルという競技が、もっと盛んになっていくことが必ず必要になってくることなので。世界の大会に出て勝つことは本当に大きな意味があると思います」

―日本代表の青いユニフォームを着る責任、誇りは?
「さっきも言いましたが、自分としては日本サッカーA代表と同じ気持ちでやりたいと思います。今おっしゃったように、本当に大きな誇りと責任、いろいろなことを抱えながらやっていたことを、もう一度思い出し、さらに自分がその後に経験したいろいろなことを今回、出せたらいいんじゃないかと思っています」

―監督はリーダーシップや経験を求めているが、カズ選手自身は何を伝えたい?
「監督とは今回を含めて、何回か話をしました。自分が求められていることは分かっていますし、リーダーシップや経験と言われますが、やっぱりピッチの上で自分のここまでいろいろな経験をしてきたこと、それプラス技術やそういうものも発揮していかなければいけません。ただ、それを伝えることではなく、自分のできることを精いっぱいやることが、一番良い影響を周りに与えると思いますので。自分のやれることを精いっぱい、日本代表での経験、いろんなクラブで経験したこと、欧州やブラジルで経験したこと。そのすべてを練習から出していくことが、良い方向につなげられると思います。変に意識せずにやりたい。この前の1月にFリーグ参戦したときも、特別な意識を持ってやったわけではない。自分のやれることを精いっぱい、戦術の練習から本番の試合まで、自分の今持っているものを出し切ろうという気持ちでやったので、それでいいんじゃないかなと思っています。その中で、大きな日本代表という、日本を代表するわけですから。これは違った大きなモチベーションであり、チャレンジでもあります。本当に候補合宿から参加しないといけませんが、そのユニフォームを本当に着られるように、チャレンジしていきたいなと思います」

―実際にFリーグの舞台に立って、必要と感じていることは?
「サッカーと違って、良い面も難しい面もありますが、出入りが自由というのは自分にとってアドバンテージだと思います。アジリティとかスピードの面では、スペースが小さい分、早いですし、細かい動きも多いので、何回か練習をして、体にもう少し染みつかせなければいけないなと。サッカーとは少し違う部分がある。ただ、ボールを扱う技術には、それほど違和感を持っていません。止める、蹴る、ドリブルする。そういう細かい技術は気になりませんし、ボールも全然違いますが、気になることはありません」

―W杯のメンバーに選ばれれば、11月1日の初戦はブラジル戦だが?
「そうですね。僕の中ではカナリアの黄色のユニフォームは、世界で最も偉大な代表だと今でも思っていますし、そう信じています。その相手とやれるっていうのは、どんな気持ちになるのかな、と。(サッカーの)日本代表時代にも何度か戦っていますけど、これがW杯となったらどうなるかサッカーのW杯でもそうですけど、フットサルのW杯も、ブラジル代表の選手たちにとっては本当に大きな意味を持つ大会として挑んでくると思う。彼らは『最低でも優勝』という価値観で戦ってくると思いますので、それは本当に大変なチームとやらないといけないと感じています」

―ファン・サポーターは、W杯出場はもちろん、ゴールも期待しています。
「それは、本当にそうなれるように。それほどたくさんの時間があるわけではありませんが、しっかりキャンプに参加して、自分自身に自信を持てるようにトレーニングしたい。一つひとつのトレーニングを意味あるものにして、良い結果を出せるように、結び付けていきたいなと思います」

―一方、横浜FCがリーグ戦で佳境に入る中で抜けることは?
「これは本当に自分一人で決められることではありませんでした。もちろん、僕の意思が一番大事だったと思いますが、僕は横浜FCに所属している選手です。ですから、J2の試合が一番最優先されること。でも、今回フットサル日本代表候補に入るという話が最初にあったとき、クラブとしても、日本のサッカー界の発展を含めて、今回は日本代表のA代表に呼ばれたという感覚と言いますか、J1の選手でも日本代表に選ばれたらクラブの試合を犠牲にすることがあるじゃないですか。それと同じような扱いをしてくれると。もし、フットサル代表に選ばれたときは、そうやって送り出す、とクラブとしても言ってくれたので。自分自身もフットサルのこれからの発展と、大きな世界大会で日本代表のユニフォームを着るという意味。そのすべてを含めて、挑戦する。本当に横浜FCも今、昇格争いの中に入っていますからね。これから本当に大事な試合が重なってくるところで抜けると言うのは、僕としても一番悩むところでしたが、サッカー界全体のことを考えて挑戦させてもらえることになったので、これはこれで頑張りたいです」

―45歳で代表のユニフォームを着るチャンスが来ると思っていた?
「思っていないというか…。今回のフットサルW杯に出るということは思っていませんでした。ただ、自分が現役でやっている、サッカーを続けているうちは、どんな状況かわかりませんけど、いつか日本代表のユニフォームを着たいという夢と希望を持って、毎日を送っていることは、送っていたので。全く日本代表のユニフォームを着ることを考えていなかったかと言われると、いつも考えていたし、そういう気持ちでやっていました。代表に呼ばれたときに、ユニフォームを着たいなという気持ちを持っていつもやっていましたので、自分の中でそういう夢が、なかったわけではありません」

―何度も代表に選ばれてきたが、今回の選出は?
「Fリーグに出て、試合を観戦した(ミゲル・ロドリゴ)監督が、このW杯のことを話してくれて『協力してくれないか?』と言われたのが、一番最初でした。そのときはビックリしました。自分自身もFリーグの1試合をやって、終わった後に100%満足いくできだったかというと、そうではなかった。良い面もありましたが、自分自身、反省する点もたくさんありました。でも、それを見た監督が、技術を含めて、自分のサッカーでのキャリアを評価してくれて、『協力してくれないか』と言ってくれた。はっきり言ってビックリしましたが、それを評価されたことは、すごく嬉しかった。自分のやってきたことが間違っていなかったと。スペイン人の監督にそういう風に評価されたことは、とっても嬉しかったです」

―練習の最後にカズダンスをやっていましたが?
「カズダンスじゃないですよ(笑)。カズダンスに見えました?」

―見えました。ゴールしたときはカズダンスを見せてくれますか?
「どうですかね。そうなるように努力します」

―フットサルバージョンで新しく考えていたりとかは?
「考えていません。自然に(笑)」

―ゴールが決まれば、おそらく最年長ゴールになると思うが。
「良いんじゃないですかね。なかなか40歳にもなって、そういう大会に出られるチャンスはあまりないと思うので。そこでゴールが出来れば、これからやっている今の若い選手たちにも、そこまで歳をとってもできるんだなということを証明できれば。これから先、50歳までやる人も出てくるかもしれない。僕もやっていると思いますけど(笑)」

―久しぶりの『代表招集』は?
「いいものですね、やっぱり。ワクワクしますし、そういうチャレンジをさせてもらえるのは嬉しい。ブラジル時代から、日本代表へのこだわりは人一倍持っているつもりですから。ホテルにいる時に代表のジャージを着られるだけで、うれしいですよ。練習着でも早く着たいなと。試合のユニフォームはもちろんですけど、練習着も早く着させてもらいたいくらい、僕にとっては重いものです」

―今回、代表合宿に参加する上で、代表のスタッフやチームに頼んだことは?
「特別には、ありません。協会の人を含めて2回くらい話したときに、いろいろな要望をだしました。個人的なことではトレーナーを付けたいということは言いましたが、あとは全体的な選手への待遇の面では、ちょっと意見を言わせてもらいました。それは協会の人たちも大仁会長を含め、協力してくれて、前向きに要望を聞いてくれました。実現できれば、選手たちのモチベーションもさらに上がるんじゃないかなと思いますし、それによる責任も選手たちは増しますから」

―北海道のときと同じく呼び捨てにしてもらう?
「それは当然です。ここでもそうですから。19歳の小野瀬だって、僕のこと『カズ』って呼びますから。それはサッカーの常識で、特に変わったことではないので」

―サッカー界、フットサル界、全体を考えた決断?
「そうですね。フットサル界にとってW杯と言うのは、大きな事だと思います。それを報道してくれる人、伝えてくれる人も必要。まだフットサルを知らない人も多いわけですから。やっている人口は多いですが、まだまだ一般的には知らない人も多い。こうしてメディアの人が伝えてくれることで、たくさんの人に知ってもらえますし、競技人口が少しでも増えてくれればいい。自分がそこまで影響力があるかはわかりませんが、これはある意味、勝負事なので。僕が参加することでどうなるかはわかりませんが、フットサル日本代表が勝たなければ、なかなか見てもらえないし、大きくならないと思います。今回は非常に厳しいグループに入っているので。自分が入ることで、チームが極端に変わることはないわけですから、実際は。でも、今回オリンピックでも日本の代表の人たちが証明してくれたように、日本人が団体で力を合わせたときの力。個人競技よりも、団体競技の方が成績は良かったと思うのですが、日本人が一つになって、協力して戦ったときのあのパワー。一戦一戦成長していく、みんなで力を合わせて、足りないところをみんなで補ってやっていく。そういう日本人の真面目さ、勤勉さがグループになったときに大きな力を発揮したと思うんですよ。そういうものを出せれば、予選リーグ突破も不可能ではないと思います。でも、非常にそれは厳しい。ただ、グループリーグを突破できれば、何かフットサル界の歴史が変わる可能性はあると思いますし、その中で自分が協力できればいいと思います。そうすれば大仁さんたちが考えている底辺の広がりも見えてくると思います」

―なでしこも優勝したから盛り上がった。
「そうですね。U-23の五輪代表も、スペインに勝ったからっていうのがありましたから。それに倣って、大きな力としていかなければいけませんが、対戦相手を見ると大変なことだと思います」

―1月にやったとき、サッカーとフットサルでは使う筋肉が違うと言っていた。
「違いますね、負担が。下の芝生とピッチも違うので」

―トレーニングは変わる?
「フットサルのトレーニングキャンプのスケジュールを見れば、時間があると思うので、ここではやらなくていいかなと思います」

―過去にラモス瑠偉氏、北澤豪氏、田北雄気氏もフットサル代表でプレーした。彼らからアドバイスはもらう?
「今は特に話をしていません。直接、日本代表の選手たちにアドバイスをしてもらいます」

―背番号の希望は?
「11番だったらいいですね。ダメですか?」

―いえ。用意されると思います(笑)。
「(笑顔を見せて)ほか、大丈夫ですか? ありがとうございました!!」

(取材 河合拓)

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