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[フットサルW杯2012]ミゲル・ロドリゴ監督「(W杯に)GKは3人連れて行く」

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 フットサル日本代表は、1日に静岡合宿の初日を迎え、所属クラブの事情で参加を見合わせた横浜FCのFW三浦知良を除く15選手がトレーニングを行った。報道陣が約30名、ファンが約80名集まった練習を終えたミゲル・ロドリゴ監督は「このチームはアジア選手権を優勝したチームであり、W杯に出る。そして初戦でブラジルとも対戦する。十分に注目を集めるに値するチーム」と強調し、「そこにさらにカズ選手が後押ししてくれる。離陸する飛行機のように、今回のことがきっかけになればいい」と、フットサル人気が定着することへの期待を口にした。

 多くの人の関心を集め始めているフットサル日本代表だが、結果が出なければ、人気は一時的なモノになる可能性は高い。日本にとっての大きな痛手は、ブラジル、ポルトガルといった超強豪国と同じグループに入ったことだ。フットサルW杯では、グループステージの3位にも、ワイルドカードで決勝トーナメントに進出できる可能性がある。だが、仮に初戦で大敗を喫し、得失点差で大きなビハインドを背負うことになれば、逆転することは難しい。例えば前回大会、日本は初戦のブラジル戦に1-12で敗れたが、同じことを繰り返せば、決勝T進出は夢のままで終わるだろう。

 初戦のブラジル戦、2戦目のポルトガル戦と、ともに大敗はできない。相手に押し込まれる時間が長くなることが予想されるが、ブラジルと戦う上で、日本には大きな不安要素が、ある。

 現在の日本代表にはフィクソという、サッカーでいうDFにあたるポジションでプレーする選手が4人いる。FP小宮山友祐(バルドラール浦安)、FP北原亘(名古屋オーシャンズ)、FP村上哲哉(シュライカー大阪)、FP滝田学(ペスカドーラ町田)である。いずれも守備面に特長のある選手たちだが、その中でも前回のW杯にも出場している小宮山と北原は、チームの核となる選手であり、彼らの活躍が決勝T進出には不可欠だ。しかし、AFCフットサル選手権の決勝で退場してしまった北原は、初戦のブラジル戦に出場することができない。前回の合宿で「現在の14人がベースで、候補はあと2、3人」と明言していたミゲル監督だが、フィクソ不足は深刻である。

 フットサルは、選手を何回でも入れ替えることができる。スタメンの選手が一度、ベンチに戻り、体力を回復してから再びピッチに戻るということも可能だ。そのルールを生かし、選手を何度も入れ替えて、常にフレッシュな選手を起用してプレスを掛け続けるという戦略もある。そのためには走れるFPが数多く必要になる。

 フットサルW杯の登録メンバーは14人だ。そこにGKを何人入れるかは、こういった戦略を考えても、非常に重要な判断となる。どういった構成で臨むかを聞くと、ミゲル監督は「GKは3人連れていきます」と即答し「退場したときや、ケガや何かアクシデントが起きる可能性はありますからね。そこで2人にするというリスクが大きすぎます」と説明を加えた。

 その上で、極めて重要な初戦のブラジル戦に向け、何か対策を取るのかと聞くと、ミゲル監督は苦い表情を浮かべて「耐えるしかありません」と口にし、「何か準備はしようと思いますが、その予行演習となる戦いが代々木でできるので。そこで、どれくらいできるかは、確認したいと思います」と語るにとどまった。

 こういった事情があるからだろう。フットサル日本代表は静岡合宿後、15日からW杯に向けて最後の強化合宿を行う。W杯に出場する14選手で、最終的なトレーニングを行うのかと思われたが、その合宿でも最終登録メンバーより2人多い、16人の選手を呼ぶという。「名古屋合宿は16人で行います。最終メンバーを決めるのも、そのあたりの日程になると思いますが、まだ迷っているので、いつ決めるか詳しくは言えません」。

 初戦のブラジル戦は、10人のFPで戦うことになり、そこにはフットサルに慣れていない三浦がいる可能性も非常に高い。この段階でメンバーから外せば、せっかく注目を集めたフットサル日本代表は、その注目を失うばかりか、非難の対象となる可能性も高いからだ。過去にないほど、大きな期待を日本中から集め、決勝T進出を目指すミゲル・ジャパン。「全員にとって、大きなチャレンジ」と、繰り返す指揮官は、どのような策を見つけ出すか。

(取材・文 河合拓)
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