[3.30 J1第4節 柏3-1大分 柏]

　一昨シーズン、優勝の原動力となった“柏の心臓”が帰ってきた。

　今シーズン初めてMF大谷秀和とMF栗澤僚一がスタメンからダブルボランチを組んだ。前半、柏レイソルが大分トリニータを圧倒した要因は、間違いなくこの2人にある。守ってはセカンドボールを拾い、楔のパスをインターセプトし、大分の攻撃の芽を摘んでいった。

　そして、この日は攻めにも積極性を見せた。守備時は5バック、3ボランチを敷く大分の守備ブロックを崩すために代わる代わるPAまで顔を出し、前半終了間際には、FW工藤壮人のパスを受けた栗澤が惜しいシュートを放った。ダブルボランチのあうんの呼吸が、中盤を支配していた。

「ハーフタイムに監督から戦術的な指示はなかった」と大谷が振り返るように、完璧な試合運びだった前半だが、後半は一転して大分に主導権を明け渡した。「後半も圧倒しなければならなかったが、立ち上がりに相手にいけると思わせてしまった」

　あわや逆転の場面を大分に何度も作られたが、苦しい時間を耐え凌ぎ、逆にチャンスをものにして勝利をおさめることができた。「今日は重要な試合だと監督にも言われていた。これ以上、上位に離されるわけにはいかない」。ACLでは2連勝と好調なスタートを切れた一方、リーグでは開幕勝利の後は2連敗。シーズン序盤とはいえ、これ以上勝ち点を落とすわけにはいかない一戦だった。

　来週から平日にACLが再開されるため、大分戦を皮切りに5連戦となる。「勝ちでスタートできたのは大きい。切り替えて(ACLへ)いい準備をしたい」。悲願のJ1とACLの2冠に向けて、柏のキーマンは勝って兜の緒を締めた。

(取材・文　奥山典幸)