beacon

圧倒的にボールを保持も…完封負けの浦和ペトロヴィッチ監督「私の敗戦」

このエントリーをはてなブックマークに追加

[4.20 J1第7節 大宮1-0浦和 NACK]

 痛恨の敗戦になったと、浦和レッズペトロヴィッチ監督は悔しがる。「非常に痛い敗戦だった。これまでのダービーでは前半の入りが悪いことが多かった。今日も相手がアグレッシブに来ることは分かっていたが、こちらは選手が慎重にと言うか、怖がりながら入ってしまい、横パスやバックパスが多くなった」。

 実際に立ち上がりはチャンスだった。大宮アルディージャのMF青木拓矢が「最初はマークがはっきりしなかった」と話すように、アグレッシブなプレッシングを見せた大宮だったが、MF阿部勇樹、MF鈴木啓太に攻撃の起点をつくられていた。しかし、ペトロヴィッチ監督のコメントにあるように、この隙を浦和は生かせなかった。起点となっていたボランチに対し、青木、MF金澤慎をぶつけることで、修正を施した大宮がボールを浦和に持たせ、試合の主導権を握って行った。

 MF梅崎司も前半のプレーを反省する。「前半にもっと相手のプレッシャーをかいくぐればよかった。もう少し引いてくるかなと思っていたけど、予想以上に前から来ました。ただ、面食らったわけでも、受けに回ったわけでもない。自分たちの後ろからつなぐサッカーの精度をもっと高めないといけない」と、唇を噛んだ。

 後半に入り「相手の動きが落ちた」という梅崎は、積極的に右サイドでボールを受けてチャンスをつくった。PA内で倒されて、PKかと思われる場面もあったが、飯田淳平主審はファウルを認めなかった。「イメージ通りの仕掛けができたし、足にかかりましたが、結果として残念です」と梅崎は悔しがる。

 引いた相手を崩す際に、梅崎が見せた個での突破は今後も不可欠になってくるだろう。同じく打開力のあるMF原口元気が前半のうちに負傷交代したのは痛手だった。梅崎も原口の力を認めるが「交代して入ってきた選手も変わらないクオリティがあるから、言い訳にしかならない」と、敗因にすることは拒み、「自分たちのサッカーをあまり出せなかった。ダービーで素晴らしい雰囲気だっただけに申し訳ない」と、サポーターに謝った。

 ペトロヴィッチ監督も、選手とサポーターに頭を下げた。「応援してくれたサポーターにも、後半頑張ってくれた選手にも、申し訳ない気持ちでいっぱいです。サッカーには今日のような敗戦もあるが、進むべき方向は間違っていません。ベストの準備をしたと思っていますが、残念ながら試合に良い入りができなかった。結果に対する責任は私にあるし、批判は私にしてほしい。この敗戦は私の敗戦だ」と、責任を重く受け止めた。

 無敗同士で迎えたダービーに敗れ、順位は3位に落とした。それでも自分たちの進んできた道を信じ、続けて行くことが肝要だと監督、選手は繰り返す。FW興梠慎三も「今日は、課題が見えた試合だった。悔しいけれど、(最終的な)結果、優勝すれば大丈夫」と、この敗戦をタイトルにつなげることを誓った。
(取材・文 河合拓)

TOP