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[選手権予選]市立浦和がオナイウ擁する正智深谷を撃破!!5年ぶり全国へ

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[11.17 全国高校選手権埼玉県予選決勝 市立浦和1-0正智深谷 埼玉ス]

 第92回全国高校サッカー選手権埼玉県予選決勝が17日、埼玉スタジアム2002で行われた。市立浦和が終了間際のDF松本渉(3年)主将のゴールでFWオナイウ阿道(3年)を擁する正智深谷に1-0で勝利し、5年ぶり14回目の全国大会出場を決めた。今夏の全国高校総体では4強だった正智深谷だが、冬の日本一決定戦に出場することは叶わなかった。

 終了間際の一撃が試合を決めた。正智深谷の小島時和監督の「市立(浦和)のパターン。ここさえ凌いでくれ」との思いは届かず。市立浦和がこの日初めてのCKを決勝点につなげてみせた。

 後半39分、市立浦和の右CKからゴールは生まれた。DF冨田康平(2年)が左足で蹴り込んだボールはゴール正面に流れると、最後は走り込んできた松本が左膝で押し込んだ。値千金の決勝弾。先制点が決まった瞬間、選手たちは応援スタンドへ一目散に駆け出した。

 アシストを決めた冨田は「正智深谷の10番(オナイウ)がファーサイドにいる。それを警戒してニアに入れようと言っていた。もっとニアサイド寄りへ蹴りたかったけど、蹴った瞬間に入る軌道かもしれないなと思った」と笑顔で話した。このゴールを守り切った市立浦和が5年ぶりの全国行きを勝ち取った。

 大胆な先発変更が功を奏した。準々決勝では延長戦の末に西武台を撃破し、準決勝では武南に逆転勝利。上昇気流に乗ったチームは「ここまで攻めてきたんだからやるしかない」(池田一義監督)と先発を準決勝から4人変更。より攻撃的な布陣を敷いた。システムは変わらずに4-1-2-3。しかしメンバーは、これまで途中出場だったFW鍛冶光一(3年)とMF野澤圭吾(3年)を先発に抜擢し、ウィングで出ていた冨田が左SB、DF石神佑基(2年)が右SBを務めた。公式戦で一度も試していない形だったが、県決勝の大舞台にぶつけた。

 試合は互いにチャンスのない時間が続くも、前半20分を過ぎた頃から決定機をつくり出した。前半25分、まずは市立浦和がみせた。PA内右から野澤がDF2枚を引きつけ、果敢にドリブル突破。中央へ走り込んだフリーの鍛冶が横パスを受けると右足シュートを狙う。しかし、GK磯部大暉(2年)の右手一本に阻まれた。先発起用に応えるかのように野澤と鍛冶が果敢に仕掛けた。

 直後の前半28分には、正智深谷がチャンスメイク。左サイドから崩しにかかると、ドリブルで仕掛けたFW福井康太(2年)が後方のMF岡部拓実(3年)にパス。フリーの岡部がシュートを放つもゴールネットを揺らすことはできない。0-0で前半を折り返した。

 後半に入ってもなかなかスコアは動かない。それでも松本主将が正智深谷のエースFWオナイウをしっかりとマークし、自由にボールを持たせず。石神、富田、小林と最終ラインの2年生3人も必死に身体を張った。後半29分には右サイドを押し込まれ、MF栗田怜(2年)に左クロスを許す。これはクロスバーを叩き、難を逃れた。

 ピンチの場面もあったものの、市立浦和は守りに徹することなく、果敢に攻める意識も忘れない。冨田と石神の両SBは最後まで果敢なオーバーラップをみせた。すると終了間際の39分、市立浦和がこの日初めてのCKを獲得。これが決勝点につながった。

 守り抜いた訳ではなく、攻め続けて勝ち取った全国切符。試合後、市立浦和の池田監督は「ここで決めてくれると信じていたので本当に良かった。今年に限らず、攻めて勝つというのをチームは貫いてやってくれている。この後も、それを貫いてやっていきたい」と話した。これまで監督の応援団幕は『智将』だったが、決勝前に監督自身の希望で『闘将』に変更されたという。そんな『闘将』が率いる“攻め勝つ集団”市立浦和が全国行きを果たした。

(取材・文 片岡涼)

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