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[選手権]注目対決は京都の新鋭に軍配!京都橘が藤枝東撃破!!

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[1.2 全国高校選手権2回戦 藤枝東0-2京都橘 フクアリ]

 2日、第92回全国高校サッカー選手権2回戦が行われ、フクダ電子アリーナ(千葉)の第2試合では京都橘(京都)が2-0で藤枝東(静岡)との注目対決を制して3回戦進出を決めた。京都橘は1月3日の3回戦で那覇西(沖縄)と戦う。
 
 昨年度準優勝、今大会「忘れ物を取りに来た」京都の新鋭か、それとも全国高校選手権優勝4回の静岡の名門か。15,135人の観衆が見守った注目対決は京都橘が制した。全国大会初勝利から試合ごとに強さを増して一気に決勝まで駆け上がった昨年度から1年。京都橘はその躍進がフロックでないことを証明した。昨年度大会得点王で名古屋グランパス入りするU-18日本代表FW小屋松知哉主将(3年)は「粘り強くディフェンスできているし、ちょっと硬かった部分あるけど頑張れるチームになってきた。(全国高校総体予選で敗退するなど)今年結果が出ていなかったことが大きいと思います。ここで結果を出さないと去年の結果がいい意味で捉えられない。そういう意識がみんなの中にあると思います」と注目対決で勝利したこの日のサッカーに加え、プリンスリーグ関西1部で2位に入り、来季プレミアリーグ参入も決めるなど、勝負強さを発揮できている要因を説明した。

 序盤、ボールを保持してサイド攻撃を仕掛ける京都橘に対し、藤枝東はいずれも技術とスピードを兼ね備えるFW片井巧、右FW櫻井敬基(ともに3年)、左FW小谷春日(2年)の高速3トップの攻撃力を活かしたオープン攻撃で対抗。11分には敵陣中央でのパス交換からMF大場淳矢(2年)の放った右足ミドルがクロスバーを叩き、17分には上手く縦へのパスをつないで片井が右足を振りぬいた。

 ロングボールでDFラインを押し下げながら、バイタルエリアへ選手が入り込んでショートパスで崩す藤枝東がペースを握っていく。だが、先制したのは京都橘だった。前半20分、CK後の流れからクリアボールを中央の左SB小川礼太(1年)がダイレクトで左サイドへはたくと、MF宮吉悠太(3年)がダイレクトでクロスを放り込む。これをファーサイドのCB林大樹(2年)がダイビングヘッドで押し込んでリードを奪った。

 1点を追う展開となった藤枝東だが、右サイドの櫻井が抜群の存在感。スピードで違いを示してDFを突破するなど右サイドを支配する。33分には右サイドを縦に突いた櫻井のクロスのこぼれ球を小谷が決定的な右足シュート。わずかにポスト左へ外れたが、それでも吉野友三監督が「攻撃的な良さを出してくれたかなと思う」と振り返ったように藤枝東は前半からしっかりとチャンスをつくっていた。

 対する京都橘は後半6分、右サイドからの仕掛けでDF2人の間を突破したMF中野克哉(2年)がPKを獲得。ただキッカーを務めた小屋松の右足シュートはGK長沢祐弥(2年)に読まれて止められてしまう。追加点のチャンスを逃した京都橘に対し、両サイドからのクロスの本数を増やしていた藤枝東は17分、右サイドでの切り返しから強引に縦への突破を図った片井がDFに倒されてPKを奪い返す。揺れるふじ色のスタンド。絶好の同点機を迎えた藤枝東は片井が自ら右足を振りぬいた。ただゴール右隅を突いたシュートはGK永井建成(3年、ロアッソ熊本内定)が驚異的な反応でキャッチ。この日果敢な飛び出しなど再三チームを救っていた守護神が、エースのPK失敗をビッグセーブで取り戻した。

 藤枝東にとっては痛すぎるPK失敗。21分に櫻井に代えて片井とともに静岡県予選得点王に輝いているFW田口史也(3年)を投入したが、26分に昨年度全国大会でゴールを奪っているFW赤澤祥平(3年)を送り出した京都橘が逆に大きな2点目を奪う。27分、右SB倉本光太郎(2年)が左オープンスペースへ展開すると、小屋松がダイレクトで丁寧なラストパス。これに走りこんだ赤澤がファーストタッチでゴールを陥れた。藤枝東は田口やMF原田光(3年)が強引にシュートまで持ち込んだが、京都橘の好守の前に1点を奪うことができず。昨年度の常葉学園橘に続き、静岡県勢としては2年連続となる初戦敗退を喫した。

 京都橘の米澤一成監督は「1試合目なので厳しい試合になると思っていた。相手も伝統のある高校ですし、底力もあると思っていた。何とか勝てたらなというのが試合前の本音やったのでこういう試合になるかなと。シンドかったですね」と明かすが、名門を沈めての堂々の勝利だ。攻められる時間こそ短くなかったが、それでも守備面ではやや間延びしていた3ラインを修正し、球際の強さと持ち味の運動量を発揮。永井の好守にも支えられて無失点で終え、ショートカウンターでしっかりとダメ押して白星をもぎ取った。

 昨年度の準優勝校はJ内定者の小屋松を永井をはじめ、経験者を多く残していることもあり、注目度が高い中での試合となっている。指揮官は「注目されることはありがたいですし、選手もそれを力にできたらなと思います」。大きな注目を浴びる中でホンモノの力を示していく。永井は「1年間試合を通して、点取られても、先制してもしたたかに橘らしくやってこれたかなと思います。それはだいぶ成長したと思います。このままの乗りで国立に行きたいと思います」と手応えについて力強く語った。PK戦の末に涙を流した鵬翔(宮崎)との国立決勝から1年。昨年成し遂げられなかった「あと1勝」を狙う京都橘が逞しい姿で選手権に帰ってきた。

[写真]前半20分、京都橘は林(右上)が先制ゴール

(取材・文 吉田太郎)
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