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[選手権予選]元日本代表FW森山泰行監督の下、「意識」変えてきた浦和学院が深谷一に5-0快勝:埼玉

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[10.10 全国高校選手権埼玉県予選決勝T1回戦 深谷一高 0-5 浦和学院高 深谷一高G]

 第94回全国高校サッカー選手権埼玉県予選は10日、シード30校と一次予選を勝ち抜いてきた22校の計52校による決勝トーナメントに突入。元日本代表FW森山泰行監督率いる浦和学院高は深谷一高に5-0で快勝した。浦和学院は10月12日の2回戦で狭山ヶ丘高と対戦する。

「ちゃんと勝つ雰囲気をつくる。チームとして、出ている人も出ていない人もお互いのことを思いやってという役割を果たす」と森山監督が話す浦和学院は、試合開始前からサブ組の選手やベンチ外の控え部員たちが素晴らしい雰囲気を作っていた。試合中はピッチサイドの控え選手たちが途切れることのなかった声と飛び跳ねながらの大応援。ホームグラウンドでの試合でこちらも負けじと応援団含めて戦っていた深谷一との初戦は、硬さもあって、特に序盤はなかなかリズム良く試合を進めることができなかった。それでも、相手ハンドで獲得したPKを皮切りに5得点。J1で通算215試合66得点を記録し、海外リーグでのプレーなど国際経験も豊富な森山監督が「成長の幅はありましたね」と目を細める3年生ら浦和学院が一体感のある戦いでまずは県初戦を突破した。

 ボランチの位置で幅広くカバーしていた司令塔・MF佐藤晴希(2年)やトップ下の位置でDFを鮮やかにかわすシーンが幾度かあったMF高橋永輝(2年)を中心に攻める深谷一は、相手の浅いDFラインの背後を狙ったほか、MF久保拓夢(2年)の右クロスや、FW城戸亮汰(2年)が相手GKのキックをチャージするなどホームを沸かせる場面も作り出す。

 一方、浦和学院は元ボランチで身体の強さを発揮するFW松本俊太郎(3年)やFW大竹翼(3年)へのロングボールを交えて相手のDFラインを押し下げ、また持ち味のサイド攻撃からチャンスメーク。13分には左サイドを突破したMF高橋光(3年)のラストパスをニアサイドに飛び込んだ松本がかかとで合わせる。だが、このシュートは左ポスト直撃。また28分にも混戦から大竹が放った左足シュートがクロスバーを叩いてしまう。それでもこの流れの中、PA内でボールを処理しようとした深谷一DFが痛恨のハンド。浦和学院は獲得したPKを松本が右足で豪快に叩き込んで先制した。

 浦和学院は34分にも左CKのクリアボールをつなぐと、右中間から強引に仕掛けて右足を振りぬいたCB伊藤圭吾主将(3年)の一撃がゴールへ突き刺さる。すると、後半4分にはこぼれ球に反応した高橋光が右足のファインショットで決めて3-0。さらに19分には交代出場のFW鈴木智之(3年)が自ら獲得したPKを右足で決めた。

 3年生で唯一先発したFW金児祐太らがスペースを狙った攻撃を見せて1点を取り返そうとする深谷一も28分、右サイド後方からのFKをファーサイドの城戸が頭で折り返し、CB中澤俊太(2年)が決定的な形で飛び込んだが、触ることができない。逆に、伊藤が「自分らは守備からリズムつくるチームなので、まずは守備をしっかりする」という浦和学院は中盤で厳しいチェックを見せていたMF稲葉陸(3年)や伊藤、CB小林航也(3年)中心に無失点のまま試合を進めると、33分にも右サイドから流れてきたボールを高橋光が左足のクリーンショットでゴールへ突き刺して5-0で勝利。浦和学院は昨年(4-1)に続いて、再び深谷一に初戦で勝利した。

 帝京高OBで「元日本代表」の森山監督は「高校サッカーは自分の原点。(高校時代、全国大会で)負けて悔いが残ったのもあった。成長させてもらったのもあった。原点が高校サッカーで頑張れたところがあったので、恩返しというわけではないですけど、自分の経験を伝えていければ」と昨年6月に過去2度の全国高校総体出場歴を持つ浦和学院の指導を本格的にスタート。当初、選手たちはその情熱に圧倒されていたという。現主将の伊藤が「最初は(その思いに)ぶつかっていくというか、跳ね返す部分が足りなかった。自分らのテンションが追いついていなかった」という浦和学院だが、それでも日々を重ねる中で意識が変わり、「日頃から『全国』と口に出してやっている。自分たちは上を目指しているので目標を高く持ってやっている」(高橋光)というチームになってきた。

 意識の変化は森山監督が求めてきたこと。「一貫して自分の力を出しきるということと、諦めないという気持ちと、チームとしてまとまるということを合言葉にやった。技術的な上手さ、準備のところも自分で意識していかなければならない。動き出しだったり、ファーストコントロールだったり、入り方も自分で意識しなければ変わらないよ、と」。当初低かった意識は選手同士でミーティングを重ねるなどして向上。飛び抜けた個や武器を有している訳ではないが、意識を変えたチームは熱い指導に全力で応えて成長を遂げてきた。そして、県外遠征で名古屋U18や清水ユース、立正大淞南といった格上のチームと対戦しても、やるべきことをやり通せば、強豪相手にも戦うことができるという手応えも掴んでいる。

「一週間のプランニングとかゲーム前のプランニングとか立てて、緩みがあったら怒ったりもしますし、ボトムアップとトップダウンを繰り返しながら」チームをつくってきた森山監督やコーチングスタッフに対し、伊藤は「本当に戦える集団にさせてもらっている。迷惑かけてきたので、そこは結果で返せるようにやっていきたい」と意気込む。初戦突破にもまだまだ満足することない。目標へ向けてチーム一丸で挑戦する。

[写真]前半28分、浦和学院は松本が右足PKを決めて先制

(取材・文 吉田太郎)
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