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[総体]「青森山田の10番」「プロ内定1号」注目MF高橋壱晟が臨む「覚悟のインターハイ」

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昨年は何も出来なかった。

 背番号7を背負って出場した昨年の全国高校総体。青森山田高のMF高橋壱晟(3年)は、多彩なテクニックと流動性を持って仕掛けて来る久御山の前に、沈黙させられてしまった。

「自分が変化を加えなければと思ったのに、そのまま相手の勢いに飲み込まれてしまった。頭が混乱したまま試合が終わってしまった」。

 優勝候補と言われながらも、まさかの初戦敗退。その責任の一端を彼が背負ってしまったことは否定出来なかった。本来ならば、こういう時にこそ、MF{神谷優太(現湘南)とともにボールを落ち着かせ、狂ったリズムを立て直さなければいけないのに、一緒にパニックに陥ってしまった。

 この苦い経験が昨年度の選手権で生きた。「自分から積極的に仕掛けないといけないし、ゴールを奪い切る迫力が必要だと感じた」と、5試合で4得点を叩き出し、ベスト4進出に貢献をした。

 今年、背番号は10となった。7番と10番は青森山田にとってダブルエースナンバー。この両方を背負った彼への期待値は、相当なものだった。その周囲の期待に応えるように、今年のプレミアリーグEASTでは首位を争うチームにおいて、最多の4ゴールをマーク。得点ランキング3位タイにつけている。

「10番である以上、結果を残さないといけない。選手権ではまだ周りに引っ張られているところがあった。今年は自分で引っ張って行かないといけないし、よりチームが苦しいときにこそ活躍をしないといけない」。

 おっとりとした性格だった彼に、強烈な自覚が芽生えて来た。そして、今月にはさらに自覚を芽生えさせる決断を下した。ジェフユナイテッド千葉への入団内定発表だ。この決断は全国の高校サッカーの選手において、今年のプロ内定第一号となった。

「もう少し待つことも考えましたが、引きずりたくなかったので、真っ先にオファーを頂いたジェフに決めました」。

 すっきりとした気持ちで高校最後の時間を過ごしたい。そして何より、屈辱を味わったインターハイに万全の状態で臨みたい。高橋の覚悟が垣間見えた。

 そしてプロ内定選手という看板を引っさげて、彼は全国総体の舞台に立つ。もう去年の二の舞は踏みたくない。それ以上に「去年はいいチームだったのに、全国制覇をすることが出来なかった。だからこそ今年は絶対にそれを成し遂げたい。個人としてもチームとしても、それは強く思っています」と、偉大な先輩たちが成し遂げられなかった全国の頂点を本気で狙っている。

 広島の地で躍動し、「青森山田の10番」、「プロ内定1号」の看板をより輝かせるべく。「攻守に関わる。攻撃のときは一気に運動量とパワーをもってゴールに迫るプレーをしたい」。高橋壱晟は『覚悟のインターハイ』に臨まんとしている。

(取材・文 安藤隆人)
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