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[MOM2357]名古屋U-18 DF藤井陽也(2年)_攻守両面で出色の活躍、メンタルの弱さ感じさせず勝利の立役者に

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チームを勝利に導く活躍を見せたCB藤井陽也(2年)

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[12.17 高円宮杯プレミアリーグ参入戦決勝戦 名古屋U-18 2-0 札幌U-18 コカ広島ス]

 貴重な先制点をマークしたかと思えば、守備でも隙を見せずに完封に貢献。チームメイトの名古屋グランパスU-18(東海1、愛知)DF菅原由勢(2年)が、「藤井様様ですね」と笑ったように、プレミアリーグ復帰にCB藤井陽也(2年)の活躍は欠かせなかった。

 これまでは、「いつもは皆にイジられているし、どこか自信なさそうにプレーしている」(高田哲也監督)選手だったが、この日のプレーはひ弱さを、一切感じさせない出来栄え。「隣で見ていて、なんか気合が入っているなと思った」と菅原が証言するように、北海道コンサドーレ札幌U-18(北海道)の攻撃を気迫のこもったプレーで、次々に跳ね返していく。

 中でも、際立っていたのは競り合いの強さだ。自身の持ち味として、180cmの高さを活かしたヘディングの強さを挙げているが、線の細さや気の弱さが足を引っ張り、空中戦で思うように勝てていなかった。しかし、高田監督が「いつもは空中戦で負けるけど、今日はタイミングが合っていた」と称えたように、この日は後方からロングボールを多用した札幌U-18の攻撃を尽くシャットアウト。対面する選手と接触し、倒れ込む場面も何度か見られたが、その都度、気持ちで乗り切り、最後まで無失点を維持した。

 そうした奮闘をサッカーの神様は見逃さない。スコアレスで迎えた前半34分にチームメイトが相手エリアの右でFKを獲得すると、ゴール前に上がったクロスをヘディングで合わせて先制点をマーク。「大事な試合で、なかなか決定機もなく拮抗した展開だった。1本のチャンスで決められたのは大きかった」と振り返ったように、今季3点目の得点が決勝点となり、チームに勝利を呼び込んだ。

「ビルドアップもできるので、もっと力強さがついてくると上も目指せる。あと1年、自分で課題に気づいて感じてやってくれれば良い」。そう高田監督が期待するように、藤井ほどのポテンシャルを持つ選手はそうそういない。定位置を確保した今年は、U-17日本代表にも選ばれ、ギニア遠征も経験したが、高田監督から「気が弱い。気持ちをもっと前面に出せ。DFの選手として優しすぎる」と指摘されてきたように、メンタルの弱さが課題で、自身の強みを出し切れていなかった。

 そうした弱さはチームメイトも感じており、菅原は「代表のメンバーが発表されたら、『あれ?陽也、行かないの?今度の相手強いらしいよ』と言ってみたり、僕なりに彼を煽ったりした。そういう他愛もない会話が刺激になると思っていた」。周囲の叱咤激励は、彼の成長を促進し、「W杯に出ている選手とレベルが違うと感じた。その差を埋めることができれば、代表に入れるか、由勢が出てるのを見て、悔しい思いもありました」と口にするなど、少しずつではあるが、気持ちに変化が生まれている。

「昨年、プレミアから降格して本当に悔しい思いをした。テツさん(高田監督)が最後というのもあって、モチベーションが高かった」というプレミア参入戦の2試合で許したゴールは、1点のみ。1回戦の長崎総科大附戦では、高校No.1ストライカー安藤瑞希(3年)ともマッチアップしたが、「凄く注目されている選手なので、絶対に抑えようと思っていた。そこで特に仕事をさせることなく、勝つことができたので自信に繋がった」。

 ステップアップの1年を過ごし、最終学年を迎える来季は、より高く羽ばたくだけだ。高校生活最後の一年にかける想いは強く、「今年は後ろからチームを支えることを意識していた。そういう部分はこの2試合を通して出来たと思うので、来年のプレミアでもしっかりやっていきたい。来年は3年生になるので、中心としてやっていきたいし、プレミアで優勝できるように引っ張っていきたい」と更なる成長を誓った。

(取材・文 森田将義)
●高円宮杯U-18サッカーリーグ2017 プレミアリーグ

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