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「僕が“穴”だと思うチームもある」…名古屋DF菅原由勢、開幕スタメン飾った17歳の現在地

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名古屋グランパスの17歳DF菅原由勢

 今季J1リーグ開幕戦、先発出場を果たした17歳は堂々としたプレーでJリーグデビューを飾った。あれから約2か月半、名古屋グランパスDF菅原由勢は、チームとして結果が出ない現状を歯がゆく感じつつ、自身の成長は十分に感じているようだ。

 U-18所属ながらも、開幕前に2種登録されると、開幕スタメンを託された。その後もスタメンに名を連ねるだけでなく、第10節まではフル出場を続け、第13節終了時点でチーム5番目となる出場時間1035分を記録。4月6日には、クラブ史上最年少でプロA契約を結んだ。

 そして、「毎試合毎試合、代表クラス、ワールドクラスの選手がいる」中で経験を重ねることで、成長を感じている部分がある。「『こういうときは、こうしないといけない』という対応の種類を考えさせられるし、自分の映像を見返すたびに『ここでは、こういうプレーがいい』という新しい知識が増えている。試合中も、『こういう場面では、こうしないとダメだ』と考えていて、そういう考えが湧いていることが、成長だと思う」。多くのシチュエーションを経験することで、自身のプレーの引き出しが増えている。

 だが、逆に成長させなければいけない部分もある。多くの出場機会を得ることで、「相手も分析してくる」のは当然だろう。そして、「僕のところが穴だと思っているチームもあると思うし、それを感じるときもあった」と語ったのが、「CBとしてはちょっと足りないと思っている」という179センチの身長で勝負を挑む「競り合い」の部分だった。

「明らかに外国人の大きな選手が僕のところに来たり、ゴールキックでは僕のところに集まってくることもある。そこでチャンスになると思われていると感じることがあったし、分析されていると感じた。ユース年代でも研究されることはあるけど、徹底的に分析されることはなかった」

 身長がいきなり大きくなることはなく、「考えないといけないところ。相手の研究を上回るプレーをしないといけないし、それに対して頭をどう使っていくか」と自身の持ち得る武器で、どう対応していくべきか試行錯誤を続けているようだ。しかし、試合で見つけた課題を克服して、成長へとつなげていく日々は、「試合もそうだし、グランパスでの毎日の練習が僕にとっては楽しいし、無駄な時間がないと思っている」と充実したものとなっている。

 当然、「チームの結果が第一なので、まずは勝たないといけない」とJ1リーグでここ11試合勝利がなく、最下位に沈む現状には悔しさを滲ませる。チームのためにピッチ上で貢献したいところだが、昨年9月に負傷したDF新井一耀が長期離脱から復帰を果たし、今後、定位置争いは激しさを増していく。実際にJ1第13節横浜FM戦で菅原は、リーグ戦では今季初のスタメン落ちとなった。「厳しい世界でもあるので、出られないのは自分の実力が足りないからだと思う」と唇を噛みつつも、「客観的に名古屋のサッカーを見るのも大切だと思ったし、考える時間が増えて自分の頭が整理された部分もある」とベンチに座っていても、吸収できるものを吸収しようとしていた。

「新井くんが帰ってきたのはチームにとってプラスになる。僕にとっても、主力選手が帰ってきて、ここから競争が始まるとも思っている。スタメンだろうと、サブであろうと、練習から『スタメンになる』という気持ちで常にやらないといけないし、競争がチームを強くすると思っているので前向きに捉えたい」。無限の可能性を秘める17歳は、「この年齢で試合に出ているから良いとか、ベンチに入ったから良いというのではない」と足元をしっかり見つめており、「ピッチに立って自分がどういう選手かを、自分の力で証明しないといけない」と表情を引き締める。

 年代別代表にも名を連ね、昨年はU-17W杯を経験。その視線は20年の東京五輪をはっきり捉えており、「日の丸を背負わないといけないと自分では思っている」ときっぱりと口にした。「高みを目指して、常に目標を高いところに置かないといけない。とにかく自分という選手を、もっともっと大きくしたい」とハードルを高い位置に設定して、歩みを止めることなく成長を遂げていく。

(取材・文 折戸岳彦)
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