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審判長コッリーナ氏が『ビデオ判定』の現状を説明…VAR介入はGL第3節で急激増加

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FIFA審判委員会チェアマンのピエルルイジ・コッリーナ氏(写真は大会前のもの)

 国際サッカー連盟(FIFA)は29日、ロシアW杯グループリーグのジャッジに関するメディア向け説明会を行い、今大会から導入されている『ビデオ・アシスタント・レフェリー』(VAR)の現況が明かされた。

 説明会ではピエルルイジ・コッリーナ氏(FIFA審判委員会チェアマン)らが登壇。2002年の日韓大会では日本でも有名になった元主審だ。冒頭ではジャッジ全体の傾向について説明を行い、「選手と監督の振る舞いに感謝している」と述べている。今大会で提示されたレッドカードはわずか3枚で、例年より大幅に少ない数だった。

 その後、VARによる判定精度の向上を指摘。「VARのない判定は95%ほどが正しかったが、VARの介入により99.3%が正しいものになった」と説明した。コッリーナ氏が話したように「全てが100%にはならない」「VARは完璧を意味しない」というのが大前提だが、「99.3%という数字は非常に完璧に近いものだ」と高評価が下されている。

 なお、説明会ではVARの介入があった事例について、実際の音声も一部公開されていた。その際、コッリーナ氏は「接触の有無はスロー映像を使うが、最終的なジャッジは通常速度の映像で確認を行う。スロー映像は接触を強調するからだ」という主旨の説明を行っている。テレビ中継ではスローモーションが連続して流されるが、ここは注意しておきたい点だ。

 また、FIFAはVARに関するさまざまなデータも同時に公開している。VARは今大会、グループリーグ全48試合で計335回(1試合あたり6.9回)の確認を実施。これは『サイレント・チェック』と呼ばれ、VARが試合中に行う主な仕事にあたる。たとえば、全122回のゴールシーンは全てがこのチェックの対象となっている。

 また、そうしたチェックのうち、実際に介入が行われたのは計17件だとされた。なかでも主審がピッチ脇のモニターを確認する『オン・フィールド・レビュー』は14回。その他の3回はオフサイド、エリア内外の判断、人違いによるものだったため、モニター確認は行われず、VARが直接的に判断を行い、主審がそれを受け入れた。

 また、VARによる介入が行われた後、主審が下していた判定の修正が行われた事例は計14回あった。一方でVARの介入後、主審が当初の判定を変更しなかった事例は3回あった。これら3回の場面などでは「明白かつ確実な誤審」という大原則に従わない形で、VARの介入があったと言うことができる。

 また、介入の半数以上はグループリーグ第3節に固まっており、決勝トーナメント進出がかかった場面では、ビデオ判定に頼る場面が頻発したという捉え方もできる。この点については、一発勝負のトーナメントの行方で判断できることだろう。

 なおFIFAはVAR介入が17回だったと発表しているが、ゲキサカ調べでは、グループステージを通じて19回だった。この数字はFIFAアプリの公式記録とも一致しており、発表資料のほうに何らかの形で漏れがあったとみられる。

VARの介入があった19事例は以下のとおり(☆は対象チーム)

①6/16 ☆フランスvsオーストラリア PK判定(×→○)
②6/16 ☆ペルーvsデンマーク PK判定(×→○)
③6/17 コスタリカvsセルビア☆ 一発退場(→警告)
④6/18 ☆スウェーデンvs韓国 PK判定(×→○)
⑤6/19 ロシアvsエジプト☆ PK判定(エリア外→エリア内)
⑥6/21 デンマークvsオーストラリア☆ PK判定(×→○)
⑦6/21 フランスvsペルー☆ 人違い
⑧6/22 ☆ブラジルvsコスタリカ PK判定(○→×)
⑨6/22 ナイジェリアvsアイスランド☆ PK判定(×→○)
⑩6/25 ☆サウジアラビアvsエジプト PK判定(○→○)
⑪6/25 イランvsポルトガル☆ PK判定(×→○)
⑫6/25 イランvsポルトガル☆ 一発退場(→警告)
⑬6/25 ☆イランvsポルトガル PK判定(×→○)
⑭6/25 ☆スペインvsモロッコ ゴール判定(×→○)
⑮6/26 ☆ナイジェリアvsアルゼンチン PK判定(×→×)
⑯6/27 ☆韓国vsドイツ ゴール判定(×→○)
⑰6/27 メキシコvsスウェーデン☆ PK判定(×→×)
⑱6/27 スイスvsコスタリカ☆ PK判定(○→×)
⑲6/28 ☆セネガルvsコロンビア PK判定(○→×)

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