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プロで活躍する先輩も刺激に。成立学園は選手同士の繋がり、「総合力」で25日開幕の東京2次T突破、全国狙う

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「総合力」で東京突破を狙う成立学園高

 総合力で全国切符を勝ち取る――。令和元年度全国高校総体(インターハイ)「感動は無限大 南部九州総体2019」サッカー競技(沖縄)東京都予選は25日、1次トーナメントを勝ち抜いた16校とプリンスリーグ関東勢の帝京高、関東大会出場の國學院久我山高、東久留米総合高のシード勢3校による2次トーナメントが開幕する。5年ぶりの全国大会出場を狙う成立学園高は26日の1回戦で修徳高と激突。プロの世界で活躍する先輩から刺激を受ける成立学園は、自主性が増しつつある3年生たちを中心に強豪対決に臨む。

 今年、成立学園からベガルタ仙台に進んだ前主将・DF照山颯人がルヴァン杯の全6試合に出場。無敗での1次リーグ突破に貢献した。照山と同じく柏U-15から成立学園に進学したMF宇津木優人主将(3年)は「去年まで一緒にやっていたとは思えないというか、凄いなと思います。見ていても本当に落ち着いていて、凄いです。あの落ち着きはハンパない。(成立学園でプレーしていた)去年からも相手のキックを胸トラップで味方に落としたりしていた」と語る。

 最高学年になった際に「ちょっと違うな。プロに行くだろうな」(宇津木)と感じていたという先輩はJ1クラブへ。同じく今年、ツエーゲン金沢に進んだ快足FW窪田稜も3月にJ2デビューを果たしている。

 先輩たちの凄さを実感していると同時に、成立学園の選手たちが感じているのは全国に行くことが容易ではないということ。献身的なボランチMF藤原進士郎(3年)は「近くにいた人があれだけ活躍すると刺激になりますね。(でも)あれだけスペシャルな2人がいて行けないのは、何が足りないのか……。全員でサッカーをしないとダメ。11人で戦わないとダメだと感じましたね」と引き締める。

 独特なパススタイルで毎年のように全国レベルの力を示している成立学園だが、なかなか東京を勝ち抜くことができていない。Jリーグに進んだ2人を擁した昨年もインターハイ予選が準々決勝で優勝校の関東一高に惜敗。選手権予選も準決勝で涙をのんだ。昨年は苦しい時に2人に頼りすぎている部分も。今年もエースMF吉長真優(3年)のように注目される存在もいるが、選手たちは全員で戦うことを目指している。テーマは「総合力」。そのために変えたことがある。

 宇津木は「今年はみんなで繋がろうというところで(太田)監督からは『総合力』と言われていて、最初は合わなかったんですけれども、(パスワーク、切り替えの速い守備が)段々形になってきている。(近年の成立学園は)あと一歩のところが遠くて、その一歩を今年は変えていかないといけない。今年から色々なことを変えていって、準備も3年生が率先してやろうということで色々なところが変わってきている」と説明する。

 太田監督らコーチ陣のアドバイスでトレーニングの準備や片付けを3年生たちが率先してやり始めるようになった。まだ、宇津木やリーダー格の選手中心の活動だが、徐々にその輪が広がりつつあるという。

 クロスやシュート反応、ビルドアップで力を発揮するGK大野来生(3年)、ハイボールで強さを示す長身CB木村将汰(3年)、走力と一発の突破で流れを変えるMF中村大輝(3年)の3人はGKリーダーや副キャプテンを務める選手たち。彼らは「今年はピッチ外をより徹底している。『勝利の女神は細部に宿る』ということで、今年は細かくやっていくというのがあります」と説明していた。効果が表れるのはこれからだろうが、先輩たちが見本になるように取り組み、より応援されるチームとして結果も残すことで1、2年生たちへ新たな伝統にしていきたいという考えがある。
 
 成立学園伝統のスピーディーかつ正確なパスワークは今年も健在。延長戦の陶に敗れた関東大会予選の関東一高戦もボールをより支配して攻撃していた。例年にないタイプの大型FW黒部光貴(3年)や万能型アタッカーの吉長が攻撃に絡み、CB大田礼玖(2年)の左足という武器もある。その個性も総合力の中で発揮して発揮して上へ。宇津木が「一つ一つやっていくしかない」と語ったように、「変化」の途中にある成立学園は意見を出し合いながら全員で繋がって、一つ一つ戦って沖縄開催のインターハイ切符を掴む。

(取材・文 吉田太郎)
●【特設】高校総体2019

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