beacon

神村学園が「柔よく剛を制す」で出水中央を撃破、3連覇で全国一番乗り

このエントリーをはてなブックマークに追加

神村学園高が全国大会出場一番乗りを果たした

[5.25 インターハイ鹿児島県予選決勝 神村学園高 3-0 出水中央高 ]

 令和元年度全国高校総体(インターハイ)「感動は無限大 南部九州総体2019」サッカー競技(沖縄)の鹿児島県予選の決勝戦が25日に行われ、神村学園高が3-0で出水中央高を破り、3連覇を飾った。神村学園は全国大会出場一番乗り。全国大会は7月26日に開幕する。

 技術と戦術理解に定評のある神村学園に対し、県内随一の運動能力を誇る出水中央の一戦は、互いに持ち味の出る試合となった。試合の立ち上がりは、ともにチャンスがあった。神村学園は、前半5分にMF濱屋悠哉(3年)が鋭いミドルシュートを飛ばし、前半9分にも右MF野辺滉生(3年)のクロスを左MF樋渡鯉太郎(3年)が折り返し、濱屋がシュートを放つ好機を作り出した。出水中央は、前半3分に推進力のあるFW松山正利(3年)がシュート。前半12分には身体能力の高いMF大村龍之介(3年)のロングスローで押し込み、こぼれ球を右DF森優伍(3年)がミドルシュートを狙った。

 スコアが動いたのは、前半18分の給水を過ぎてからだった。前半23分、出水中央は木場駿之介(3年)のパスで抜け出した大村が決定機を迎えたが、シュートはクロスバーの上。さらに1分後、MF谷本啓斗(2年)の縦パスから松山がドリブルで相手を引きつけ、スルーパスに抜けた大村がシュートを放つ場面があったが、相手のブロックに防がれた。

 すると前半26分、窮地をしのいだ神村学園にチャンスが到来。左に抜け出したFW寺田聡(2年)のバックパスを受けた主将の軸丸広大(3年)が鋭い縦パスを送り、反応した濱屋が倒されてPKを獲得。濱屋が自ら決めて、神村学園が先制した。リードを得た神村学園は、前半29分に相手シュートをキャッチしたGK吉山太陽(2年)が素早いパントキックで強烈なカウンターを繰り出して会場を沸かせるなど、少しずつリズムが向上した。

 一方の出水中央は、谷本が負傷交代。それでも後半の立ち上がりに2度の決定機を作り出したが、ともに相手GKに防がれ、同点に追いつけなかった。神村学園は、またもピンチの後にチャンスあり。後半7分、MF永吉飛翔(2年)が寺田とのワンツーからタイミングよくミドルシュートを放つと、クロスバーに当たって、ゴールに飛び込んだ。前日の準決勝でもペナルティーエリア角から鮮やかなミドルシュートを決めており、大舞台で連続得点。優位を決定付ける追加点を奪った永吉は「2点目が欲しい状況だったけど、シュートが少ない時間帯だった。思い切り打とうと思った。ゴールは、常に狙っているし、シュートは得意」と胸を張った。

 その後は、余裕の生まれた神村学園が主導権を掌握。出水中央は後半11分にDF増田涼(3年)がゴール前に送ったボールを相手GKがファンブルする場面があったが、思うようには反撃できなかった。試合終盤、神村学園は濱屋が右サイドの1対1を突破。クロスを途中出場のMF大迫魁士(3年)が押し込んで、ダメ押しの3点目をマーク。6試合すべてを完封で勝ち上がった神村学園が3-0の勝利で全国切符を獲得した。

 神村学園にとって、この試合は1月の新人戦の雪辱戦でもあった。新人戦では準決勝で出水中央にPK戦で敗れた。前半はリードしたが、後半に追いつかれ、勝利をさらわれた。右サイドの突破で見せ場を作った野辺は「新人戦で負けて、ここは絶対に落とせないと思っていた。ほっとした」と背負っていたプレッシャーからの解放に安堵の表情を浮かべた。

 神村学園は全体的に小柄で、先発11人に身長180cmに届く選手はいない。しかし、有村圭一郎監督の下で「相手の逆を取るサッカー」を追求。フィジカルに勝る相手も破り、県代表の切符を勝ち取った。決勝戦で先制点を決め、3点目をアシストした濱屋は「みんなで一丸となって全国制覇を目指す。応援して下さる方のためにも、しっかりと勝って恩返しをしたい」と全国大会にかける気持ちを語った。全国でも、柔よく剛を制すサッカーは注目される。

(取材・文 平野貴也)
●【特設】高校総体2019

TOP