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ユース取材ライター陣が推薦する選手権注目の11傑vol.4

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土屋氏が注目するMF渡邉綾平(前橋育英高3年)

特集企画「ユース取材ライター陣が推薦する『全国高校選手権注目の11傑』」

 ゲキサカでは12月30日に開幕する第98回全国高校サッカー選手権の注目選手を大特集。「選手権注目の11傑」と題し、ユース年代を主に取材するライター陣に選手権注目の11選手を紹介してもらいます。第4回は(株)ジェイ・スポーツで『デイリーサッカーニュース Foot!』を担当する傍ら、東京都中心にユース年代のチーム、選手を取材、そしてゲキサカコラム『SEVENDAYS FOOTBALLDAY』も連載中の土屋雅史氏による11名です。

土屋雅史氏「『今年もこの季節がやってきたなあ』と感じるのと同時に、1年間のいろいろなストーリーが完結するタイミングでもあるので、個人的にも感情の振れ幅の大きい高校選手権。今回も大会に臨む選手の中から、注目したい11人をピックアップさせていただきます。選考基準は“1チーム1名”と“過去にご紹介したことのない選手”。この冬の大事な思い出が、1人でも多くのサッカーに関わる人々の人生を豊かにしてくれることを願っています!」

以下、土屋氏が推薦する11名

GK佐藤史騎(青森山田高3年)
「2019年度の高体連で間違いなく三指に入る前回王者のGKは、黒田剛監督も『ひょうきんで人間的なパワーを持っている』と言及する元気印。自ら『普段はちゃらんぽらんです。面白ければいいという感じです(笑)』と口にできるあたりに、“ナイスガイ”感が滲む。PK戦まで追い詰められた県予選の決勝でも、相手キッカーの1人目を完璧にストップし、アップセット阻止に大きく貢献。チームに23年連続となる全国の出場権をもたらした。『一番後ろにいて威圧感がある、ディフェンスみんなが頼りがいのあるキーパーを目指していますし、自分の1個の判断や1つのプレーに責任を持って、青森山田の守護神として頑張っていきたいと思います』という決意を胸に抱き、昨年度の日本一に輝いた飯田雅浩(現国士舘大)を目標に、堂々と連覇へ挑む。とにかく明るくて気持ちの良い好青年です!」

DF保野友裕(國學院久我山高3年)
「東京無双のストロングヘッダーが誇る空中戦の強靭さは間違いなく全国レベル。東京武蔵野シティFC仕込みの足元も冴え渡り、細かいパスワークを特徴とするチームに、正確なフィードで違いを生み出している。『自分の得意分野は守備なので、押し込まれた時の方が逆に楽しくて、良いフォワードに来て欲しいですね』と言い切れるメンタルと、取材時の圧倒的なコメント力も頼もしい。なお、國學院久我山中時代の同級生に当たる大宮アルディージャU18の村上陽介曰く『中学の時に結構テストの結果が良くて、「オレ、クラスでも上位だったぜ」ってアイツに言ったら、「ああ、オレは全国で上位だったよ」と言い返されました(笑)』とのこと。文武両道を地で行く男が、最後の冬に全国の空を支配する」

DF吉田晴稀(帝京長岡高3年)
「全国8強まで駆け上がった昨年度の選手権でも、右サイドバックの定位置を掴んでいた吉田は、夏過ぎからセンターバックの一角に定着。チームスタッフ曰く『長岡で一番足が速い』というスピードを存分に生かしながら、選手権の県予選決勝まで公式戦11試合無失点という堅守を支えてきており、『ディフェンスラインの声が大きくなってきたなと思っていて、今は点を取られる気がしないですね』と確かな自信を口にする。数クラブの練習参加を経験したのち、『チームのスタイルが自分に合っていたし、一番しっくり来た』という愛媛FCへの加入も内定。先にJクラブへの内定を勝ち獲っていた谷内田哲平(京都サンガF.C.内定)と晴山岬(FC町田ゼルビア内定)を差し置いて、最終ラインのスピードキングが主役に躍り出る可能性も決して小さくない」

DF田平起也(神戸弘陵高3年)
「3月のイギョラカップで初めて見た時に、『こんなポテンシャルを持った選手がいるのか』と一際目を惹かれた188cmのレフティセンターバック。対角に蹴り込むフィードも素晴らしく、もちろん空中戦も強烈。改めて調べてみると、セレッソ大阪U-15という経歴に一旦は納得したものの、関係者に聞くと中学時代はなかなか試合に出ていなかったどころか、高校入学後も2年時まではBチームでプレーしていたというバックボーンに、なおさら強く興味を持った選手。その後は6月にU-18日本代表へ選出され、ポルトガル遠征を経験すると、9月には古巣セレッソへの入団が内定。着実に積み上げてきた努力が一気に実ったこの成果は、現時点では試合に出ることが叶っていなくても、丁寧に努力を続けている全国中の高校生にとって、大きな希望となるのではないだろうか」

MF渡邉綾平(前橋育英高3年)
「10番を背負い、ボランチの位置でチームを牽引し続けてきたが、この選手権予選に入ってからは準決勝の桐生一高戦で終盤に数分間だけ登場すると、全国を懸けた決勝は大学受験のために欠場。チームは6年連続となる晴れ舞台に勝ち上がってきた中で、ここに来て渡邉のスタメン出場は不透明になりつつある。ただ、『自分だけじゃなくて周りの人にも強く言えるので、凄く“良い嫌われ役”になれるというか、そこは隆祐を凄く尊敬しています』と、試合に出られなくてもきっちりと部長を務めてきた久林隆祐の背中を見てきただけに、ここで自らの役割を見失うような人間ではない。この男がピッチ内外でどれだけポジティブな影響力をチームメイトへ与えられるかが、2年ぶりとなる全国制覇のカギを握っている気がしてならない」

MF植村洋斗(日大藤沢高3年)
「1年時からレギュラーとして全国総体準優勝を経験しており、各方面から高評価を与えられてきた日大藤沢のエースが、いよいよ冬の全国に登場する。シーズン序盤は負傷を抱えていたものの、戦線復帰してからは佐藤輝勝監督が2年間を掛けて熟成させてきた“クリスマスツリ―”のシステム下で、トレスボランチ気味に並ぶ中盤3枚の左を担当。県予選決勝ではサイドをドリブルで切り裂いて、宿敵の桐光学園高を沈める貴重なアシストを記録した。『自分のプレーの特徴は、味方を使って複数人で崩していく所で、特にパスという部分では他の人には負けたくないなと思います』ときっぱり言い切るように、自信を持っているパスで大会を沸かせる覚悟は整っている」

MF廣瀬翔一郎(富山一高3年)
「全国総体のファイナリストでもあり、6年ぶりの日本一を真剣に狙う富山一高が、今シーズンを通じてトライしてきたシステムは5-3-2。その“3”の部分を攻守に渡るハードワークで支えるのがこの廣瀬ということになる。『守備でガツガツ行く所は自分の持ち味で、プレミアはとにかくそれぐらい行かんと付いていけんレベルだったので、そこは強くなれたと思います』と本人は昨シーズンの高円宮杯プレミアリーグに出場した経験から、自身の守備面での成長を強調するが、加納靖典コーチも『左利きでちょっと面白い感じもありますね』と評した通り、攻撃時に発揮する左足の感覚は独特。12月に開催されたプレミアプレーオフ2回戦でも、クロスバーを直撃するミドルを放つなど、ゴールに対する意欲も確実に増している」

MF須藤直輝(昌平高2年)
「2年生ながら副キャプテンを任され、最近の試合では腕章を巻くことも多い須藤は、そのプレーを見れば一発でわかるようなサッカー小僧。チームメイトですら『あの訳のわからないドリブルは凄いですよね』と驚愕するような“超絶技巧”と少ないタッチ数のパスを駆使して、相手を剥がしまくっていく。『高校選抜にも1年生で入らせてもらって、それで日本代表に入れないのは、高校生の部活を代表している選手として申し訳ない気持ちもあります』とFIFA U-17ワールドカップに挑む日本代表から落選したことも発奮材料に、『自分のプレーでチームの流れも変わってくると思うので、しっかり責任を持ってやりたいです』と中心選手の自覚も十分。ちなみに動物と触れ合う時間が癒しになっており、自宅では犬と猫を両方飼っているとのこと」

FW千葉翼(長崎総合科学大附高3年)
「昨年の高校選手権でも3回戦進出に貢献したアタッカーは、上背こそ決して大きくないものの、前線を幅広く動き回れるフリーマン的なスタイルを有しながら、ゴールを奪うポイントへ巧みに入っていけるタイプ。百戦錬磨の小嶺忠敏監督も『千葉っていうのは大事な時に点を取ってくれる選手です。なぜか点が取れるんですよね』と言及するように、その勝負強さも魅力。今大会の県予選決勝でも国見高相手にゴールを叩き込み、チームへ4連覇となるタイトルをもたらした。加えて『性格は見事。問題ない』と指揮官に言わしめるパーソナリティを評価され、ゲームキャプテンを務めることも。新人戦、高校総体、プリンスリーグと今年のここまでは悔しさを味わうことが多かっただけに、最後の冬へ懸ける想いは人一倍強い」

FW松谷昂輝(市立船橋高3年)
「なかなか定まらなかった今年の“イチフナ”のストライカーに名乗りを上げたのは、ここ最近のこと。『インターハイ予選の準決勝で負けた時にスタンドで見ていて悔しかったので、「次は自分がこのチームを全国に行かせてやる」と思って』臨んだ選手権予選準決勝では、入学以降の公式戦で初めてのハットトリックを達成する活躍を披露。勢いそのままにファイナルでも鈴木唯人の決勝ゴールへ繋がるスルーパスを繰り出しており、一気にチームの中心へと成長を遂げた。『自分はどっちかと言ったら頑張る選手なので、とりあえず走ってボールを収めたり、裏を取ったり、タメを作ったり、という仕事をするのが一番の強みかなと思います』と自己分析する9番の大爆発が、“イチフナ”にとって8年ぶりとなる日本一を手繰り寄せる」

FW松山翔哉(都立東久留米総合高3年)
「1試合の中でそれほど多くボールに関わる訳ではないが、気付いたらシュートを打てる位置にポジションを取っている嗅覚抜群のストライカー。特に都予選の準々決勝と準決勝では、共に1-0で勝利したゲームの貴重な1点を叩き出すなど、勝負強さも兼ね備えている。以前は守備をサボりがちだったが、キャプテンの下田将太郎を中心に厳しく言われ続けたことで、『さすがにやらなきゃと思ってやったら、みんなからも「ナイス!」とか言われて、それで自分のモチベーションに繋がってきているのかなと思います』と自身の変化に手応えも。柏レイソルに所属するオルンガのチャント曲に乗せて『ショウヤ!ショウヤ、ショウヤ!ショウヤ、ショウヤ!マツヤマショウヤ!』と歌っている時のスタンドは、抜群の一体感に包まれる」

■執筆者紹介:
土屋雅史
「(株)ジェイ・スポーツに勤務。Jリーグ中継担当プロディーサーを経て、『デイリーサッカーニュース Foot!』を担当。群馬県立高崎高3年時にはインターハイで全国ベスト8に入り、大会優秀選手に選出。ゲキサカでコラム、『SEVENDAYS FOOTBALLDAY』を連載中。著書に「メッシはマラドーナを超えられるか」(亘崇詞氏との共著・中公新書ラクレ)。」
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