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京都U-18相手に一歩も引かない戦いぶり。和倉決勝で学んだ基準への変化・維持求める履正社が3-0快勝

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履正社高京都サンガF.C.U-18に3-0快勝

[8.29 スーパープリンスリーグ関西第1節 履正社高 3-0 京都U-18 履正社茨木G]

 8月29日、高円宮杯JFA U-18サッカースーパープリンスリーグ2020関西が開幕した。新型コロナウィルスの影響により、プレミアリーグとプリンスリーグの合同リーグとなり、全7節という短期決戦での開催となる。履正社茨木グラウンドではAグループの履正社高(大阪)と京都サンガF.C.U-18(京都)が対戦し、履正社がFW井谷洸一郎(3年)の2得点など3-0で勝利。幸先よいスタートを切った。

 待ちに待った開幕戦を迎えた喜びを全力で表現するかのように、履正社の選手たちがピッチを駆け回った。最終ラインからパスをつなごうとする相手に対して、高い位置からプレッシャーをかけていき、ミスを誘発させてボールを奪えば、鋭いカウンターからゴールを目指す。

 25分には左サイドからドリブルで仕掛けた井谷がエリア内で倒されてPKを獲得し、自ら決めて先制点を奪う。その数分後、落雷により試合は中断。選手たちは軒下やバスに非難し、雨雲が過ぎ去った約1時間後に再開された。

 中断により試合のリズムがリセットされる可能性もあったが、履正社の勢いは止まらない。36分にはカウンターから前線で起点となったFW李晃輝(3年)が、裏へ走り出した井谷の先のスペースへボールを出す。一度は相手DFにカバーに入られたが、その選手からGKへのバックパスは勢いが弱く、井谷が先に追いついてGKとの1対1を冷静に決めて追加点をあげた。

 後半は京都U-18がポゼッションを改善してきたこともあり、履正社が高い位置でボール奪う回数は少なくなったが、前線から中盤にかけてフレッシュな選手を次々と投入してプレッシングの強度を落とさない。終了間際には途中出場のFW宮路峻輔(2年)が中央突破からエリア内まで持ち込み、決定的な3点目を決めて試合を締めくくっている。

 自分たちの強みを出し切った履正社の完勝だった。平野直樹監督の「ハードワークするのは当たり前で、わざわざそういう言葉を使う必要は無い」という理念をチーム全員が実行。果敢なプレッシングにより相手のポゼッションを不安定にさせ、ボールを奪ってからの攻撃でチャンスとゴールを積み重ねていった。Jクラブを相手に一歩も引かない戦いぶりを見せた背景には、和倉ユース大会の決勝戦(8月5日)で青森山田高に0-5で敗れた“衝撃”があった。

 この日、ゲームキャプテンを務めたMF平岡大陽(3年/湘南内定)が「プレッシャーや勝利へのこだわり方が、どこよりも強かった」と振り返ったように、フィジカル面とメンタル面で突きつけられたものがあったという。

 最近は「プレッシャーが速い中で、いかに判断していくのかをみんな考えている。練習からスピード感や強度を上げようという雰囲気や声掛けがあります」(井谷)と日々の取り組みにも変化があるようだ。一方で平岡は、こうも指摘する。「あそこで感じた基準を、大阪に帰ってきてからも保つのがすごく難しい。青森山田の選手一人ひとりの意識を、僕たちも見習ってわないといけない。それは簡単なことではないと思います」。

 高いレベルの中にいれば、おのずとそこへ適応していこうと意識が働く。それが日常に戻ってからも高い基準をキープし続けられるかどうかは、また異なる難しさだ。今年のチームには、昨年から公式戦のピッチに立っていた選手が多く残っている。「その経験を生かさないといけない。今年こそ全国へ行けるように頑張りたい」(平岡)という思いは、全員が持っている。それを日々の積み重ねの中に反映させることで、このスーパープリンスリーグ関西、その先にあるはずの憧れの舞台への切符をつかむ覚悟だ。

(取材・文 雨堤俊祐)
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