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長谷部誠が有する“教材”と評価される動きは?フランクフルト下部組織コーチ「フクロウのよう」

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長谷部誠の評価されるべきポイントとは

 フランクフルトのU-15チームのコーチを務めるトーマス・ブロイヒ氏がトップチームの長谷部誠の視野の広さについて言及。また地元紙『フランクフルター・ルンドシャウ』のインタビューでは、現役後のキャリアにあたって最も影響を受けた人物は現・横浜F・マリノス指揮官のアンジェ・ポステコグルー監督とも明かしている。

 現在39歳のブロイヒ氏は現役時代はボルシアMGやケルンなどでプレーした元U-21ドイツ代表MF。キャリアの後半はオーストラリアのブリスベン・ロアーで過ごし、攻撃的MFとして3回のAリーグ優勝に貢献。さらにシーズン最優秀選手賞、年間最優秀サッカー選手賞をいずれも2度獲得し、2017年にはスパイクを脱いでいる。

 ドイツ帰国以降、放送局『ARD』で戦術アナリストを務めるブロイヒ氏だが、昨夏からはフランクフルトU-15チームのコーチも担当。地元紙のインタビューではフランクフルトでの仕事や自身のフィロソフィーについて言及し、アンドレア・ピルロやシャビ・エルナンデス、ケヴィン・デ・ブライネ、イルカイ・ギュンドアンを例として挙げて、サッカーにおけるビジョンの重要性を強調。その際、インタビュアーに長谷部の印象について問われると、「ハセベ?ワオ、本当にセンセーショナルだ」と発し、次のように語っている。

「U-15チームの少年たちに彼が事前に位置関係を確認し、肩の向きを変えずに見回す様子が見られるビデオを送っている。ハセベは基本、高頻度で周囲を360度スキャンするフクロウのようだ。スピードやアグレッシブさではなく、相手の位置、味方の位置、さらに次の相手、次の味方の位置を見極めた上でピッチで良いポジションニングをとることを重視している。それらすべてが頭の動き一つで決まるんだ」

 契約延長の発表の際、クラブのフレディ・ボビッチ執行役員は先日、長谷部がピッチで見せる予測力を「ほかの選手が走って向かう場所にすでに立っていることが多い。シチュエーションを予測し、読み取れているからだ」と絶賛。そんなベテランの動きは、ブロイヒ氏の下でのトレーニングでは “教材”に使われているようだ。

 インタビューでは監督業の道を目指すきっかけとなった人物はブリスベンで2年ほど指導を受けたポステコグルー監督とも告白したブロイヒ氏。「自分にはアンジェ・ポステコグルーといった最高の恩師、監督がいた」と明かすと、「キャリアで最も刺激的な年月、あの時ほどたくさん学んだことは後にも先にもなかたね」と振り返った。

「ストレスや不安感、人としての成長など様々なファクターへの彼の取り組み方は、サッカーに限らずどんな組織で働こうと、どこにも導入したいね。それに彼は自分らにサッカーを説明することができたんだ。どのタイミングでどこに動くべきか、どういう風にパス回しをすべきか。なぞり描きにも少し似ていたかもしれないね。すごく時間がかかったが、いつかから理解するようになった。最初は特に難しいと感じなかったもしれないが、何カ月もまったく機能しなかったんだ。でも、機能したとき、『ワオ、なんてすごいヤツ、なんてすごい監督なんだ』と思ったよ」

「(昔は)試合がなぜああではなくこういう流れになるのか説明できなかった。だが、本当に長引くことが多いポステコグルーのビデオ分析、その細かさによりサッカーの概念が完全に変えられた。オーストラリアに向かったとき、その後(のキャリア)はサッカーに関わることはないだろうと信じていた。自分の中ではこのテーマ(サッカー)には区切りがついていた。挫折を繰り返したことにより、心を完全に閉ざし、サッカーに背いていたね。しかし、彼がすべてを蘇らせた。サッカーの楽しさ、それへの理解、そして他にそれらを他に伝えたいという考えがね」

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