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[プレミアリーグEAST]青森山田との惜敗で得た自信。大宮U18は個々の躍動で4-1とアウェイ快勝!

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先制点を挙げたMF高橋輝(18番)を祝福する大宮アルディージャU18のベンチメンバー

[5.16 プレミアリーグEAST第6節 市立船橋 1-4 大宮U18 グラスポ]

「チームの目標としてプレミア優勝を掲げている中で、そのためにはやっぱり青森山田を倒さないといけないと思っていて、前節の試合は惜しかったんですけど、負けたことが凄く悔しくて、この2週間はみんなで良いトレーニングができたので、それが今日の勝ちに繋がったと思います」。オレンジの10番を背負うFW山崎倫(3年)は、この2週間での成長を強調する。上がった基準の現在地を証明した90分間。16日、高円宮杯 JFA U-18 サッカープレミアリーグEAST第6節、市立船橋高(千葉)と大宮アルディージャU18(大宮)の一戦は、4-1で大宮U18が勝利。今季2勝目を手に入れた。

 ようやくリーグ戦のシーズン初勝利を挙げたFC東京U-18戦を経て、第5節で対峙したのはそこまで4連勝と、他を圧倒する実力で首位を快走する青森山田高。このゲームに、大宮U18は確固たる信念を持って挑む。それは、あえて“相手の土俵”に乗る戦い方。普段のパスを繋ぐスタイルを一旦横に置き、長いボールを使いながら、ロングスローも多用して、アウェイゲームを進めていく。

「それで得点を奪えたら、相手のダメージも大きいと思って。でも、ただ長いボールを蹴るだけじゃなくて、意図を持って裏返すボールを蹴るやり方です」と丹野友輔監督。結果はPKでの失点で0-1と敗れはしたものの、「青森山田とも十分やれると思いました」とはU-18日本代表候補のDF小澤晴樹(2年)。チームは結果以上の手応えを得て、今節のゲームに向かう。

 開始2分。右サイドを仕掛けたFW高橋輝(2年)がいきなりPKを獲得すると、自らきっちり沈めてあっという間に先制。さらに、23分にはゴールまで約25メートルの距離で得た右FKを、「昨日の練習でも蹴っていたんですけど、1本しか入らなくて。でも、その1本が良い感じで入って、今日も同じ形だったので決められて良かったです」と笑ったMF阿部来誠(2年)がゴール右スミへ直接叩き込み、2点のリードを奪う。

 市立船橋も33分には、右サイドで再三仕掛けていたMF武藤寛(3年)のドリブルから、FW松井達誠(3年)が繋ぎ、MF坪谷至祐(3年)が枠へシュートを収めるも、U-17日本代表候補であり、先日トップチームに2種登録されたばかりの大宮U18GK涌井寿大(2年)がキャッチすると、35分にはさらなる追加点が。

 FW前澤拓城(2年)との連携から、完全に1人で抜け出した山崎は、「ドリブルしている時に、『ああ、これはループだな』と思っていました」と明かした通り、GKの鼻先でループシュートを選択。ボールは綺麗にゴールネットへ吸い込まれる。エースの今季リーグ戦初得点が飛び出し、3-0というスコアで、試合は最初の45分間を終える。

 ただ、ハーフタイムを挟むと様相が一転。3点のビハインドを負った市立船橋が、後半は立ち上がりから攻勢に。3分にはFW郡司璃来(1年)の左CKに、キャプテンマークを巻くDF小笠原広将(3年)が力強いヘディングで合わせたボールは枠の左へ逸れるも、右の武藤、左のMF大我祥平(2年)の突破をアクセントに、ホームチームが好リズムを続ける。

 それでも、次の得点も大宮U18。17分。山崎の決定的なシュートは、市立船橋のGKドゥーリー大河(2年)がファインセーブで凌いだものの、直後の右CKを阿部が蹴り入れると、小澤が打ち下ろしたヘディングはゴール左スミヘ飛び込む。「来誠から良いボールが来て、自分もマークが外せてフリーだったので、決めないとヤバいなというのは感じていました」と笑顔を見せたセンターバックのプレミア初ゴール。さらに点差が開く

 以降も市立船橋は前への姿勢を崩さず、31分にはここも武藤がドリブルからクロスへ持ち込み、中央のこぼれ球を坪谷がプッシュ。意地の1点は返したが、終盤には前線にFW新井唯吹(3年)とFW川辺球尊(3年)を投入し、前線からの守備意識も引き締め直した大宮U18が4-1で快勝。シーズン2勝目で暫定6位へと浮上した。

 戦い方の幅を広げつつある大宮U18を率いる丹野監督は「結局戦術も大事だと思うんですけど、ピッチの中で選手がどれだけ躍動するかというのが、凄く大切なのかなと思っているんです」と明言。選手の成長と目の前の勝利を同時に追求しつつ、さらに個々が主体的に躍動できる働きかけに腐心している。

 青森山田戦では突破力に優れる右SB貫真郷(3年)が、相手のストロングでもあったロングスローで果敢に対抗。今回の市立船橋戦でも、序盤戦はサイドハーフ起用が多かった中で、4節から本来のフォワードへと戻った山崎が、素晴らしいループで今季初ゴール。さらに、ケガで出遅れていた阿部も存在感を発揮し、この日は直接FKを沈めるなど、それぞれのゲームで、選手たちが与えられたタスクを理解しつつ、自分の特徴をピッチで出し始めている。

 4月末の時点で「これが完成形ではないと思いますし、シーズンの最後になればたぶん一番良い形に持っていけると思うので、いつもそのタイミングが遅い所があるんですけど(笑)、できるだけ早くそういう状況に持っていけたらなと思います」と語っていた丹野監督。あるいは彼ら自身が思っていたより早く、若きオレンジ軍団の躍動がプレミアの舞台をかき回し始めている。

(取材・文 土屋雅史)
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