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[MOM3528]横浜FMユースFW内野航太郎(2年)_“ポテンシャル”だけで終わらせない。未来を担うハマのストライカーが示した進化

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横浜F・マリノスユースのFW内野航太郎(9番)が自身の2点目を沈める

[7.28 日本クラブユース選手権U-18大会グループステージ 横浜FMユース 2-1 札幌U-18 前橋市石関公園サッカー場]

 2年生ながら横浜F・マリノスユースの背番号9を託されたストライカー、FW内野航太郎(2年)が2ゴールでチームに勝利をもたらした。181センチの身長を生かしたヘディングでの1点目と、クロスを呼び込むゴール前の絶妙な駆け引きから決めた2点目には、ストライカーとしての魅力が詰まっていた。もう一つ。オフサイドとなったが、終了間際に見せた裏への抜け出しからGKの頭上を越すループシュートが決まっていれば……その魅力は更に大きくなっていたかもしれない。

 しかし、試合後の表情は渋い。

 グループリーグ突破のために4点差は必要だったため、2点では足りず、チームを決勝トーナメントに導く事ができなかったのだ。

「もっと点を獲ってチームを活性化させないといけない立場だったので、これでは満足できないですね」。

 横浜F・マリノスジュニアユース時代から、内野は大柄なストライカーとして目立っており、体の強さ、スプリントの速さ、前への勢いと、どれもが中学生離れしていた。筆者も中学3年生の彼を見て、そのポテンシャルの高さに驚かされた記憶がある。

 一方、「このまま身体能力に頼っていたら選手として伸びないのでは?」という懸念も持っていた。ただ、この札幌戦を見てその不安は解消されたと言っていい。

 内野は恵まれた体格に頼るだけの選手ではなくなっていた。

「中学の時は考えないでボールが入ってからでも行けました。でも、代表に入ったりプレミアで試合に出させてもらったりして、通用しなかった。『オフザボールで引き出さないといけない』という課題を感じて、今年1年間はプレミアでそうしなければと思っていました。もちろん体を当てなければいけないところもあるので、そこは壁になって収めることもしないといけませんし。でも、狭いところで外していくところも取り入れないといけないなと」。

 ユースに昇格してからの意識の変化について本人は口にするが、プレーを見ればそれが形になっているのもわかる。相手に触れられながらも何でもできた中学時代とは違い、DFの視野から消えて“急に現れる”場面は格段に増えた。最終ラインの背後を取ったり、対角に走り込んだり、と。FWとしての怖さを増したことは間違いない。大熊裕司監督に率直にこの感想を伝えると、彼への言及に加えてチームの指導方針についても語ってくれた。

「そう言ってもらえるのが我々は嬉しいところですね。トップチームでやっているサッカーに入っていけるようにと志向しながら、どう個人が成長できるかというところを考えています。内野に関しては本人が意識高く取り組んでいる成果かなと思いますし、成長著しいです。“ポテンシャル”と言われて終わっている選手はたくさんいるけど、そうならないように実際のパフォーマンスを出させないといけないので、結果を出せるように育てたいなと」。

 ストライカーとして進化中であることは間違いないが、チームに結果が伴わなかった。ただ、これも彼をさらに上に引き上げるためには、必要なことなのかもしれない。

「予選通過できなかったのは悔しい。この夏休み期間でもう1段階成長して、プレミアで結果を残してクラブユースの舞台でやり返せるように頑張りたいです」。

 1年後、同じ舞台で彼はどんな成長を見せてくれるだろうか。今からもう楽しみでならない。

(取材・文 竹中玲央奈)
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