beacon

[MOM3553]流通経済大柏FW川畑優翔(3年)_日本一狙う流経のエース、確かな才能示して2発

このエントリーをはてなブックマークに追加

流通経済大柏高FW川畑優翔は2ゴールの活躍。(写真協力=『高校サッカー年鑑』)

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[8.15 インターハイ1回戦 流通経済大柏高 5-1 佐賀東高 三国運動公園陸上競技場]

 本人が自信を見せるのは空いたスペースでボールを引き出してのポストプレーだが、カットインからのシュートやゴール前で合わせる技術などストライカーとしての感覚も鋭い。今大会では10番を与えられるなど、流通経済大柏高(千葉)のFW川畑優翔(3年=大豆戸FCジュニアユース出身)は榎本雅大監督から絶大な信頼を寄せられている。

 能力の高さはJのスカウトからも注目される程だが、この大会を迎えるまでは思い通りの結果を得られずにいた。その理由について、試合前の榎本監督はこう話していた。「相手の対応の一個上を行っている。良いフェイントをしても相手が引っ掛からないから、シュートが打てない。相手のレベルが高くなれば、彼の力が発揮できると思う」。

 この日の対戦相手は、2月に行われた九州新人大会で準優勝を果たした佐賀東高(佐賀)。指揮官の読み通り、川畑のらしさが試合の中で上手く発揮された。「単純に上手い。自分が引っ張って、空いたスペースを彼が使うイメージでプレーしているけど、スペースがあったら何でもできちゃう。自分は川畑がボールを持ったら、動き出しを意識している」と話すFW清水蒼太朗(3年)との関係性も良好で、空いたスペースで上手くボールを引き出し、チャンスを演出した。

 前半11分には川畑のパスから、MF松本洋汰(3年)がミドルシュート。PA内にこぼれたボールを粘り強く繋ぎ、チーム全員でゴールを狙ったが、相手の粘り強い守りに阻まれた。川畑は以降も前線でポイントを作り、佐賀東のゴールに迫ったが、前半の得点は16分に清水がマークした先制点のみ。川畑は「前半は攻めているけど、あまり上手く行っていなかった。みんなが硬くて動きが単調になっていた」と振り返る。

 後半に入ってからは、「前半から左サイドに良い感じでボールが入るなと思っていた。だったら、そこに川畑を回そうと思った」(榎本監督)とポジションを前線から左サイドへスライド。より自由を得た川畑は「点がまったく入っていなかったので、ゴールかアシストをしようと思っていた。また、ボールを落ち着かせようと意識していた」。すると、後半11分には右サイドの仕掛けからCKを獲得。MF渋谷諒太(3年)がゴール前に入れたボールをヘディングで決めた。

「追加点が獲れて良かった。入る形は決めている。渋谷が狙い通りの場所に入れてくれたのが良かった。マークが外れてフリーだったので、枠に飛ばすことを意識していた」。

 直後の14分には、右サイドでボールを持ったFW石川裕雅(3年)の見事なサイドチェンジに対し、「相手がしっかりラインを作っていたので、DFとGKの間にしっかりスプリントして入ろうと意識していた」と上手く反応。柔らかいタッチで素早くシュートに持ち込み、豪快に自身2点目を叩き込んだ。試合の流れが決まり、17分に交替。それまで彼が見せた才能は、確かな物だった。

 日本一を狙う流経大柏の鍵となる存在で、本人もエースとしての自覚は高まっている。「硬くなりがちな初戦で点が獲れて、良いイメージが持てたのは良かった。あと5戦しっかり全部勝って優勝したい」と口にする通り、2回戦以降もゴールとアシストを量産し、チームに歓喜をもたらすつもりだ。

(取材・文 森田将義)
●【特設】高校総体2021

TOP