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再び降格圏転落…徳島MF岩尾「運任せのサッカーをしていると未来はない」

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MF岩尾憲(写真右から一人目)

[10.23 J1第33節 徳島1-1大分 鳴門大塚]

 徳島ヴォルティスは23日、J1第33節で大分トリニータに引き分け、再び降格圏に転落した。試合後、主将のMF岩尾憲は「結果を求めざるを得ない状況なので、結果についてコメントしたい気持ちは山々だが……」と前置きをした上で、これまで貫いてきた戦い方ができていない現状を悔やんだ。

 試合前時点で残留圏内の16位だった徳島はこの日、降格圏18位に沈む大分とホームで対戦。風下となった序盤は一方的に主導権を握られつつも、時間を追うごとにパワフルな攻撃を見せる場面が増え、風上に立った後半25分にはセットプレーの流れから先制点を記録したが、10分後の失点で追いつかれ、1-1の引き分けに終わった。

 他会場では17位だった湘南ベルマーレが19位の横浜FCに勝利したため、徳島が代わりに17位に転落。残り5試合、降格圏から逆転残留を狙う構図となった。

 もっとも岩尾は他チームが関わってくるリーグ戦の状況ではなく、徳島が積み上げてきたサッカーが披露できなかったことに課題を認識しているようだ。

「5試合残した中で、自分たちがピッチで示した“気持ち以外”のパフォーマンスはあまりいいものではなかった。それゆえに意図した形でチャンスを作る回数が少なかったし、そういった運任せのサッカーをしているとわれわれに未来はないのかなと思っている」。

 そう厳しい表情で試合を総括した主将は「風の影響は多少なりともあったにせよ、自分たちが今年だけでなく4年以上かけて大事にしてきたものが結果によってとか、風によってとか、そういったものであたかもなかったかのようになっていることに寂しさを感じた」ときっぱり。次のように戦術面の反省点を語った。

「自分たちの配置含め、試合前のプランはあるけど、より自分たち一人一人がストロングポイントを出せるやり方はあると思うし、そのプランで入って一人一人のストロングが出るならプランを遂行すればいいけど、そうでないなら……。いい意味で自立するプレーが全体通してあまり見られなかった。そこは誰か一人で解決できる問題ではないし、難しいゲームになりやすいというか、ハマらなかった時にこういう展開になってしまうというところかなと思う」。

 得点につながったセットプレーについては「ここ数試合、入った入らないにかかわらず自分たちが触る機会が増えてきている。なかなか内容が伴わない試合では、セットプレーはサッカーとは別競技と言っても過言ではないくらい大事なコンテンツなので、そこが唯一良かったかなと思う」と前向きに捉えている。

 それでもセットプレー以外では攻撃の形をほとんどつくることができておらず、「勝つということが目的で、戦術というのは手段でしかないので、戦術が目的化してしまっている状態は脱さないといけない」と現状への危機感をあらわにした。

 岩尾にとって、J2に在籍していた昨季まで指揮を執っていたリカルド・ロドリゲス前監督(現浦和監督)による積み重ねを、今季は活かせていないと考えているようだ。

「昨年の試合をご覧になられた方はわかると思うが、サッカーというのは生き物で、自分たちがいいイメージを共有して試合を行えている時はボールの流れも滞りないし、誰一人迷うことなくポジションを取れたり、流動性ができる。それが今は立ち位置、順位、選手の特徴、戦術などいろんな変数で、少し元がずれている。歪みがある中でプレーすると、気持ちは当然あるけど気持ち以外のところで一歩引いてみると、言い方は悪いけどブサイクな試合になっている。主体性というよりは、どうにかなってくれというプレー選択のほうが多かった」。

 だからこそ、残り5試合で主体性を持って改善していくつもりだ。何よりその試みこそが、徳島がJ1に生き残っていくための手段だと捉えている。

「不幸中の幸い、あと5試合もゲームをやらせてもらえるので、選手もスタッフも一人一人が主体性を持って、生き生きとしたフットボールを展開するために何が必要なのかというのを、人のせいでなく考える必要がある。悪い状況になると人のせいにしたり、当然あると思うが、時間が過ぎるとただ文句を言っただけで終わってしまうので、まずはチームが最大値を出せないことにはわれわれの勝ち点獲得確率はそもそもそんなに高くないので、最大値を出せるよういい準備をしたい」。

 17位の湘南とは勝ち点1差。11月27日に控える直接対決も含め、逆転のチャンスはまだまだ残されている。

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