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「後半勝負」のゲームプラン粘り強く完遂!! 名門徳島商が9年ぶり決勝進出、3連覇王者とのリベンジマッチへ

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徳島商高が決勝進出

[11.6 高校選手権徳島県予選準決勝 徳島北高 1-2 徳島商高 徳島市球技場]

 第100回全国高校サッカー選手権徳島県予選は6日、準決勝を行い、徳島商高徳島北高を2-1で破った。2012年度以来9年ぶりの決勝進出。13日の決勝戦では11年ぶり40回目の全国出場をかけ、県3連覇中の徳島市立高と対戦する。

 粘り強い守備が名門校を再び県決勝の舞台に導いた。県内最多39回の全国出場経験を持つ徳島商はこの日、徳島北にボールを握られる時間帯が続き、我慢の展開を強いられていた。それでも就任2年目の小西健太監督はこの一戦に向け、選手たちに明確なゲームプランを仕込んでいた。

「ボールを持たれる時間が長くなるのは最初からわかっていた。最初の10分間くらいは取りにいってみようと。無理だったらブロックを敷いて、相手にボールを持たれる時間帯は覚悟でやろうと。あとは後半勝負。向こうも疲れて間延びしてくるので、そこを突けたらいいねと」。

 指揮官の想定どおり、徳島北は序盤からセンターバックのDF坂本凌太郎(2年)、DF津川侑和(1年)が左右にボールを動かし、徳島商のプレッシングを誘うようなビルドアップを実行。これに対し、徳島商は最前線のFW守岡樹希也(3年)を筆頭に「中に入れさせない」よう構えたことで、前半は両者とも決定機の少ないジリジリとした展開となった。

 それでも前半31分、徳島商は左サイドを突破した守岡のクロスにMF作本幸之助(3年)が合わせると、同37分にはDF湯浅成翔(2年)の果敢なインターセプトからサイドを打開。同39分にもMF冨士村優(1年)のドリブル突破が相手のファウルを誘うなど、カウンターから前に出ていく場面も見られた。

 後半開始直後には徳島北がMF吉田敦貴(2年)の力強い突破からクロスが入り、MF辰己航基(3年)がこれに飛び込むも、徳島商も湯浅が競り合ってピンチを阻止。同4分にも徳島北がDF武田郁也(3年)のクロスからチャンスを迎えたが、辰己のヘッドは徳島商GK登大也(3年)がセーブした。

 そうして迎えた後半7分、徳島商が誇る1年生ドリブラーの積極性で試合が動いた。

 湯浅のロングボールに反応した冨士村は最終ラインの背後に抜け出し、右足でシュート。これはGK三原快嗣(3年)にセーブされたが、跳ね返りを拾った冨士村はいったん左サイドに流れ、再びカットインを開始。これに対応し切れなかった徳島北DFにペナルティエリア内で倒され、徳島商がPKを獲得した。

 キッカーはDF増田太陽(3年)。チームメートから「蹴ってくれ」と大役を任された主将は大きな緊張感の中で右足を振り抜き、左のコースに落ち着いて決めて先制点を奪った。

 こうなると焦るのが徳島北。最終ラインに対してプレッシングに来ない徳島商に対し、GK三原のロングボールで背後を狙うも、DF森輝記(2年)ら集中力の高い守備陣をなかなか破ることができない。

 後半30分には津川のロングフィードが左サイド裏に通り、クロスボールがゴール前に入ったが、吉田のシュートは相手守備陣がブロック。こぼれ球に辰己が反応するも、素晴らしい読みでカバーリングに入っていたMF大坪永遠(2年)にクリアされ、徳島北は大きな決定機を活かせなかった。

 すると後半34分、徳島商は左サイドを攻め上がった冨士村がドリブルで深くえぐってクロスを送ると、途中出場MF新開泰人(1年)と大坪が連続シュート。これらは三原のスーパーセーブに阻まれたが、跳ね返りを冨士村が押し込み、リードを2点に広げた。1年生の冨士村は準決勝の舞台で2ゴールに絡む大活躍となった。

 厳しくなった徳島北はパワープレー気味の攻撃をスタート。後半38分には右のハーフスペースで途中出場FW原田大成(1年)が起点をつくり、MF濱崎遼真(2年)のシュートはポストに阻まれたが、跳ね返りをFW川村遼平(3年)が決めて1点を返す。しかし、反撃はここまで。最後まで粘り強さを見せた徳島商が決勝進出を決めた。

 徳島商は夏のインターハイ予選に続いてのファイナル進出。指揮官は「当たり前のことを当たり前にできるよう、私生活のところもちゃんとしなかったらいいプレーはできないよねと口酸っぱく言っている。そうしたらちょっとずつチームが変わってきて、春以降、思うようにいかない時間帯も崩れず、人のせいにせず、タフにできるようになった」とチームの成長ぶりを語る。

 そうして挑む決勝の相手は徳島市立高。今季の新人戦2回戦とインターハイ予選でも対戦し、いずれも0-2で敗れた相手だ。

「(インターハイでは)自分たちのやりたいことを全くさせてもらえなかった。向こうはファイナルの常連で、場に慣れているなというのを一番感じた。負けたあとも『決勝に行き続けないと勝てんよね』って話をしてきた」。

 次は徳島商にとっても初めてではない決勝戦。インターハイの敗戦により「ただ全国に行くと言っていただけだったのが、手が届くリアルな目標になった」といい、次のステージを見据える上でも勝ちにいくべき戦いとなる。

「格上で今日よりももっとしんどい試合になると思うけど、その中で我慢強く戦って、1点勝負、2点勝負の試合をモノにできるかが大事になる」(小西監督)。リベンジの舞台は整った。名門・徳島商は持ち味の粘り強さを活かし、3連覇王者に挑む。

(取材・文 竹内達也)
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