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夏の悔しさ晴らすため…びわこ大は札幌大に先制許すも4発逆転劇! 望月監督「確実に勝ったのは褒めてあげたい」

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びわこ大がインカレ初戦突破

[12.8 全日本大学選手権1回戦 びわこ成蹊スポーツ大 4-1 札幌大 中台]

 第70回全日本大学サッカー選手権大会(インカレ)が8日に開幕。雨が降る中台運動公園陸上競技場では、びわこ成蹊スポーツ大(関西3)と札幌大(北海道1)が対戦。びわこ大が4-1で勝利した。11日の2回戦では早稲田大(関東5)と対戦する。

 コロナ禍により昨季はインカレは行われず、特例大会『#atarimaeni CUP』が開催。今季は2年ぶりのインカレとなった。しかし、初戦は関東一帯が大雨模様。ピッチは水たまり状態という難しい環境で、選手たちは初戦に臨んだ。

 両者ともに4-4-2の布陣を敷く。びわこ大は、ゴール前にGK倉原將(1年=鳥栖U-18)を、4バックにはDF齋藤圭汰(4年=摂津高)、DF藤井嵐(1年=立正大淞南高)、DF山田祐樹(3年=立正大淞南高)、DF藤松航矢(4年=鳥栖U-18)を並べる。徳島ヴォルティス内定のDF森昂大(4年=創造学園高)は初戦欠場となった。ボランチ2枚はMF江口隆史(4年=明徳義塾高)とMF佐藤昴(4年=神戸U-18)。右サイドにMF勝田晃太郎(4年=飛龍高)、左サイドにヴィッセル神戸内定のMF泉柊椰(3年=神戸U-18)を配置。2トップはFW曺亨仁(4年=鹿児島U-18)とFW大嶋佑(4年=東海大仰星高)が入った。

 札幌大はGK國田柊平(2年=静岡学園高)、4バックはDF藤本詠稀(3年=旭川実高)、DF中山和紀(4年=山梨学院高)、AC長野パルセイロ内定のMF高橋耕平(4年=北海道大谷室蘭高)、DF松井彰良(4年=東海大札幌高)。中盤2枚はMF雨宮広夢(4年=中央学院高)とMF山内陸(3年=旭川実高)を配置。右サイドはMF高橋歩武(3年=駒大苫小牧高)、左サイドはヴァンラーレ八戸内定のMF野瀬龍世(4年=東海大札幌高)を置き、2トップはFW向井ひな太(2年=JFAアカデミー)とMF南谷陽介(3年=青森山田高)が起用された。

 水たまりの影響でドリブルは足を取られ、パスは減速。雨の戦い方を強いられる中、札幌大が序盤に先制する。前半13分、山内が右CKで左足のキックを放つ。低い弾道がニアサイドに入ったところで、高橋耕がヘディングシュートでゴールに流し込んだ。

 びわこ大は追いかけたいが、雨の影響もあり、なかなか連係から前進することができない。だが、びわこ大の望月聡監督は試合前に「相手にとって嫌なところはどこか。背後とか、そういうところからリズムを取っていくのが大事」と選手たちに伝達。すると、前半23分に個の力で打開していく。

 江口のパスを受けた泉が得意のドリブルを仕掛ける。PA左に入り込み、相手のファウルを誘発してPK獲得。佐藤が冷静にPKを決め、1-1と同点に追いついた。

 その後は勢いを取り戻したびわこ大のペースに。前半26分には泉がPA左手前から右足シュートも、わずかにゴール枠外へ。同28分には後方からのロングボールを泉が横にパス。大嶋がシュートを放つも、相手GKに阻まれた。38分には曺が相手選手と交錯し、負傷。43分にFW清水一雅(2年=仙台ユース)と交代している。

 攻勢を強めるびわこ大は、前半アディショナルタイム2分過ぎに再び決定機を迎える。右CKからPA手前にボールがこぼれたところを、泉が低い弾道のシュート。敵味方が密集したところで、相手選手のハンドを誘発。またしてもPKを奪取した。今度のキッカーは藤松。これも冷静に決め切り、びわこ大が2-1と逆転した。

 札幌大はハーフタイムに3枚替え。藤本、高橋歩、南谷が下がり、DF原田拓真(2年=秋田U-18)、FW鷲塚蓮(3年=桐光学園高)、MF小笠原大将(2年=札幌U-18)が入る。反撃に出たい札幌大だったが、後半5分にびわこ大に点差を広げられてしまう。

 びわこ大はPA右手前の位置でFKを獲得。キッカーはチーム1点目を決めた佐藤。右足を振り切ると、ボールは右に弧を描きながら、そのままゴールマウスへ。クロスを意識していた相手GKの虚を突き、ゴールネットに突き刺した。

 3-1と点差を広げたびわこ大は、後半15分に大嶋に代えてFW伴木翔(2年=立正大淞南高)を投入。同19分には勝田を下げ、負傷から復帰したMF上月翔聖(4年=神戸弘陵高)が入った。28分には泉が下がってFW石橋克之(2年=立正大淞南高)が、37分には2得点の佐藤に代え、FW小林志光(4年=藤枝明誠高)が出場した。

 びわこ大は後半39分にダメ押しの4点目を挙げる。小林の右CKの流れから右サイドにこぼれたボールを、藤井が鋭いアーリークロス。ゴール前の伴木が頭で合わせ、ゴールに流し込んだ。

 試合はそのまま終了。先制を許したびわこ大が、前半で逆転し、後半も攻撃を緩めず。4-1で2回戦進出を決めた。

 びわこ大は夏の総理大臣杯の初戦で山梨学院大に敗れ去った。望月監督は「相手が素晴らしいチームだったんですけど、それでも1回戦で負けるって選手からしたら屈辱じゃないですか。みんな屈辱の1回戦という思いだった」とその心情を代弁する。「今日は何が何でもっていう思い」があったことを明かした。

 だが、序盤に失点。指揮官は「すごく不安はあったんですけど」と本音を覗かせつつ、それでも選手を信頼していた。「やることをしっかり、攻撃も守備も考えてやってくれたから、4点も取れたのかなと思います」と目を細めた。まずは一歩。目標は頂点だ。「目指しているのは、5試合ちゃんとやって優勝するということ。確実に勝ったのは褒めてあげたい」と手応えを口にした。

(取材・文 石川祐介)
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