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国立で連発!ハードワーク貫いたFW名須川真光は青森山田の「9」を体現

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青森山田高FW名須川真光は国立で2試合連続ゴール。大会優秀選手に。(写真協力=高校サッカー年鑑)

[1.10 選手権決勝 大津高 0-4 青森山田高 国立]

「9」の役割を見事に果たした。青森山田高(青森)は1-0の前半41分、左中間でこぼれ球を拾ったMF田澤夢積(3年)が縦へ仕掛ける。そして、DFの足先を抜けたラストパスにFW名須川真光(3年=ヴェルディSS岩手U-15出身)が反応。身体を投げ出して放った右足スライディングシュートが、GKの股間を抜けてゴールネットに吸い込まれた。

 このシーン、ペナルティアーク付近の浮き球に競って、起点となったのも名須川だった。そして、こぼれ球を拾った田澤の動きを見た背番号9は、大津高(熊本)の選手よりも切り替え速くゴール前へ。「夢積が(縦突破して)上げれるという状況になったので、『絶対にあそこに来る』と思って、入って行きました」。そして泥臭く決めたゴール。準決勝の前半3分に決めた先制ヘッドに続く国立競技場でのゴールだった。

「今まで味わったことのないような嬉しさだったり、感情でした」と名須川。1年前の選手権決勝(山梨学院高にPK戦で敗戦)で18番を背負って先発した名須川は、シュート4本を放ったものの、無得点に終わっている。決勝でそのリベンジ。何より、ゴール以外の部分で青森山田の「9」らしさを表現していた。

 前線での競り合い、ハードワークを厭わず、DFライン背後に抜けたボールを諦めずに追って身体ごと飛び込んだ。迫力十分のプレッシングも大津の脅威に。また、CB丸山大和(3年)の先制ヘッドのシーンもニアで潰れ役となるなど、その泥臭いプレーも貢献度大だった。味方のためにハードワークすることは青森山田のFWが強く要求されている部分。貴重なゴールに加え、自分の役割も貫いたFWは「(青森山田の9番に相応しいプレーヤーに)多分、なったと思います」と微笑んだ。

「去年、安斎颯馬選手(現早稲田大)がいて、3年生の初めの頃も他人任せになっていたところがありました」と振り返る。FW渡邊星来(3年)と2トップを組んだ今年、当初は連係面など上手く行かないことも少なくなかったという。

 それでも自分が、自分が、になることなく、フォア・ザ・チームを徹底。仲間のために走り、戦い続けたことでチームは高校年代“3冠”を成し遂げ、個人としてもインターハイ、選手権でともに4得点(選手権は得点ランキング2位タイ)、いずれも大会優秀選手選出と充実した1年となった。

 岩手から青森山田での挑戦を決意して挑んだ3年間は最高の結果に。「選手権という大会は高校入ってくるまでに憧れてきた舞台で、4ゴールで優秀選手にも入れて、とても嬉しいです。この優勝で天狗とかになるのではなくて、ここを通過点として、これから自分は大学(順天堂大)なんですけれども、プロになれるように頑張っていきたい」。犠牲心を持って戦い、決める名須川は、その強みをさらに磨いて大学サッカーを代表するFWへ。そして、4年後に目標を達成する。

(取材・文 吉田太郎)

(※青森山田高の協力により、リモート取材をさせて頂いています)
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