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[MOM3767]神戸弘陵FW村井陸斗(2年)_キャプテンとして、FWとして、「申し分のない活躍」の先へ

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神戸弘陵高FW村井陸斗は1ゴール1アシストの活躍

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[2.6 兵庫県新人大会決勝 神戸弘陵高 3-0 三田学園高]

 新チームとなった神戸弘陵高のキャプテンを務めるのは、FW村井陸斗(2年=神戸FC出身)。令和3年度兵庫県高等学校サッカー新人大会の決勝では、早かった先制点からしばらく得点がないまま後半に入っていたチームに勝利を引き寄せる2点目を挙げ、勝利をより確実なものにするための3点目をアシストした。

 局面を打開できる確かな技術がありながら気取った感じもなく、泥臭く走ることを厭わない村井は、試合後に「FWとして、キャプテンとして、しんどい時でもゴール前に入っていくことを絶対に怠らず、チームを勝利に導く仕事をしたいと思っていた」と話したが、終始その気持ちを十分に感じさせるプレーと眼差しを見せていた。

 気持ちが前に出ることは村井の魅力的な部分ではあるが、昨年まではそれが足枷にもなっていた。谷純一監督は、昨年までの村井を「上手い選手ではあるけれど、なんでも頑張ろうとしすぎて力んでいた」と振り返る。

「いつも僕は気持ちが前に行きすぎて、すぐに力が入ってしまう。ボール、ボールとなってしまって周りが全然見えなくて。去年は練習でAチームに絡めても、トップチームだと思うと緊張してしまって」(村井)、上手く実力を発揮することができなかった。

 これまで谷監督から力みすぎていることを繰り返し指摘してもらい、深呼吸して試合に入るようになった。けれど、深呼吸だけで改善できることでもない。少しずつ自分の行動を変える努力を重ねてきた。「ボールを持つ前に周りを1回見るところを2回・3回と見るようにしてみたり、アップしている時やピッチ外でも誰が何をしているかを意識して見たりしていたら、自分の周りの情報がすごく入るようになった」という。周囲の様子が分かれば、自然に力が抜けるようにもなった。

 谷監督は、最近の村井を「力みがなくなってきて、プレーの幅も広がってきている。チャンスメイクし、得点場面に顔を出せるようになってきた」と評価。また、周囲の様子がよく見えるようになったことは、ピッチ内だけでなく、キャプテンの仕事ぶりにも生きている。

「率先して準備などもやるし、発言と行動でチームを引っ張ってくれた。副キャプテンでDFリーダーの木津周馬(2年)と共に、短期間でとても成長してくれた」ことも併せて讃えられ、少し前までピッチで周りを見られなかった選手がこの日、キャプテンとして、FWとして、谷監督に「申し分のない活躍」とまで言わしめた。

 ただし、この谷監督の言葉には続きがある。「今のところは有言実行で非常に良いけれど、この新人戦が最後ではない。村井にはまだ成長してもらいたい」。

 もちろん村井自身も、この優勝を手放しで喜んではいない。「優勝できたことは良かったけれど、今大会で目標としていたうちの1つである『3点差以上での勝利』は、滝川第二との試合で2-0、報徳学園との試合では1-0で達成できなかった。この結果をシビアに捉えて、また練習に取り組んでいく」という。

 深い信頼を置くチームメイトたちと今大会だけでなく総体・選手権も加えた県内大会3冠を目指し、これから村井はさらにたくましく神戸弘陵を牽引するキャプテンになっていく。

(取材・文 前田カオリ)

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