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目標は「日本を代表するドリブラー」。岡山学芸館の1年生MF田口裕真は劇的V弾を飛躍のきっかけに

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後半35+1分、岡山学芸館高MF田口裕真が決勝ヘッド

[3.13 中国高校新人大会準々決勝 瀬戸内高 0-1 岡山学芸館高]

 期待の1年生ドリブラーに自信をもたらすゴールだ。0-0で迎えた後半35+1分、岡山学芸館高は右CKをニアのMF木村匡吾(2年)が頭でそらし、中央のMF田口裕真(1年=高槻ジーグFC出身)がヘディングシュート。ボールはゴール左隅へ吸い込まれ、劇的な決勝点となった。

「いつも僕は(CKの際、中に)あまり入るんじゃなくて、こぼれ球を拾うんだったんですけれども、最後だったので入ろうかなと自分の判断で入ったら良いボールが来ました」と田口。「前半からあそこのスペースは空いていたので狙ってはいました」と中央のスペースを突いて放ったヘッドは、“考え過ぎていた”1年生の飛躍のきっかけになるかもしれない。

 田口は昨年、1年生ながらインターハイ、選手権ともに先発出場を経験し、全国舞台でテクニックや攻撃センスを発揮。特にドリブルについては、「ドリブルはずっと中学校、小学校の頃からずっとやっていて、ドリブルでどんどん仕掛けて相手を揺さぶったり、ゴールを狙うことは自分の武器だと思う」とこだわりを口にする。

 この日は目の前のDF1枚を剥がす動きを見せていた。しなやかでスピードも兼備。選手権後にフィジカルトレーニングを重ね、力強さも増してきている。だが、高原良明監督は「もっとドリブルで入って行って欲しい。もっとギュギュって行って欲しい」と要求。3年生が引退したことで自然とチーム内での期待が高まる中、良さを出すことができていないのだ。

「新チームが始まってから自分の思うようにプレーできないことが多くて……。何でもできていたのが去年だったけれど、今年は『自分が(ボールを)失ったら』と考えちゃうところがあります」。責任感が高まったことで自分が引っ張る、ゴールを奪うという自覚が向上。だが、ミスをできない重圧が、仕掛ける良さを消してしまっていた。

 考えすぎて自分の良さをなかなか表現できず、先発できない試合も続く中、この日は最後まで戦い抜いて決勝点。「きょうのゴールは自信になります。(同世代の選手たちの活躍に負けず。)自分もやらないとダメだなと思うので、そこも自分は試合に出て頑張りたいです」という田口は、このゴールをきっかけとして、自分らしく仕掛けることを増やしていく。

 田口は「日本はドリブラーが少ない気がしています。自分は、日本を代表するようなドリブラーを目指しています」と掲げる。そのために努力を重ねている日々。FWネイマールやMF三笘薫を憧れの存在に挙げるドリブラーは、自信を持ってチャレンジし、見ている人を楽しませ、チームを勝たせる選手になる。


(取材・文 吉田太郎)

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