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昨年の大敗から前進もゴール前の攻防で差。市立船橋の2年生10番FW郡司璃来はより前で「違い」を

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随所で違いを見せていた市立船橋高の10番FW郡司璃来。より前で決定的な仕事をする。

[4.3 高円宮杯プレミアリーグEAST第1節 市立船橋高 0-2 青森山田高 グラスポ]

 昨年4月の対戦では、後の“3冠王者”相手に0-9の歴史的大敗。この日は球際勝負で食い下がり、技術力で差を生み出す部分もあった。市立船橋高(千葉)の各選手は手応えを口にしたが、スコアは0-2。昨年の青森山田高戦を経験している10番FW郡司璃来(2年=JSC CHIBA出身)は、「去年も後半途中から出て、去年の思いもあって負けたくなかった」と悔しがる。

 実感した青森山田の勝負強さ。郡司は「ちゃんと決めるところは決めてきて、凄いなと思いました。最後体張るというところは負けていたと思うので、市船もそういうところを見て真似してできたら良いと思います」と改善することを誓っていた。

 昨年同様、負けたことに変わりはない。ただし、「できたところもいっぱいあったし、前の人も決めるだけというところがいっぱいあった」(郡司)ことも確か。昨年ほどの差はないと実感しているだけに、練習で細部の差を埋め、次回の対戦で白星を勝ち取ることを目指す。

 郡司はこの日、個でも王者と渡り合っていた。自主練で「ずっとボールを触ってきたのでそこは負けないと思います」というFWは、相手の重心を外すドリブルやMF太田隼剛(2年)、FW青垣翔(3年)とのコンビネーションで中盤の局面を打開。青森山田の強度の前に競り負けるシーンもあったが、負けん気強いFWは怯まない。

「自分、ドリブルが武器なんで、何回か仕掛けたところで全然やれると思ったので、そこでもっとボールが欲しかったですね」。なかなかボールが前線に届かなかったため、ボランチラインまで下がってプレー。一度受けてはたき、もらい直してからドリブル、コンビネーションにチャレンジしていた。

 そして、ゴール前で持ち味のアイディアも発揮し、決定的なシーンも演出していたが、その回数はわずか。シュートもゼロに終わっただけに、本人は「100点はないです。もっと自分なりに出来たと思うし、係れたと思うので満足はしていないです。下がり過ぎと言われました。もっと前でプレーするようにしたい」と口にする。

 郡司は味方のピンチを察すると、トップ下の位置からDFラインまで下がり、スライディングで相手のクロスをブロックするシーンもあった。彼の感覚的な攻守がチームを救っている部分も多い。だが、期待されるのはエースとしての仕事。波多秀吾監督は「攻守両面で、前でプレーさせることができれば得点に絡んだり決定的な仕事ができる。一人で何でもできるというのがプロになっていく選手だと思うので、カバーリングして、ボールを運ぶことも大事だけれど、最後点を獲って欲しい」と期待した。

 市立船橋は昨年、リーグ最終節の柏U-18戦を0-2から郡司の3得点で逆転勝ち。敗れれば降格という試合を制し、奇跡的な残留を果たした。新10番の郡司にとっては自分の得点力を再確認した試合。自らの活躍で勝ち取った今季のプレミアリーグでは、ゴールを量産することも目標だ。

 年代別代表チームに再び入っていくことも目指す一年。「(昨秋)代表行った時は全然できた手応えはあったんですけれども、そこから(なぜか)呼ばれなくなったので、また呼ばれるように努力しています」。この日、青森山田との差となったゴール前の攻防で結果をもたらす選手になること。より「前」で違いを示し、ゴールで白星と評価を勝ち取る。

(取材・文 吉田太郎)
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