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中体連出身、185cmの俊足FW坂元一渚璃ら“尖った”選手集う報徳学園が初のプリンス関西で健闘

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前半19分、報徳学園高FW坂元一渚璃が右足で同点ゴール

[4.30 高円宮杯プリンスリーグ関西1部第5節 興國高 4-2 報徳学園高 J-GREEN堺 S3]

 プリンスリーグ関西1部初参戦の報徳学園高(兵庫)は、開幕戦での京都U-18戦での白星を皮切りに前節まで2勝1分1敗。「プリンスにいてるチームなので、ゴール前で違いを作って来る選手が多い。引いて守ると、逆にやられる」(高田秀一監督)という考えから前に出て、アグレッシブなサッカーで対抗している。

 この日は不用意な失点含めて4失点で2敗目。だが、相手を上回るシュート12本を放ち、2点を奪い返すなど、V候補の興國高を十分に苦しめて見せた。高田監督が「尖った選手を積極的に集めているので」というチームは、CB山崎純平(3年)やMF松本一輝(3年)、MF 瀧田隼人(3年)、MF今西悠貴(3年)ら各選手が個性を発揮。中でも、中体連出身の185cmFW坂元一渚璃(3年)が、視察に訪れたJクラブスカウトたちの前で存在感を示した。

 坂元は序盤から前線でボールを収め、前半19分にはゴール前のこぼれ球を巧みにキープ。ターンしながら右足を振り抜き、同点ゴールを決めた。前半44分には得意の抜け出しでボールを引き出し、絶妙なファーストタッチ。一度DFに身体を入れられたものの、「最後まで諦めずに行けて良かった」とボールを奪い返して2点目を演出した。

 この日対戦した興國のCBは、いずれも注目プレーヤーの西川楓人(3年)と常藤奏(3年)だったが、渡り合い、後半には右足ダイレクトのシュートや、パワフルな抜け出しからのシュート。そして、折り返しに反応し、左足を振り抜くシーンもあった。

 両チームトップのシュート5本。結果も残した坂元だが、「他にも決めれるシーンとかあった。そこで決められたらもっと自分の成長に繋がると思う」。満足することなく、より結果にこだわる考えを口にしていた。

 坂元は宝塚市立南ひばりが丘中時代、市ベスト4が最高成績で、県大会の出場は無し。それでも、「中学校の時よく寝ていたので(微笑)」身長は中学3年間で10cm伸びて180cmとなり、高校進学後さらに伸び続けた。

 50m走6秒1の俊足を活かした抜け出しからのシュートが特長。最前線でボールを収めることも成長させてきた。「ボールキープとか自信があるので、タメや反転からのシュートを見てもらいたい」。怪我明けでコンディションはまだまだだが、キレが上がってくれば抜け出しの鋭さが増し、味方へチャンスメークする回数も増やせると確信している。目標はプロ。「そこがなかったら……。練習の気持ちとかも大事やと思うので上を目指すことは向上心持ってやっています」。練習から努力を重ね、大舞台で活躍してチャンスを掴む。
 
 この日、強敵と90分間ゲームを戦った報徳学園は翌5月1日にインターハイ兵庫県予選初戦という過密スケジュール。ピッチも天然芝から土のグラウンドへ変わる。負担が大きいが、70年代以来となるインターハイ・選手権出場はチームの大きな目標だ。

 高田監督は「報徳クオリティを上げて、(プリンスリーグや全国大会を)皆さんに知って頂く場にしたい」と語り、坂元は、「去年総体で決勝まで行って負けている。今年絶対に全国出てタイトル取って、全国目指してやっていきたいです」。プリンスリーグの戦いで自信をつけ、日常の基準が向上。提携クラブのCOSPAフットボールクラブ出身選手ら“尖った選手”たちがさらに進化を続け、歴史を塗り替える。

(取材・文 吉田太郎)
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