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成長、好守続ける九州国際大付GK與田和也がPK戦13人目で「借りを返す」

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PK戦13人目を止めた九州国際大付高GK與田和也が仲間の下へ駆け寄って歓喜のスライディング

[6.5 インターハイ福岡県予選決勝 九州国際大付高 1-1(PK12-11)飯塚高 小郡市陸上競技場]

PK戦で主役になり、チームメートの下へ駆け寄るイメージをしていた。時間はかなり掛かったものの、PKを止めてイメージ通りに笑顔の仲間たちと喜んだ守護神。九州国際大付高は、前後半にそれぞれファインセーブを見せていたGK與田和也(3年=筑後FC出身)が、PK戦13人目を止めて歓喜の輪の中心になった。

 それまでは、読みを当てながらも弾き出せないなど苦しい展開。加えて8人目にキッカーを務めた與田は右足シュートをポストに当てて失敗していた。それでも、後攻・飯塚8人目のキックが「みんなの思いで良い方向に」飛んでゴール左外へ。仲間の強い思いに救われた守護神は、強い気持ちでチャレンジを続け、1本を止めた。

「技術で上手くいった、いかなかったというよりも最後は(監督の)江藤先生たちからもメンタルの部分だと言われたので、良いイメージを持って良いセーブができたと思います。(自分の失敗の)借りを返せたので良かったです」と與田。そして、「PK戦に入る前から良いイメージを持っていて、止めた時はベンチのみんなのところに行こうと思っていて、止めた時にその思いが蘇ってみんなが笑顔でこっちに走ってきてくれて、とても嬉しかったです」と喜んだ。

 183cm、79kgとガッチリとした体格でシュート反応が鋭い好守護神。この日は雨が振り続ける難しいコンディションだったが、「キックも見て欲しいし、声掛けのところが一番聞いて欲しい」という與田は、前半からゴール前で存在感ある動きを見せ、ほとんどミスなくプレーしていた。

 そして、福岡大若葉高との準々決勝に続いてPK戦で主役に、福永将史GKコーチは「プリンスの時もそうですけれども、アイツ自身が自信を持ってやっていた。試合を重ねる中でどんどん成長して行っている。このインターハイ中もアイツのお陰で勝った試合が多いですし、僕も安心して見れた部分があります。(普段厳しく接しているが、)今日は褒めてあげたい。アイツが全国でどこまでできるのか、楽しみです」と期待した。

 與田の今大会の活躍は、悔しさをバネに成長してきた成果でもある。昨年は2年生守護神としてシーズンをスタートしていたが、インターハイ予選の一週間前に骨折。先輩たちに迷惑を掛けてしまった。

 加えて、同学年でライバル校・東福岡高の守護神、GK須田純弥が年代別日本代表入りするなど注目を集めていたこともエネルギーにしてきた。今大会、須田は怪我で欠場。「言葉は良くないかもしれないですけれども、(須田の代わりに)自分が輝けるチャンスじゃないかなと思って。こうやって結果を出すことができたのでとても嬉しいです」と活躍したこと、優勝できたことを素直に喜んだ。

 與田の憧れは小学生時代に鳥栖でプレーしていたGK権田修一(現清水)だ。「自分は(福岡県南部の)筑後市出身なんですけれども、小学生の頃から(近隣の)サガン鳥栖の試合を観に行ったりして、その時にちょうど権田選手がサガン鳥栖にいて、心奪われることがあってずっと目標にしていました」という。

 ポテンシャル大きな守護神は、その目標に近づくことができるか。「インターハイでは福岡県を代表して戦うので、色々な高校の思いも背負って、自分が失点しなければ負けないので、『福岡に良いGKがいるよ』と、全国に九国の名と自分の名を轟かせられるように頑張りたい」。よりタフなGKに成長し、全国大会でも輝く。

(取材・文 吉田太郎)
●【特設】高校総体2022

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