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復活への道歩む国見が10年以来のインハイ予選決勝進出!勝ち切る逞しさ示し、終了2分前に決勝点!

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後半33分、国見高MF幸偉風が決勝ゴール

[6.9 インターハイ長崎県予選準決勝 国見高 2-1 長崎日大高 長崎市営ラグビーサッカー場]

 国見が全国復帰まであと1勝! 令和4年度全国高校総体(インターハイ)「躍動の青い力 四国総体 2022」男子サッカー競技長崎県予選準決勝が9日に行われ、国見高が2-1で長崎日大高に勝利。国見は10年以来のインターハイ出場を懸けて10日の決勝で長崎総合科学大附高と戦う。

 選手権優勝6回、インターハイ優勝5回の国見にとって、インターハイ予選の決勝進出は最後に全国大会へ出場した10年以来12年ぶり。前半、後半ともに流れの悪い時間帯がありながらも、それを逞しく乗り越えた。木藤健太監督は、「悪いなりに。そういう時間帯もありながら耐えて、自分たちのゲームにする。(自分自身含めて)トーナメント勝ち抜く経験は大事だなと」。苦しい時代を経験し、そこから昨年の九州新人大会優勝など復活への道を歩み続ける国見が、また次に繋がる1勝を挙げた。

 国見はGK今村泰斗(3年)、右SBが主将の村田一翔(3年)、CB平田大耀(2年)、CB和田夢叶(3年)、左SB椛島眞於(2年)、川添空良(3年)と21年U-17代表候補MF北村一真(3年)のダブルボランチ、右SH中田敦士(3年)、左SH今林隆之介(3年)、そして前線に中村敦貴(3年)と中山葵(2年)が並ぶ形を組んだ。

 一方の長崎日大はGK山下遙海(3年)、右SB田代拓叶(2年)、CB高村啓太朗(2年)、CB古田成也(2年)、左SB高嶺史哉(3年)、中盤中央は吉野克哉(3年)と永吉穏空(3年)、ゲーム主将・山口大斗(3年)の3人が入り、右SH友永響(2年)、左SH下山祐樹(3年)、最前線に白石快周(3年)が構えた。

 序盤はともに慎重な戦いだった。国見はまず守備を意識しながら、スペースへ抜け出す中山らを活用。一方の長崎日大は吉野や落ち着いた動きを見せる友永を中心にビルドアップするが、バックパスが増えてしまい、後ろに重くなってしまう。

 先にギアを上げたのは国見の方だった。飲水タイム明けから個やグループでの崩しにチャレンジする回数が増加。19分にはSB村田の突破、ラストパスのこぼれを中村が頭で狙う。直後には相手のバックパスを中山が猛追してあわやのシーン。さらに左の今林からクロスからゴール前のシーンが生まれる。

 そして27分、国見はダイレクトのパス交換から北村が距離の長いスルーパス。ボランチの位置から飛び出した川添が、GKとの1対1を左足シュートで制した。木藤監督が「ボランチが飛び越してああいうところ(DF背後)に出ていくというのは、狙っている一つの形でもあります。彼(川添)は出て行けるようになって。そこで点を獲れるようになってきている」という崩しから鮮やかに先制点。長崎日大もすぐに反撃に出ると山口がシュートへ持ち込み、33分には身体能力高い田代のクロスに白石が飛び込むが、わずかに合わない。

 長崎日大の亀田陽司監督は思うような攻撃ができなかった前半について、「2トップしか追って来ていないのに(CBが)バックパスをしてしまったり。分かるんだけど、負けたくないのが…」。後半開始から2CBに代えて、1年生ボランチの大町璃史と左SH梅野雄大(3年)を同時投入。永吉と吉野を最終ラインへ落として立て直す。

 ボール保持に加え、「前に入るようになった」(亀田監督)長崎日大は8分、サイドチェンジから右SH下山が中へ運んでスルーパス。飛び出した梅野のシュートはDFにクリアされたが、一つ形を作る。国見は直後に中村をFW利根悠理(3年)へスイッチしたが、攻勢に試合を進める長崎日大は12分、高嶺が右サイドから左足CK。GKの小さなパンチに反応した吉野が頭で右隅へ押し込み、同点に追い付いた。

 長崎日大はさらに13分、左サイドから崩し、梅野のラストパスで白石が抜け出す。だが、国見GK今村がビッグセーブ。国見は16分に椛島と今林に代えてCB上田陽南太(3年)と右SH幸偉風(3年)を投入したが、流れは変わらない。18分、長崎日大は大町の展開から左の高嶺が梅野とのワンツーで切れ込み、PKを獲得する。

 だが、国見GK今村が右へ跳んで、長崎日大MF梅野の右足PKをビッグセーブ。右手を突き上げた守護神は、直後の飲水タイムでチームメートから感謝されていた。勝負の残り15分間。ここで国見が相手との差を生み出す。

 1年時から主軸の北村は、「ここで自分たちがやらないと次に進めないと思ったので、みんなでやるという気持ちと一体感が出ていました」と振り返る。21分に中田とMF濱田渉帆(3年)を入れ替えた国見は、北村や和田のクロスからチャンスを作り出す。一方の長崎日大も24分に友永とFW浦嶋敬心(3年)を交代し、もう一度パワーを持って勝ち越しを目指した。

 勝負を制したのは「(今年の世代は)乗るタイプですね」(木藤監督)という国見だった。終盤に掛けて勢いのある攻守を見せていた国見は33分、右CKからシュート。DFのクリアを幸がダイレクトでゴールへ叩き込む。

「これを決めれば決勝、トランスコスモススタジアムだと思って、緊張はしたんですけれども、ちゃんと当たったので良かったです。とにかく嬉しかったです。しっかり途中交代の役割を果たせて良かったです」と幸。この後、長崎日大はFW山口翔(2年)とFW田中蓮(3年)を送り出し、国見もDF川久保幸之介(3年)投入で守りを固める。全国への執念で上回った国見が逃げ切り、決勝進出を決めた。

 国見は下級生時に出場していた選手や注目選手関係なく、良いパフォーマンスをしている選手がピッチへ。日常の競争から妥協することなく積み重ねてきた伝統校が、悲願の全国復帰まであと1勝とした。北村は決勝へ向けて、「アグレッシブに自分たちの武器を存分に発揮できたら良いと思います」と語り、幸は「自分たちの代は必ず全国に行きたいと思って臨んでいます。(決勝では)しっかりと自分たちのやることを発揮して、全国に行きたい」と宣言。悔しい敗戦も経験しながら再び逞しく勝つ集団へと変わってきた国見が今夏、全国舞台に返り咲く。

(取材・文 吉田太郎)
●【特設】高校総体2022

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