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最後尾でダミアン完封、最前線で同点ヘッド…大分DFエンリケ「サポーターに恩返しできた」

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[12.12 天皇杯準決勝 川崎F 1-1(PK4-5) 大分 等々力]

 守ればJ1リーグ得点王のFWレアンドロ・ダミアンを封じ込め、攻めてはパワープレーから起死回生の同点ゴール。大分トリニータDFエンリケ・トレヴィザンが大車輪の活躍でクラブの歴史を切り拓いた。

 J1リーグ連覇を果たした川崎フロンターレとの天皇杯準決勝。大分は今季初めて4-3-1-2のシステムで臨み、エンリケとMFペレイラのブラジル人コンビをCBに並べた。

「このシステムを練習してきた部分でもあったので、すんなりと試合に入れた」。マッチアップしたのは「ブラジルでも有名で、Jリーグでを見ても輝かしい成績を残している選手」であるL・ダミアン。それでも距離感の良い守備ブロックで粘り強い対応を続け、ゴールを割らせないまま交代まで耐え抜いた。

 さらに輝きを放ったのは失点後の延長後半、パワープレーでの仕事だった。片野坂知宏監督の指示を受けて前線に上がると、窮地に陥ったチームの攻撃を活性化。すると終了間際のアディショナルタイム1分、MF下田北斗からのクロスに反応し、ニアサイドに入りながら完璧なヘディングシュートを流し込んだ。

「日本に来たばかりの時にビハインドでパワープレーで入っていたが、ゴールがなかなか決められなかったり、これまで下田選手がセットプレーを含めていいボールをくれていたのに決められなかったので、そういう部分でもゴールを決めるんだという気持ちがあった。結果的にゴールにつながって嬉しかった」。

 シュートの流れは決して簡単なものではなかったが、幼少期からの経験も活きていたという。得点への思いを問われたエンリケは「プロになる前、自分のサッカー選手のキャリアの始まりではFWとしてプレーしていたので、ゴールを決めるのは好き」と笑顔で話した。

 さらにPK戦では2人目のキッカーとして見事に成功させ、クラブ史上初の天皇杯決勝への扉を開いた。

「苦しいシーズンでなかなか勝利に結びつかない時期が多かったけど、今日の勝利でわれわれのサポーターに向けて大きな恩返しができた。大分トリニータの名前が天皇杯決勝に並び、歴史を更新できた。それも踏まえてすごく嬉しい」。

 浦和レッズとの決勝戦は18日。エンリケは「次に勝てばタイトルが取れるので、まずは休んで、練習がある中でいいトレーニングをしたい。決勝戦ではこれまで積み上げてきたもの、トリニータのスタイルをお見せできれば。スタイルをお見せした上でタイトルを取ることを目指したい」と意気込みを語った。

(取材・文 竹内達也)
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