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[選手権予選]名古屋入りの逸材MF望月、野洲の逆転劇演出

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[11.10 全国高校選手権滋賀県大会準決勝 草津東2-3野洲 皇子山]

 名古屋グランパス加入内定の逸材MFが“セクシーフットボール”野洲の逆転劇を演出した。常にボールを保持してドリブルとショートパスで草津東に圧力をかけていた野洲だが、その中でも10番MF望月嶺臣(3年)にボールが入ると、その攻撃はさらに怖さを増した。まるで足に吸い付くかのようなボールコントロール。距離を詰められていても相手DFを足裏でのタッチなどでいなし、インサイド、アウトサイドキックからのスルーパスで次々と決定機を演出した。

 ボールを受ける回数が非常に多いだけに、何度か失った場面もある。ただ、DFのプレッシャーを全く苦にせずにボールを動かし、時にはドリブルで局面を打開した。そしてキックモーションに入ってからでもパスの選択肢を変え、正確に通してくる技術と判断力で、攻撃をけん引。「ボールに絡んだんですけど、ちょっとミスが多かった。もっと変化つけてドリブルでシュートとか増やせば良かった。後半に言われたんですけど、足のことがあったのでダイレクトとかばっかになった」と反省していたが、それでも絶妙なスルーパスで1点目と決勝点の起点になるなど、逆転勝利の立て役者のひとりとなった。

 全国大会に出場すれば、大会の顔になりうる好タレント。2度リードされる苦しい試合を勝ち切ったエースは「運があったと思うんですけど、ボクらは自分たちのサッカーを続けること。(0-1のハーフタイムにも)悔いの残らないサッカーをしようという話をしていた。得点されても動じずにみんな自分たちのサッカーができていたと思う。最後はみんな足攣ったりして苦しかったけれど。草津東とはいつも激戦で優勝した年も最後、延長して勝ったりしている。(厳しい試合を)体験できて良かったです」と笑顔を見せた。

 昨年のU-17W杯8強メンバーのひとり。名門・野洲では1年生から10番を背負ってきた。だが今季は怪我に悩まされ、全国高校総体予選では出場できないままチームは敗退してしまった。「(悔しさは)そうでもないです。(自分が出ていなくても)誰が出ても変わらないです」と過去のことに悔いはなく、今は目の前の選手権に集中している。

 観客を何度も沸かせていたMFの目標は国立のスタンドを沸かせること。名古屋入りを決めて注目度が高まる中で迎えた選手権だが、「(観客が沸くのは)いつもなんで。ボクらは自分たちの世界の中で楽しむというか。ただ、以前とは違ってその(名古屋入りで注目される)部分もついてくる。プレッシャーはありますけれど、それも楽しんで、ちょっとでも(自分を)覚えてもらえるようにやりたい」。MF乾貴士らを擁して全国制覇した05年度のように、今冬、再び野洲のサッカーを全国舞台で印象付けて、プロの世界へ飛び込む。

(取材・文 吉田太郎)
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