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日本高校選抜予備選考合宿、日体大との練習試合は青森山田CB山田V弾で高校選抜候補が制す

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[1.13 練習試合 日本高校選抜候補1-0日本体育大 駒沢]

 日本高校選抜欧州遠征(2013年3月23日~4月3日)メンバーの予備選考合宿が12日から行われている。13日には駒沢陸上競技場で日本体育大と練習試合(30分3本)を行い、CB山田将之(青森山田3年)の決勝ゴールによって1-0で日本高校選抜候補が勝った。

 これまでの日本高校選抜チームは全国高校選手権大会の優秀選手から選出されてきたが、今年度から選考方式が変更。全国高校選手権出場チーム以外の選手にも門戸が開かれた。全国高校選手権に出場していない選手(高校総体優秀選手、代表選手等)のうち、高校選抜監督及び、技術委員長推薦により選考された選手と、全国高校選手権1~3回戦敗退チームから選考されたメンバーによって予備選考合宿を行い、予備選考合宿を突破した選手と全国高校選手権優秀選手から選考されたメンバーを合わせた25名~28名によって高校選抜候補合宿(欧州遠征メンバーは18名)を行うこととなった。

 今回行われた合宿は1次選考に当たる予備選考合宿で、招集されたのは全国高校選手権3回戦までに敗退したチームの13選手と全国高校選手権に出場していない4選手。GKは小川司(大津)と蔦颯(前橋育英2年)でDFは室屋成(青森山田3年)、山田将之(青森山田3年)、石川大輔(常葉学園橘3年)、水野隼人(野洲3年)、山本和也(滝川二3年)、磐瀬剛(市立船橋2年)、中盤は小川雄生(前橋育英3年)、本橋瑞基(修徳3年)、松田惠夢(野洲3年)、野田卓宏(大津3年)、鈴木裕也(武南2年)。そしてFWには浅野拓磨(四日市中央工3年、サンフレッチェ広島内定)、田村翔太(四日市中央工3年、湘南ベルマーレ内定)、平秀斗(佐賀東3年、サガン鳥栖内定)、宮市剛(中京大中京2年)が選ばれた。

「特に午前中の練習は本当にモチベーション高く入ってくれて、このままチームをつくっていっても面白いんじゃないかと思ったくらい。ゲームは初めてなのでコンビネーションの問題があったと思うけれど、切り替えの速さだったり、ハードワークというのを午前中は見せてくれた」。高校選抜の指揮を執る野村雅之監督(作陽)は参加選手たちの高い意欲を評価していたが、それぞれが与えられた時間の中で精一杯のアピールをしていた。

 4-4-2システムをとった練習試合1本目はGKが小川司で、4バックは右から室屋、山田、水野、山本。中盤は松田と鈴木のダブルボランチで右が宮市で左が本橋、そして田村と浅野の四中工ダブルエースを2トップに配置して試合に臨んだ。2分に山本の左CKから本橋がファーストシュートを放つと13分には、中央を浅野と鈴木の豪快な突破で打開して鈴木がスルーパス。これは通らなかったが、クリアボールを拾った本橋が左足で中央へ入れると、田村が決定的なヘディングシュートを撃ち込んだ。

 急造チームで個人のミスにコンビネーションミスも重なるなど、なかなか持ち味を発揮できない時間帯が続いたが、それでも室屋のアーリークロスを宮市が頭で合わせ、浅野の折り返しに本橋が飛び込むなどゴールへ迫ると、26分にこの試合唯一のゴールが生まれる。右中間から鈴木が強引にDF間を抜け出して右前方の田村へパスを送ると、ドリブルで仕掛けた田村がFKを獲得。このFKを山本が左足で放り込むと、ニアサイドへ飛び込んだ山田が「(セットプレーは)自分を活かす唯一の武器。メンバーといろいろ話してブロックしてもらってフリーになったので決めることができた」と頭で先制ゴールを叩き込んだ。

 サブ組中心の日体大にチャンスをつくられる場面もあったが、松田の的確なポジショニングと山田や水野、室屋の身体を張った守りでリードしたまま1本目を終えた高校選抜候補は、2本目も大学生に得点を許さない。GK蔦で右から室屋、山田、石川、磐瀬の4バック、小川雄と鈴木のダブルボランチ、右MFが宮市で左MFが浅野、トップ下が野田、そして1トップに平を配置した2本目は、石川のフィードから左オープンスペースへ飛び出した野田の折り返しを宮市が決定的なシュート。さらに浅野が抜群のスピードで左サイドを切り裂き、平が積極的にシュートを放つなど日体大からチャンスをつくり出していた。ただ、21分にカウンターから中央突破した浅野のラストパスを受けた平が決定的な形で左足を振りぬいたものの、これがゴール左ポストを叩くなど追加点を奪うことができない。

 GK小川司(15分→蔦)、右から磐瀬、小川雄、石川、山本の4バック、中盤中央は松田と野田、水野のトライアングルで右に田村、左が本橋、1トップに平を配置した3本目も得点を奪うことはできなかった。徐々に声が減ったチームは、なかなか意思がシンクロせずに相手を崩すことができない。それでも平が前線からのプレッシャーでGKからボールをインターセプトし、積極的に走り回っていた野田がドリブルシュートを放つ。またディフェンスラインも相手に背後を取られるなど危ない場面をつくられながらも集中力は最後まで切れず、1-0で試合を終えた。

 限られたアピールタイムの中で決勝点を奪った山田は「アピール合戦の中でも、CBなので声を出し続けて、しっかりチームをまとめて、なおかつ自分の特長である競り合いだったり、身体の強さを出していこうと思っていました。こういう場は知らない人同士で声を出す人はあまりいないと思ったので自分が出せば、アピールできると思った。選ばれれば、(FUJI XEROX SUPER CUP2013 NEXT GENERATION MATCHで)国立に立てるじゃないですか。選手権では立てなかったので、ここでもう1回家族やチームノスタッフに恩返ししようと。チャンスだと思っている」と生き残りへ意気込む。指揮官は選考について「残っている選手とのポジションバランスであったり、きょうの様子であったりを加味して考えないといけない」と語った。

 あす14日は全国高校選手権決勝。鵬翔と京都橘の高校日本一を懸けた戦いの後は、日本高校選抜入りを懸けた個人と個人の争いに注目だ。

[写真]1本目26分、高校選抜候補は青森山田CB山田が先制ヘッド
(写真協力『高校サッカー年鑑』)

(取材・文 吉田太郎)
【特設】高校選手権2012

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