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願いを乗せたミドルは無情にもポスト…明秀日立MF伊里「まだまだ自分たちはできた」

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10番を背負って明秀日立の躍進を支えたMF伊里隼人(3年)

[1.5 全国高校選手権準々決勝 明秀日立高2-3上田西高 駒沢]

 無情にもポストを叩いた。明秀日立高(茨城)は2-3の後半36分、MF伊里隼人(3年)がPA手前から右足を振り抜く。同点ゴールの願いを乗せたミドルシュートは、しかし左ポストをかすめてゴール左へ外れた。

「まだまだ自分たちはできた」。準々決勝敗退という結果をなかなか受け入れることができなかった。大会前に気合の五厘刈り。ピッチ上でひと際目立った背番号10は前半12分にFW二瓶優大(2年)の左CKからこぼれ球を右足で押し込んだ。

 立ち上がりの先制点だったが、同16分、23分と連続失点。1失点目はPKで、2失点目はCKを直接入れられた。悔やまれる連続失点に「点を取ったあと、集中を切らさずに締め直せればよかった」と伊里は唇を噛み、「1点だけでなく、つらい状況でも自分がチームを引っ張っていければよかった。悔しいです」と自らを責めた。

 同校初の準々決勝進出を果たした選手たちを萬場努監督は「彼らが新しいトビラを開いてくれた」と称える。初の3回戦、初の準々決勝を戦うことで初めて体験できたこともあった。「僕らは4試合目。勝ち抜いてきたから分かったが、昨日の練習でも(体が)重そうだなと。メンタル的にも来るし、想像を超えて苦しかった」と、連戦による疲労蓄積は予想以上だった。

「実際にここでやってみて分かったこと。PKを与えた高嶋も今度は中心として、まだまだ成長しなさいということだと思う」。1失点目のPKを献上してしまったDF高嶋修也(2年)はまだ2年生。悔しい経験を糧にして巻き返す機会はある。伊里は「僕らはここで終わってしまったけど、彼らはこの結果を超える力を持っていると思うし、頑張ってほしい」と悔しさを押し殺し、後輩たちにエールを送った。

(写真協力『高校サッカー年鑑』)

(取材・文 西山紘平)

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